脈拍の異常とその原因

脈拍の異常とその原因


頻脈


手術侵襲、痛みなどによる交感神経の緊張
発汗による酸素消費量の増加
脱水や出血などによる循環血液量の減少
薬剤による副作用(降圧薬など)


徐脈


頭蓋内圧亢進 
 薬剤による副作用
鎮痛薬使用後の副交感神経の緊張
頸動脈洞反射や洞不全症候群、迷走神経反射など


脈拍結滞


心房性 / 心室性期外収縮など


リズムの不整


心房性 / 心室性期外収縮、心房細動、心房粗動など


脈圧が大きい


血圧の上昇や発熱などによる心拍出量増大 / 頭蓋内圧亢進


脈圧が小さい


血圧低下による心拍出量の減少

失語症患者とのコミュニケーションを促進する為の10項目

失語症患者とのコミュニケーションを促進する為の10項目


  1. 短い文でゆっくり話しかける。
  2. 患者が発病前から使い慣れていた言葉や表現を使って話しかける。
  3. 患者が現在関心をもっている具体的な事柄について話しかける。
  4. 抑揚や表情を豊かにつけて話しかける。必要とあれば身振りを加えて、実物を見せたり、文字(漢字のほうが仮名より理解しやすい場合が多い)で示したりする。
  5. 話しかけても1回で理解出来ないときは、もう1回繰り返すか、又は別の表現に変えてみる。
  6. 1つの事柄が理解されたことを確かめてから次の事柄に進み、話題を唐突に変えない。
  7. 話すことが困難な患者に対してはYes , Noで答えられる質問を工夫する。
  8. 患者に話すための時間を充分に与え、ゆっくりと辛抱強く聞く。
  9. 話すことを強制したり、誤りを訂正したりしない。
  10. 患者がうまく反応出来た時は、はっきりとほめたり、 一緒に喜んだりして励ます。

NPI BPSD及び介助者の負担度検査

NPI BPSD及び介助者の負担度検査


NPIとは


Nuropsychiatric inventory(NPI)は介護者に対する面接に基づいて評価する、BPSD(認知症の周辺症状)の頻度と重症度および介護者の負担度を数量化することができる神経心理検査です。

1994 年に Cummings らによって確立され、1997 年に博野信次によって日本語版 NPI が標準化されました。

国際老年精神医学会が作成したBPSD教育パック第2版の中でもBPSDの総合的評価尺度として取り上げられています。

NPIの構成


妄想、幻覚、興奮、うつ、不安、多幸、無感情、脱抑制、易刺激性、異常行動の10項目につき、それぞれの頻度を1~4の4段階で、重症度を1~3の3段階で評価し、点数が高いほど頻度、重症度が大きいことを示しています。

各項目のスコアは頻度×重症度で表され(1~12点)、10項目で合計1~120点となります。


実施方法


検査用紙に従い、検査者が用意された質問項目に沿って情報提供者(介護者)に面接を行い、評価を行います。


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サルコペニアへの対応

サルコペニアへの対応


筋力増強


サルコペニアは適切な運動により回復することがわかってきています。
そのなかでも、筋力増強訓練が最も重要と言われています。

筋力増強訓練には好気的運動と抵抗運動があります。

好気的運動

好気的運動はリズミカルに反復する運動で強い負荷は掛けない運動です。
筋組織では好気的代謝が行われており、酸素を消費しエネルギー産生を行っている筋量を増やす効果はあまりないですが、心・呼吸系、肥満、耐糖能の改善などの効果があると言われています。

抵抗運動

抵抗運動は、重りや徒手的な抵抗を加えた運動です。
関節の動きを伴わない場合、等尺性運動と言います。
この運動は筋量を増やす効果に優れていて、筋力も増加します。
筋細胞レベルでは嫌気的代謝が行われており、ブドウ糖から乳酸が産生され、エネルギーを得ています。

他動的伸長刺激を1日15分でも続けて訓練を行うと、筋の維持増強効果をもち、短時間の訓練でも筋力増強効果が期待できることを示唆しているとの報告があります。


身体活動量


筋力増強訓練のほか身体活動量の増加も重要です。
サルコペニアに陥った高齢者は自宅であまり動かない生活など日常の身体活動量が不足していることが多いと言われています。
そのため、日常生活で身体活動を増やすような習慣の指導、外出、趣味の開拓、通所サービスなども効果的と言われています。

栄養指導


また、食事でのタンパク質摂取不足など栄養面からのサルコペニアも多くみられ、栄養指導も必要です。

原疾患のコントロール


もちろん、二次性サルコペニアでは原疾患のコントロールも重要です。
高齢者では、変形性関節症、変形性脊椎症、心疾患、呼吸器疾患など様々な合併症をもっていることが多いです。
そのため、運動処方、生活指導を行う場合、負荷量、運動の方法などに留意し、合併症の悪化を来すことのないようにすることも重要と言われています。

誤嚥性肺炎の胸部聴診

誤嚥性肺炎の胸部聴診


誤嚥性肺炎の胸部聴診では、肩甲線上の第8肋間のあたり、特に背中からみて右の下側(肺のS6またはS10領域)を重点的に聴診する必要がある。

誤嚥性肺炎の聴診音の特徴


・息の吸い始め

息の吸い始めた時の「プツッ」「プツッ」とした低音が聴取される。

・息の吸い終わり

息の吸い終わりには「バチバチ」「パリパリ」という低音に変わる断続性ラ音(水泡音)が聴取される。


誤嚥性肺炎になりやすい領域


左肺の気管支の分岐角が約45度に対して、右肺の気管支は分岐角が約25度と鋭角で、さらに短くて太いため入ってきた異物が落ちやすくなっているため、肺のS6(下葉上下葉区)やS10(下葉後肺底区)の領域に誤嚥性肺炎が起こりやすいと言われている。



まとめ


・誤嚥の疑われる高齢者では、肩甲線上の第8肋間のあたり(特に背中からみて右側)を重点的に聴取する必要がある。
・断続性ラ音が聴取されるのは、粘い痰が絡まって開きにくくなった肺胞が、吸気によって一気に広がったり、気道内に付いた分泌物が破裂するためである。


ピック病の症状経過

ピック病の症状経過


第Ⅰ期(発病から1~3年)

人格:関心の喪失
 判断力:障害
 実行能力:計画および抽象思考の低下
 記憶:比較的保たれている
 視空間見当識:正常
 言語:正常あるいは失名辞,迂回操作
 計算力:比較的保たれている
 Klifver-Bucy症候群:症状が部分的に顕在化
 運動系:正常
 脳波:正常

第Ⅱ期(発病から3~6年)

言語:常同言語,言語理解不良,失語
 記憶:比較的保たれている
 視空間見当識:比較的保たれている
 判断力:低下
 実行能力:低下
 運動系:比較的正常
 脳波:基礎律動徐波面
 CT/MRI:前頭葉と側頭葉の両方あるいはいずれかの局所性萎縮
 PET/SPECT:両側前頭葉の低代謝あるいは低下

第Ⅲ期(発病から6~12年)

言語:絨黙あるいは意味不明の言葉
 記憶:低下
 視空間見当識:低下
 認識:高度に障害
 運動系:錐体外路症状あるいは錐体路症状・錐体外路症状が混在
 脳波:全般性徐波あるいは前頭・側頭の徐波化
 CT/MRI:前頭葉と側頭葉の両方あるいはいずれかの局所性萎縮
 PET/SPECT:両側前頭葉の低代謝あるいは低下

(Cummings&Benson, 1992)

脊髄麻痺型の種類

脊髄麻痺型の種類


中心部損傷型

脊髄中心部(灰白質、白質の内側)が損傷され、下肢の運動障害に比較して上肢の障害が強く残存するタイプ。

前側部型

脊髄中心部に加えて前索、側索が損傷され、上下肢の運動、表在性の知覚障害があるが深部感覚は残存するタイプ。

後側部型

脊髄中心部に加えて後索、側索が損傷され、上下肢の運動障害、深部知覚障害があるが表在感覚は残存するタイプ。

半側型(Brown–Séquard型)

損傷側の錐体路・後索・反対側の脊髄視床路が損傷され、損傷側の表在感覚障害を認めるタイプ。

横断型

灰白質・全索路が損傷され、損傷部以下の知覚、運動障害を認めるタイプ。

音韻性失名詞

音韻性失名詞


失名詞は、喚語や呼称の障害で、これを主徴とする流暢な失語は失名詞失語に分類されます。
一般的な失名詞失語は発話が流暢で、名詞の喚語困難が目立ち、心的辞書で語彙の適切な選択ができず、その本質は語彙選択上にあるとされています。

音韻性失名詞も、失名詞失語同様に理解は保たれますが、呼称が障害されます。
その誤り方は、音韻性錯語や接近行為様の発話など音韻性が主体で、意味性の誤りは基本的に認められないと言われています。
伝導失語では表出面全般にわたり音韻性の誤りが観察されますが、音韻性失名詞は、復唱が良好で、こうした誤りは認められないと言われています。
呼称という目標語を探索する場合にのみ誤りが出現し、語彙目標は適切に選択できているものの、その語の音韻表象が十分に活性化を得ていない状態と言われています。

word meaning deafnessとは

word meaning deafnessとは


word meaning deafnessとは、音が正確に知覚され(言語音として正しく分析・認知され)その連なりが意味のある単語だと認知されながら、意味と結びつかない状態をいいます。

聴覚的には理解できなかった語を正確に、復唱でき書いて示されるとすぐに理解でき、聴覚的lxical decishoin(語彙判定)が可能といわれています。

音声治療技法とそれぞれのエビデンスレベル

音声治療技法とそれぞれのエビデンスレベル


声帯過内転障害に対する音声治療技法

あくび・ため息法:エビデンスレベルⅣ~Ⅴ
咀嚼法:エビデンスレベルⅣ
ハミング:エビデンスレベルⅢ
喉頭マッサージ:エビデンスレベルⅣ
フィードバック法:Ⅱ~Ⅴ

声帯低内転障害に対する音声治療技法

プッシング法:エビデンスレベルⅣ
フィードバック法:エビデンスレベルⅡ~Ⅴ

痙性ディサースリアと一側性上位運動ニューロン性(UUMN)ディサースリア

痙性ディサースリアと一側性上位運動ニューロン性(UUMN)ディサースリア


従来、皮質延髄路の障害に起因するディサースリアは痙性ディサースリアとタイプ分類され、によって発現するとされてきました。

これに対して、1980年代に入り、皮質延髄路の一側性損傷でもディサースリアが発現するという見解が提出されるようになり、1990年代になると音声言語病理学的に国際的な

見解の一致が得られるようになったと言われています。

現在は、こうした皮質延髄路の一側性損傷によって発現するタイプを一側性上位運動ニューロン性(unilateral upper motor neuron;UUMN)ディサースリアと分類されています。

UUMNディサースリアの特徴

UUMNディサースリアは、発声発語器官のなかで顔面下部と舌の一側に中枢性麻痺が起こり、主に構音の歪みとプロソディーの異常が起こるといわれています。

UUMNディサースリアのリハビリテーション

UUMNディサースリアに対するリハビリテーションとしては、CIセラピーやリズミック・キューイング法が有効との報告があります。