記憶障害のリハビリの考え方

記憶リハの目標は、患者自身の記憶能力と患者を取り巻く環境が要求する記憶能力との隔たりを何らかの方法で調整し、日常生活や社会生活への適応をはかることであり、記憶を筋肉のように"鍛える"ことではありません。

脳損傷による記憶障害では、元のレベルを回復することは困難であり、また、回復がおきる期間は比較的初期に限られると言われています。

このため、時期に応じた系統的なアプローチが必要となります。

初期の対応としては、まず適切な診断・評価によって記憶障害を見落とさないことが肝要です。評価結果をもとに、記憶障害についての情報を当事者、家族に提供し、今後起こりうることや日常生活上の対処の仕方などを伝えます。

発症から日の浅い入院中のリハでは、主として病棟での自立度の向上を目的に訓練を行います。

例えば、その日の予定をノートなどで確認して行動する、病室や訓練室の場所を覚えて移動できるようにする、などを課題としてとりあげ、細かくステップに分割し、スタッフ間でやり方を統一して指導します。

病棟での自立度の向上をはかりながら、代償手段の獲得に向けて手がかりを探って行きます。

さらに退院などの際にも支援機関との繫がりが絶たれないように配慮します。

一方、発症からの経過が長い場合には、生活の中での問題を調整し、解決をはかるという日常生活に即した目標設定とアプローチが必要となります。

記憶障害に気づくまでに数年かかるケースもありますが、発症からの経過期間にかかわらず、リハとしてアプローチをすべきことはあり、有効性もあるとの報告もあります。

参考文献:リハビリテーション医学VOL.42 NO.5

顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー (FSHD)の病因や病理、病態生理について

顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー (FSHD)の病因・病理・病態生理

顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー は、常染色体優性遺伝をとる浸透率の高い疾患です。
頻度は他の筋ジストロフィーに比べると低く 、人口10万人あたり0.20.5人です。

本症の遺伝子座は第4染色体長腕テロメア4q35-qterに存在します。
この部位を認識するプローブを用いてサザンブロット法を行うと 、大半の患者では正常よりも短い(35kb)制限酵素断片が得られ(遺伝子の欠失) 、診断に役立ちます。しかし 、遺伝子はまだクローニングされていません。

筋生検では筋線維の大小不同 、壊死・再生など筋ジストロフィーの変化がみられます。
時に炎症細胞の浸潤をみて 、筋炎との鑑別を要することがあります。


顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー (FSHD)臨床所見

発症は小児期から成人前までと幅広く 、また症状も幅があります。

患者の家族をみると表情が乏しいだけで 、四肢には全く筋力低下をみないこともまれではありません。

病気は上肢の挙上困難で気づかれることが多いです。

肩甲帯周囲の筋萎縮が強いので 、病初期から翼状肩甲winged scapulaeがみられます。

大半の患者では顔面筋がおかされ 、頬のふくらみがなくなり 、表情が乏しくなり、病気が進行すると 、筋力低下は下肢にも及びます。

本症の筋罹患は左右非対称であることが特徴的であるとされています。

心・肺機能はおかされにくく、難聴 、網膜症retinal vasculopathyが約半数の患者にみられます。