標準意欲評価法 CAS:Clinical Assessment for Spontaneity

標準意欲評価法 CASClinical Assessment for Spontaneity

標準意欲評価法(CAS)は、他覚的、自覚的(主観的)、行動観察的な視点からの評価を統合して、意欲の低下や自発性欠乏のレベルの評価を可能な限り定量的に行うことを試みている検査です。

①面接による意欲評価スケール
②質問紙法による意欲評価スケール
③日常生活行動の意欲評価スケール
④自由時間の日常行動観察
⑤臨床的総合評価

の5項目からなる検査です。

①面接による意欲評価スケール
対象との面接を通して観察を行い、それに基づいて意欲状態が評価されます。チェック項目は、表情、視線(アイコンタクト)、仕草、身だしなみ、会話、話題に対する関心、反応の仕方、気力、みずからの状況についての理解、周囲のできごとに対する関心、将来に対する希望などです。

②質問紙法による意欲評価スケール
対象例がみずから意欲に関する質問紙をチェックすることにより行わる「主観的」な意欲評価テスト(質問紙法、基本的に自記式)です。興味の喪失(認知面)、情緒障害や感情平板化などの情動の喪失(情動面)、エネルギーの喪失(行動面)などに関連する33質問項目が採用されています。回答は、「よくある」、「少しある」、「あまりない」、「ない」で答えられます。

③日常生活行動の意欲評価スケール
評価者は、対象例の意欲状態を日常生活の行動項目別に観察して評価する。このスケールは、対象例の日常生活行動を、共通した行動項目において、可及的に体系的に観察・評価し、また可能な限り定量化を試みようとするものです。評価される行動項目は、食事をする、排泄の一連の動作をする、洗面・歯磨きをする、衣服の着脱をする、入浴を行う、服薬をする、訓練を行う、テレビを見る、新聞または雑誌を読む、 他者と挨拶をする、 他者と話をする、 電話をする、手紙を書く、 行事に参加する、趣味を行うなどの16項目です。

④自由時間の日常行動観察
自由時間の日常行動を観察することにより、被検者の意欲の水準が記録されます。すなわち、リハビリテーションなどのスケジュールのない時間(たとえば午後3時半ごろなど)における被検者の行為が具体的に記録されます。評価事項は、a。行為する場所、b。行為内容、c。行為の質の評価、d。談話の質の評価などである。行為の質の評価では、1 :意欲的・能動的・生産的行為、自発的問題解決行為、2 :自発的行為、習慣的行為、3 :依存的生活、4:無動、が区別されます。

⑤臨床的総合評価では、臨床場面における総合的印象に基づき、
0:通常の意欲がある
1:軽度の意欲低下
2:中程度の意欲低下
3:著しい意欲低下
4:ほとんど意欲がない、

5段階が評価されます。