吃音の現状について


小児の吃音はほとんどが幼児期に好発する発達性吃音です。

近年、その原因探索が進み、遺伝要因が7割以上であることや、脳内白質の異常とそのために言語関連の脳領域間の機能接続の不良が明らかになってきています。

これらにより、吃音の原因が親の育て方に問題があるからではないことと、親が吃音に気がつかない振りをしても吃音の改善にはあまり貢献せず、却って児の心理的な孤立を招くので問題があると考えられるようになりましましました。

幼児期に大多数は自然治癒しますが、2年以上かかることも多く、その間は専門家のサポートが必要になります。

また、自然治癒の割合は高いものの、発症率も高いので、自然治癒しない絶対人数も多いです。

そのため、放置せずに児が話しやすいように環境調整をしつつ、定期的に経過を観察し、苦悶や悪化がみられるか、就学前1年程度までに改善がない症例には直接的介入を行います。

近年は有効率が高い介入方法が増えており、できるだけ幼児期に積極的に治療することが勧められます。

学齢中期以降は自然治癒が少なくなり、からかいやいじめが起きやすく、心の傷を残すことがあるので、環境調整や心理面を含めた総合的な対応が必要です。

治療は行動療法を中心として発話の自動化を目指し、吃音についての教育や認知行動療法を導入することで、自尊感情の維持・向上を図るようにします。

吃音は一般に、「どもり」として知られていますが、マスコミでは差別用語として使用禁止となっているため、医学用語であってあまり一般には知られていない吃音として報道され、吃音者・児には情報が到達しにくい。

最近はインターネット検索の普及でこの問題は小さくなりつつありますが、啓発のためには吃音の表記だけでは問題があることに留意が必要です。

吃音には小児期に他の原因となる疾患がなく起きる発達性吃音と、脳損傷によって起きる神経原性吃音と、成人発症の心因性吃音があります。

小児期にみられる吃音のほとんどは発達性であり、成人でも9割以上は発達性吃音であります。

吃音があると、笑われ、からかわれ、いじめられることも多く、年齢とともに症状が進展し、PTSD様の反応を示したり、多人数の前では強い羞恥心で話せなくなるなど、重症化することも多いです。

社交不安障害やうつを続発することも稀ではありません。

知的には正常な者がほとんどですが、吃らないこと、あるいは吃りを隠すことが人生の最優先事項となってしまい、自己実現を困難にすることがあります。

しかし、わが国では吃音の専門家が少なく、特に青年期以降は専門家へのアクセスが不足するため、実質的に吃音の治療が受けられない地域も多いのが現状です。

一方、世界的にはここ20年ほどの間に原因解明や治療対応が進んでおり、ガイドラインや詳細なレビューも発表されています。

次のページでは、症状や検査、診断について解説してきます。

ケースマネジメントの定義、適応、分類、手順について解説します。

ケースマネジメントの定義

ケースマネジメントとは、多様なニーズをもった人々が、自分の能力を発揮し健康に過ごすことを目的として、フォーマル・インフォーマルの支援ネットワークを組織し調整し維持することを、計画的に実施する人やチームの活動である(参考文献より)。日本の精神障害領域では1990年代後半から注目され始めました。
法制度や強調点で名称が変わることがありますが、日本の介護保険や障害福祉領域では「ケアマネジメント」と表記されることが多いです。
英国では「ケアプログラムアプローチ」とよばれることがあります。

ケースマネジメントの適応

単一サービスでは支援が困難な複雑なニーズをもち、慢性の障害がある人がケースマネジメントの対象になります。
疾病や障害が一過性の場合は治療やリハビリテーション、緊急ニーズが強い場合には救急サービスといった、専門的な単一サービスが優先されます。
ケースマネジメントは対人援助の基礎技術であり、さまざまな場面で応用されています。
例えば、障害福祉サービスを利用するときに「計画相談支援」によって「サービス等利用計画」が作られるが、このときに活用される「ケアマネジメントの手法」がそうです。

ケースマネジメントの分類

スタッフの職種、担当者1人あたりの受け持ち人数、直接提供できるサービスの違いなどによって、関係機関への紹介が主な業務の仲介型、直接的な援助関係を強調する臨床型、利用者の人数を限定した集中型、利用者の技能向上と環境調整に注目したリハビリテーション型、利用者や環境の強みに注目するストレングス型、精神科治療を含めた包括的支援を提供するACT(包括型地域生活支援プログラム)型などがあります。

ケースマネジメントの手順

多機関や多職種が協働し、医療を含めた多くのサービスを組み合わせ、目標と期間を明確にして効果的なサービスを提供するために、定式化された手順があります。
1)契約を結ぶ(インテーク、受理):利用者と支援者が出会って合意を形成します。コミュニケーション技術や、ストレングスやリカバリー概念の理解が必要です。
2)情報の整理(アセスメント、査定):生活史、1日の過ごし方、サービス利用状況などの情報を、健康、居住、経済、日常生活活動、対人関係といったニーズ領域ごとに整理し、包括的に理解します。
3)計画作り(プランニング、計画策定):まず支援者が、利用者にとって最適と思われる仮の計画を作ります。次にケア会議を開き、支援者と利用者が一緒に仮計画を検討して、実際の支援計画を作ります。
4)支援の実行(インターベンション、介入):利用者に直接あるいは間接的にかかわって支援を提供します。専門機関が提供するサービスだけでなく、図書館やコンビニといった、誰でも利用しているインフォーマルサービスを積極的に活用します。
5)進行状況をみる(モニタリング、追跡):計画通りに支援が行われているか、進行状況を常に追跡し、現実場面の変化に合わせて、計画に細かな修正を加えます。
6)何が達成されたか振り返る(エバリュエーション、評価):課題が達成されたり、決められた時期に達したら、援助の過程を振り返って、達成された事項や残された課題を明確にします。
7)一連のプロセスの終了(クローズ、終結):ケースマネジメントを終了し、必要に応じ他の支援機関に紹介します。新たな目標のためにマネジメントが必要であれば再契約します。
一連のプロセスを通じて精神科医には、他の職種と協働する能力や、医療場面だけでなく生活場面での医学的アセスメントを行う能力が求められています。

参考文献

1)野中猛、加瀬裕子(監訳):ケースマネジメント入門。中央法規出版、1994

包括型地域生活支援(ACT)についての解説します。

包括型地域生活支援(ACT)とは?

ACT(包括型地域生活支援)とは、統合失調症を主とする重度精神障害者の地域生活を、医療と福祉の多職種からなるチームによる生活現場への訪問を中心として支援する体制です。
ACTチームは、精神科医、看護師、精神保健福祉士、作業療法士、臨床心理士、就労支援専門家など多彩な顔ぶれからなります。これらのスタッフが定期的に、あるいは必要に応じて、利用者の自宅や職場を訪問して、医学的治療、広範な生活支援、レクリエーション、リハビリテーション、就労支援、家族支援など精神障害者の療養と支援に必要なあらゆる支援活動を行います。
さらに、急性増悪期には24時間365日の危機介入を同じチームが受け持つようにして対応します。

包括型地域生活支援(ACT)の意義

このような支援体制は、特に医学的治療を要する疾患と日常生活上のつまずきをきたす障害が表裏一体となって存在している統合失調症の回復に対して大きな意義をもちます。
つまり、①多職種による多角的支援、②チームによる継続的支援、③アウトリーチによる生活現場での支援、④24時間の危機介入という特性が、「安全保障感」に乏しい統合失調症にとって心強い助けとなり、その基盤の上に、障害を乗り越えて生活を営んでいく「リカバリー」が生まれます。

包括型地域生活支援(ACT)の方法

1つのACTチームは10-15人のスタッフからなり、スタッフ1人につき利用者数はおよそ10名です。
各スタッフは利用者10人程度の主担当者となってケースマネジメントの責任をもちます。
主担当者は、他のスタッフ2-3人と各利用者の支援を行います。
この小さな担当チームを個別援助チームIndividualTreatmentTeam(ITT)といい、ミーティングを密に行い時期に応じた適切な支援を提供します。
このように職種にかかわらず利用者への責任をもつACTでは、スタッフ間で自由に意見をいえる雰囲気と平等性が大切です。
医師を頂点とした堅固なヒエラルキーのある病院医療の思想や雰囲気を、ACTに持ち込まないことがことに大切です。
疾病管理が目的である病院医療の思想は、地域を疾病管理・生活管理の場にしてしまいます。
ACTの現場では、自らが判断して動く自主性が各スタッフに求められます。
自分の職域に固執すると援助の迅速さが損なわれ、スタッフ相互の依存と牽制によってチームの運営は萎縮してしまいます。
ACTでの専門職のあり方は、必要なあらゆることを現場のスタッフ自身の責任で行う「超職種」でなくてはなりません。
24時間365日の支援というと大変なことのようですが、実際には、日中の支援がしっかりすれば夜間休日の緊急事態はほとんどなくなります。
現在の精神科救急の困難さは、地域における日中の支援が乏しいために生じることです。
これからのわが国の包括型地域生活支援(ACT)
残念ながらわが国では、諸外国のようにACTが制度化されることはありませんでした。
地域処遇への熱意に乏しい現体制と施設的な精神科病院に慣れきった精神保健医療従事者に、この現状を変えることは期待できません。
したがって、ACTの実現は個々の支援者の熱意と創意にかかっています。
幸いなことにこの10年で、それぞれ運営に工夫をこらしたACTチームがいくつか誕生しており、これからACTを立ち上げたい人はこれらの先達から学ぶことができます(ACT全国ネットワークHP参照)。
また、本来のACT実践の基盤となるべき地域の資源は、現在のわが国には乏しいままです。
そのような現状のなかで活動するとき、ACTチームは常に外部のさまざまな地域機関と連携して互いに切磋琢磨し、自らを支える地域基盤を地域の人々とともに創り、ACT自身が地域から孤立しないように努めなければなりません。

参考文献

ACT-Kの挑戦-ACTがひらく精神医療・福祉の未来。批評社、2008

障害者就業・生活支援センターの定義、適応、課題と展望について

障害者就業・生活支援センターの定義

障害者就業・生活支援センターは、雇用、保健、福祉、教育などの地域の関係機関との連携のもと、利用者の身近な地域において就業面および生活面における一体的な支援を行うことを目的とする支援機関です。
同じ厚生労働省内でも障害保健福祉部が所掌する総合支援法下の就労移行支援事業、就労継続支援A型事業、同B型事業による支援機関と異なり、職業安定局と障害保健福祉部の連携事業である「障害者就業・生活支援センター事業」により平成14(2002)年より創設されましました。

障害者就業・生活支援センターの適応

障害をもつ人のための就労支援は、就職に向けた準備、求職活動、就労後の職場適応・職場生活支援、といった段階を経るのが一般的です。
一連の支援活動のなかで就業・生活支援センターは「働きたいが、何から始めればいいのかわからないので相談したい」と思っている人に対する職業訓練や職場実習のあっせんといった就労準備のごく初期の支援や、就労後に職場でのさまざまな悩みに関する相談を受けるといった職場定着のための支援を行う機能を担っています。
いずれの支援も生活面での支援と一体的に行われることが同センターの特徴です。
こうした支援ニーズは多くの人に共通のものであり、障害をもちながら就労を希望する人はみな同センターの利用が適応であると考えられます。

障害者就業・生活支援センターの課題と今後の展望

平成25(2013)年の障害者雇用促進法の改正により精神障害者を法定雇用率の算定基礎に加える措置が追加され、平成30(2018)年より雇用が義務化されるにあたり、精神障害者への就労支援はますます重要となっています。
その一方、課題も明らかになりつつあります。
障害者就業・生活支援センターは身体障害、知的障害、精神障害のいずれの障害をもつ人も対象としており、精神障害をもつ人に特化した機関ではありません。
障害者就業・生活支援センターでは、十分なアセスメントと繰り返し実施されるトレーニングのあとにさらに実習などを経て就労する、という従来知的障害者に対して行ってきた支援方法を精神障害者の支援にも援用することが多いです。
このような「Train-Placeモデル(訓練のあとに実際の就労現場に入る)」による就労支援は、知的障害の障害特性には非常にマッチしています。
しかし、精神障害では同じ人が複雑な作業を短期間で身につけることもあれば、決まった時間に決まった場所に行くこともままならないこともある、といったように病状が不安定になることがしばしばあり、よいときと悪いときのパフォーマンスの落差も大きいです。
この障害特性ゆえに「Train-Placeモデル」による就労支援では、最初のアセスメントやトレーニングの段階でトレーニング内容への不満や就職への焦りから調子を崩してしまい、なかなか実際の就労までたどり着かないといったケースもみられます。
近年、精神障害の特性を踏まえた支援方法として、利用者の好みと選択をできるだけ尊重する、迅速に仕事探しを始める、トレーニングは仕事探しと並行して行う、ないしは実際の就労現場で実施する(つまり「Place-Trainモデル」に基づく)といった原則をもつIndividualPlacementandSupport(IPS)とよばれる支援方法も脚光を浴びています。
今後はこうした精神障害の特性に合わせた支援が、全国の障害者就業・生活支援センターや総合福祉法下の就労支援関連の事業所で提供されることが望まれます。

作業所とは?対象者や作業内容、利用手順などを解説します!

作業所の定義

「作業所」とは、1950年代から設置が始まった施設ですが、法律的に定められた基準はなく、よび名も、「共同作業所」「小規模作業所」「福祉作業所」「小規模授産施設」などさまざまです。
そこには、障害をもった人々の地域での生活を支える基盤が乏しいなかで、「当事者の地域での生活を支える」という熱意をもった当事者、家族、支援者(専門職に限らない)らが、試行錯誤しながら作り上げてきた歴史があります。
いわば、有志による草の根的な活動により発展し、障害をもつ人々にとって、「生活の場」「交流の場」「仕事の場」などとして着実にその機能をはたしてきたのです。
しかし、多くの施設では、資金面、人材面で運営に苦労しているという実情があります。
障害者自立支援法施行後は、地域活動支援センター、就労継続支援A型、就労継続支援B型へ移行しているところも多ですが、市町村間で施設に対しての支援内容は格差があり、それぞれの施設がさまざまなアイデアを出しながら、運営を切り盛りしています。
このように、「作業所」とは、法律や規則によって作られたものでなく、現場から生み出されたものであり、その後もさまざまな困難にぶつかりながらも、当事者の地域での暮らしを支えるために脈々とわが国の精神科分野に根づいています。

作業所の対象者

対象者には、さまざまな人が挙がります。
地域で生活しているが、自宅にひきこもりがちで、何とか外につながるきっかけを必要としている人。
退院後に、病院以外の穏やかな場所で他者と交流する場を求めている人。
就労を目指しているが、一般就労するにはまだ自信がなく、訓練を通して自信をつけたい人。
挙げればきりがないが、大切なことは、本人、家族、支援者が一緒に見学や体験入所をして、本人が「行きたい」「まずは挑戦してみたい」という意思をもつことです。

作業所の内容 

作業内容

作業内容はそれぞれの施設により異なり、多岐にわたります。
例を挙げると、段ボール梱包作業、清掃業、喫茶店、ダイレクトメール封入などです。
そのため、まずは、実際にその施設に出向き、確認することが大切です。
なお、作業内容の変更を検討している施設も多々あるので、現在行っている作業内容だけでなく、将来的な内容も確認する必要があります。

作業所の環境

ハード面では、民家を利用したもの、空き店舗を利用したもの、専用の建物を利用したものなど、築年数、広さ、設備面などはさまざまです。
ソフト面では、当事者スタッフ、ボランティア、家族スタッフ、非専門職スタッフなど支援者も多岐にわたります。
そのため、専門職が陥りがちな「症状のみをみる」のではなく、「人としてかかわる」ことが実践され、それが本人のリカバリー(回復)につながっていることがあります。
また、障害者自立支援法施行後は、施設利用者が精神障害をもった人だけでなく、さまざまな障害をもった人々である施設も増えています。

作業所の利用料

利用料に関しては、施設の事業形態や本人の経済支援状態によっても異なるため、利用を始めるにあたって確認が必要です。

作業所を利用するまでの手順

情報収集

日頃から、支援者が情報収集しておくことが大切です。
最近は、インターネット上でホームページを閲覧できる施設も多く、検索が容易になりました。
また、さまざまな情報機関誌に目を通しておくことや、外出時に「おや?」と気になる施設があれば確認すること、支援者間だけでなく、利用者、家族と情報交換をしておくことなどが必要です。
そのときに、作業内容、事業形態、施設規模、場所などを具体的に知っておいたほうが良いですし、一覧表などを作成しておけば、いざというときに大変役に立ちます。
そして、実際に見学してみることで、媒介を通して得ることができる以上のもの、例えば、スタッフ・利用者の人柄、場の雰囲気、スタッフ・利用者の意見などを知ることができるので、見学することをお勧めしたいです。
いくら便利な世の中になっても、臨床において「足でかせぐ」ことが基本であることには何ら変わりはありません。

計画立案

面接に限らず、さまざまな会話のなかで、「働きたいけど、いきなりは……」「日中にゆっくりできる場所があれば……」「同じ悩み、経験をもった仲間と一緒に話がしたい……」「病院以外でくつろげる場所が欲しい……」「日中することがないので、何か暇つぶしでもいいからすることが欲しい」というような内容があれば、計画立案する価値はあると思われます。
個別のかかわりだけでなく、例えば「地域見学グループ」といったグループを作って、そのなかで意思を確認するのも1つの方法です。
支援者と1対1ではなかなか意見をいえない人が、「実は……」とぼそぼそと長年思っていたことを話すことは多々あります。
「仲間」の力を本人のリカバリーに生かす視点を忘れてはなりません。
個別であっても集団であっても、支援者からの一方的な情報提供だけでなく、本人の思いをなるべく具体的にしていくことがのちのちに役立ちます。
ただ単に根掘り葉掘り聞けばよいということではなく(あいまいな思いをそのままにしておくことが必要なときもある)、様子をみながらではあるが、「なぜそのような思いをもっているのか?」「現在の状況をどのように感じているか?」「どのようなことを作業所に期待しているか?」「作業所に通い出したらどのような自分になれるだろうか?」などを一緒に考えてみると良いでしょう。
「作業所の場所が居住地から遠いけど作業内容がよさそう」「自分にはできそうにないけど行ってみたい」などの悩みや、「自分は一般就労していたので、作業所なんか行きたくない」といった意見も出てきますが、そんなときもまずは計画を立てて行ってみるのも1つの手です。
その一方で、本人の思いに共感することも忘れてはなりません。
また、日頃の面接や作業場面を通して、本人の評価(対人関係、生活リズム、作業能力など)を本人とともに支援者が共有しておくことも大切です。

施設へのアポイントメント

計画が立案できたら、見学予定の施設へ連絡することが必要となります。
一般的常識ですが、相手に失礼のないように、こちらの施設名、氏名、見学をお願いしたい旨、理由、希望日時、見学者人数などを伝えます。
連絡は遅くても1か月前にはしておきたいところです。
作業所によって、見学に際しての受け入れ手順はさまざまで、事前の電話連絡だけでよいところもあれば、書類にさまざまな項目を記入したり、公文書が必要となるところもあるので、確認が必要です。
なお、就労継続支援A型事業所については、ハローワークと相談するとよいでしょう。

見学実施

見学当日は、緊張している利用者も多いので、傾聴と共感を心がけて出発し、予定到着時刻に遅れないようにします。
見学中は、見学作業所の雰囲気を壊さないように、見学している支援者の対応に気をつけるようにしましょう。
質問をすることを遠慮している見学者に代わって、こちらがいろいろと質問したり交流を促していくことは大切です。
しかし、それが出過ぎた対応(大きな声、積極的すぎるかかわり、利用者のことを置き去りにしたような態度)になってしまうと、作業所利用者・スタッフが萎縮したり、雰囲気が壊れたり、見学者の意欲が減退してしまいます。
そうなってしまうと何のために見学に来たのかわからなくなってしまいます。
できれば、作業所利用者・職員との意見交換の時間ももてるとよいでしょう。

振り返りと施設利用

見学後、本人の様子をみながら、当日、あるいは日をおいて振り返りをすることは大切です。
見学することで大変疲れる人も多いので、そのようなときは日をおいたり、期日を設定してメモ書きでもよいので、感想を書いてもらってもよいでしょう。
「作業はどうだったか?」「場所はどうだったか?」「距離はどうだったか?通えそうか?」「雰囲気はどうだったか?」「施設スタッフ、利用者はどうだったか?」「行くとしたらどのくらいの頻度で行くか?」などを一緒に振り返る必要があります。
決して支援者の思いを一方的に押しつけるのではなく、本人の思いに共感することが大切です。
こちらは本人にとっての作業所へ行くという決断の重大さを心に留めておく必要があります。
利用する場合はその旨を作業所に伝えて、具体的な調整を行う。残念ながら利用は見送りとなった場合も、作業所にお礼と断りの連絡は必ず入れるようにします。
それが、次の利用者につながる場合もあり、縁を大切にしたいところです。

施設利用開始後の連携

本人が作業所を利用し始めたあとも、定期的に作業所と連携することが大切です。
特に、作業所を利用してしばらくの間は、本人も悩み事が多々出てくることがあります。
よって、支援者は「もう作業所に行き始めたんだから、かかわらなくてよい」という姿勢ではなく、作業所、本人と話し合いながら、必要に応じたつながりを保つことが大切です。

精神科デイケアとは?定義や役割などを解説します!

精神科デイケア定義

精神科デイケアとは、診療報酬制度に位置づけられた精神科リハビリテーションとしての治療機能の1つです。
回復期にある精神疾患の患者が、他者との交流を通じて人間関係を作り、社会に開かれていくことを支援する場です。
発足時よりデイケアは入院予防や、長期入院者の地域移行の重要な受け手として期待され、精神科地域ケアの担い手としての役割が大きく、実施施設の枠組みは、大規模デイケア、小規模デイケアとショートケア、そしてナイトケアなどがあり、施設基準に見合った職員配置が求められています。
看護師、精神保健福祉士、作業療法士、心理士などの専門職員の支援のもとに、通所者はグループ活動などを通じて仲間作りなどの他者との付き合いになじむことが当面の目標になります。
治療構造は、個別支援の場合もあるが、グループでの活動が基本です。

精神科デイケア治療対象

1974(昭和49)年に初めて診療報酬制度に位置づけられました。
当初は、統合失調症の退院支援、リハビリテーション、再発予防などが目的でしたが、治療対象は「精神障害者」として定義づけられていたおかげで、広くアルコール・薬物依存症などの患者に対しても応用されるようになりました。
その後、うつ病のリワーク活動の専門デイケアや、発達障害のコミュニケーショントレーニングの場としても有効活用され、さまざまな精神疾患が対象にされて発展してきています。
また、2006(平成18)年に障害者雇用促進法が改正されて、精神障害者も障害者雇用の対象に含まれてからは、就労支援をテーマに掲げるデイケアも増えています。
一方で、精神科病院に長期入院をしていた重い課題をもった患者が、地域に戻ったときの日中活動支援の貴重な場になっています。
このように、今では現場の工夫によって、さまざまな精神疾患に対する地域ケアの場として応用されています。

精神科デイケアの治療目標

統合失調症の患者については、被害関係妄想が主症状であった患者が多いために、病状が回復しても他人とともに過ごすのは苦手だという患者が多いです。
「誰かが自分を殺そうとしている」「誰かが悪口や陰口をいっている」「自分だけがのけ者にされている」といった病的体験のあとであるため、人嫌いになり引きこもり状態の生活に陥る外来患者が多いです。
ここから立ち直り、自分の人生を自分の力で組み立てていくためには、他人と社会に緊張感少なく出会えるように成長する必要があります。さもないと、仕事に行くことも、一緒にスポーツを楽しむことすらできません。
そこで、デイケアの第1の治療目標は、「他人と一緒にいられるようになること」です。
実際に、プログラム活動を通して一緒に遊んで楽しむことができれば、他人といることが意外と楽しいものだということを体験できます。
残念ながら、この参加初期の不安を乗り越えられず、数回の通所で中断になってしまう者も多いため、参加初期の導入グループは、気楽に参加できて侵入的でない配慮の行き届いたプログラムがよいです。
ここを乗り越えて、自身がグループのメンバーとしての自覚がもてるようになると、第2の治療目標の「病識の獲得、障害の受容」が課題になります。
医師や専門家からいくら説明されても、自身が「病気」とは受け入れられない者が多いですが、デイケア活動のなかで仲間たちが病気と知って驚き、それならば自分も病気でよいと受け入れられる者が多く、この仲間(ピア)の力が生きるのがデイケアのよさです。
第3の治療目標は「自発性の獲得」が課題になります。
グループに慣れてくると、時には司会を務め活動のリーダーの役割をはたすようになります。
もちろんすべての患者がリーダーを務めるわけではありませんが、個々の個性と能力が活かされることが大切です。
自発性が育ってこそ社会に出て行く力が強くなります。
第4の治療目標は、デイケア活動のなかで人間関係に巻き込まれても葛藤状況をうまくかわすことができるような、「課題解決能力の成長」です。
どんな社会でもストレスはあり、課題解決力や抵抗力がついてくることが望まれます。
こうして第5の治療目標として「再発・再入院を予防する」力が身についてくるのです。
さらに、仲間がいることで孤独感が軽減され再発予防に役立ちます。
第6の治療目標としては、「就労準備性の向上」です。
自発性が高まると就労意欲が高まってくることが多い。そのようなときに、パソコン教室のプログラムなどにより、技術習得とともに就労への動機づけが育つことが多いです。
近年は一歩進めて障害者雇用を実現する患者が増えています。
第7の治療目標は、「地域で暮らす仲間の獲得」です。
就労年齢の時期には、人間関係は職場のなかが中心になりますが、職場以外の場にも仲間がいることが心の支えになります。
特に、高齢になっても街に仲間を得られれば、孤独でなく人生の楽しみを得ることができます。
また、第8の治療目標として、「街で暮らし続けること」が重要です。
10年間以上も精神科病院に入院して、ようやく退院してきた慢性期の患者のなかには、デイケアと外来医療の支援があってようやく街で暮らせている者が多いです。
働けなくとも、この患者たちが入院に戻ることなく、街で暮らすことを維持する長期的な支援は、重要な治療目標です。
このほかに、リワークデイケアでは「現職場への復帰」が当面の課題となります。
発達障害者のデイケアでは「コミュニケーション能力の向上」が重要な課題です。
こうした治療目標に応じて、多職種連携によるケア会議を開き、患者ごとに「疾患別等診療計画」を立てることが求められています。
活動を通しての成長の速度はさまざまであり、半年も待たずに就労する者や、一方で少しずつ対人関係の輪を広げて10年間を経て障害者就労を実現させた通所者もおり、変化のスピードは個人差が大きいです。
そこを理解して、目標設定がなされなくてはなりません。

精神科デイケアでの工夫と評価

デイケアの運営については、施設基準に沿う必要がありますが、通所者の希望に応えてさまざまなタイプのプログラムを工夫する必要があります。
また、1単位のデイケアのなかで複数の小グループが別々のプログラムを実施することによって、通所者自身が場を選ぶことが可能になります。
複数の小グループに分かれて活動を実施することは、以前は施設基準に縛られて制限されていた時期がありましたが、2012年4月の診療報酬改定からは、小グループに分かれて活動を実施することが認められるようになりました。
実際の運営上のグループ分けの工夫は、興味の方向、参加者の年齢層、疾患の違い、体力の程度、就労意欲のあり方、職員の治療方針等々によってさまざまな活動に分けられています。
また、デイケアの実施にあたっては、「個別記録」と「集団活動日誌」(活動記録)が求められています。
さらに、定期的に実施する個別の「評価」が求められており、日本デイケア学会版の「精神科リハビリテーション評価表」が、一般に用いられています(HPからダウンロード可能)。

施設基準上の矛盾

現状の精神科デイケアの施設基準にはさまざまな矛盾があり、運営上の判断に困る場合が多いです。
例えば、小規模デイナイトケアおよびナイトケアは、精神保健福祉士と作業療法士の組み合わせで実施可能ですが、1人でも午後4時に帰宅する者がいれば、この組み合わせでは施設基準違反になってしまいます。
小規模デイケアの職員基準がほかと異なっています。
同様に不合理な基準が実際にいくつもあり、現場の職員は困惑しています。
これは、1990年代の地域ケア推進の時代に、新しいデイケア制度を次々と継ぎ足したために、施設基準の整合性に混乱を残しているのです。
制度全体を見直し、地域ケアを発展させる方向に修正する必要があるでしょう。

精神科デイケアの役割

デイケアの登場は、日本の精神科外来医療にコメディカル職員を増やし、多機能型精神科地域ケアの発展を可能にしました。
近年の実態調査によっても、デイケアは明らかに再発・再入院予防の役割をはたしており、社会機能の回復にも大きな成果をもたらしています。
また、2006年に障害者自立支援法(現在は障害者総合支援法)の施行によって、医療法人も自立支援事業所を開設できることになりました。
こうして、デイケアで就労意欲が高まった通所者を、就労移行支援事業所に導入するモデルが有効性を発揮しています。
精神疾患の回復期の入り口をデイケアが担い、出口を就労移行支援事業が担う連携によって、精神障害者の就労が飛躍的に伸びています。
一方で、長期入院から地域に戻ったなどの重い課題をもった通所者は、就労は困難でもデイケアの支援でようやく地域での生活が維持できている者が多く、地域移行になくてはならない機能でし。
精神疾患は現代の慢性疾患の1つであり、残念ながら短期間の治療で完治するものではありません。
長い自立の努力と周囲の見守りが必要な疾患であり、その面の支援の役割を忘れていけません。
精神科デイケアは、単に精神科リハビリテーションの役割にとどまらず、多職種・多機能の包括的精神科地域ケアが発展するための、中心的機能の1つとして期待されているのです。

機能性構音障害における音の産生訓練まとめ

当ブログで記載した機能性構音障害における音の産生訓練についてリンクをまとめました。
訓練のご参考になれば幸いです。

機能性構音障害の音の産生で基本となる訓練

母音の産生訓練

/p/、/b/、/m/の産生訓練

/ɸ/の産生訓練

/t/、/d/、/n/の産生訓練

/k/、/g/、/ ŋ/の産生訓練

/s/、/z/の産生訓練

/ʃ/の産生訓練

/ts/、/dz/、/tʃ/、/dʒ/、/ç/の産生訓練