機能性構音障害のおける「ふ」/ɸ/の産生訓練

機能性構音障害に方に対する「ふ」/ɸ/の産生訓練

/ɸ/は、上下唇で狭めを作ることによって産生される音です。
日本語の語音としては無声両唇摩擦音/p/があります。
誤りとしては省略が多いです。
/ɸ/を省略してしまう場合、以下のような方法を用いると良いでしょう。
/ɸ/は、口唇で摩擦を行うためには、上下唇で狭めを作り、その間をある程度以上の強さの呼気が通過することが必要なため、/ɸ/の訓練は、吹くことから始めます。
「フーって吹いて」と指示し、「フ」と聞くことができる程度の摩擦があれば、/ɯ/と結合させていきます。
「フーって吹いて」という指示でうまく吹けない場合には、手のひらを吹く(冷たい息で)、ティッシュを吹くなど、触覚的・視覚的フィードバックを用いるとよいでしょう。
いずれの場合も、STが見本として行ってみせることが望ましいです。
触覚的・視覚的フィードバックを用いても、鼻から息を出してしまったり、口唇閉鎖が起こり/p/となってしまう場合は、呼気のみでなく吸気を意識させるるとよいでしょう。
口唇を狭めた口型を動かさず、深呼吸のように吸気から始めると前述の誤りを防止しやすいです。

/ɸ/の産生訓練の流れ


↓音声による解説はこちら↓


機能性構音障害の音の産生で基本となる訓練

母音の産生訓練

/p/、/b/、/m/の産生訓練

/ɸ/の産生訓練

/t/、/d/、/n/の産生訓練

/k/、/g/、/ ŋ/の産生訓練

/s/、/z/の産生訓練

/ʃ/の産生訓練

/ts/、/dz/、/tʃ/、/dʒ/、/ç/の産生訓練

https://www.st-medica.com/2018/11/tsdztdc.html

機能性構音障害における「は・へ・ほ」/h/、「や・ゆ・よ・わ・を」半母音、「ら行」/r/の産生訓練

機能性構音障害における 「ぱ行」無声両唇破裂音/p/、「ば行」有声両唇破裂音/b/、「ま行」両唇鼻音/m/の産生訓練

両唇破裂音は、上下唇で閉鎖を作り、破裂させることによって産生される音です。
日本語の語音としては無声両唇破裂音/p/、有声両唇破裂音/b/、両唇鼻音/m/があります。構音発達初期から見られる音であり、機能性構音障害では誤りが見られることは少ないです。
一方、両唇破裂音に誤りの見られる子どもは、多構音障害や口腔器官の運動が不器用な場合が多いです。
両唇破裂音に誤りが見られる場合には、運動障害性構音障害に準じて構音器官の運動範囲、スピード、パワーを知っておくことが必要です。
誤りは省略が主であり、破裂音において声門破裂音が見られることがあります。
/p//b//m/を省略してしまうケースでは、以下のような方法を用います。

(1)/m/から導入する

口唇を閉じさせ、「お口を閉じて、ンーって言って」などの指示で[m:]を促します。
可能となったら、母音/a/との結合を図ります。
[m:]と伸ばさせたまま/a/を続けて構音させます。
図などで連続していることを示すとわかりやすいです。
反復させることにより[a:m:a:m:]から/ma/へ導きます。
一見、「ンー」という音が出ていても、口腔内で舌背と口蓋が閉鎖して/n/や/ɲ/を行っている場合もあります。
この場合、母音と結合しようとした際[na]や[ɲa]に近い音が表出されます。
/a/と/m/の連続表出で修正可能となることもあるが、困難な場合は/p/からの導入へ変更します。

(2)/p//b/から導入する

まず、頬をふくらませます。「アップップして」などの指示で行います。
ふくらませた類をSTあるいは自分の指で内側へ押し、破裂させます。
これを繰り返しながら、指を使わずに破裂できるよう少しずつ指の力を弱めていきます。
十分ふくらませることができない場合、鼻咽腔閉鎖機能や協調運動について再確認が必要です。
/p/が産生可能となったら、母音と結合させる。
この場合、口型の動きが少ない/ɯ/から始めると良いでしょう。

(3)/ ɸ/から導入する

/ɸ/が可能であれば、[ɸ:]と息を出すことを促します。
その途中で両唇を閉じさせます。
自力での閉鎖が困難な場合、STが軽く両唇をつまんで閉鎖します。
これを連続的に[ɸ:pɸ:pɸ:]と行わせる。 [pɸ:]が単独で可能となったら、/ɯ/と結合します。

(4)被刺激性があり、誤りが浮動的な場合

STの正音を模倣してもらいます。
並行して、構音操作に関して説明を行ってもよいですが、音に対し意識過剰とならないよう留意が必要です。
(1)(2)(3)のどの場合も、口唇の運動スピードとパワーを上げる訓練を並行することが望ましいです。 口唇の突出と口角の引きを繰り返す、口唇の閉鎖を保つなどです。
前者は「ウー、イーって続けてやって」と指示し、STが見本を示しつつスピードを上げていきます。
後者では、ストローや舌圧子などを口唇のみで支えさせます。
どちらにしても、ST=できる人、子ども=できない人、という図式にならないよういっしょに行います。ゲーム的要素を取り入れるなどのくふうがあるとよいでしょう。
声門破裂音となっている場合、もっとも注意すべきは二重構音を防ぐことです。
声門破裂音は声帯の強い内転によって起こるので、これを防止するよう以下に留意します。
1.声帯振動を伴わない無声音から導入するほうがよいです。
2.パピプペポである、と意識させないほうがよいです。
3.全身状態をリラックスさせるほうがよいです。
初めは急激な破裂でなく、やや引き伸ばしぎみのほうがよいです。具体的訓練は、(2)の訓練と同様です。

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機能性構音障害の音の産生で基本となる訓練

母音の産生訓練

/p/、/b/、/m/の産生訓練

/ɸ/の産生訓練

/t/、/d/、/n/の産生訓練

/k/、/g/、/ ŋ/の産生訓練

/s/、/z/の産生訓練

/ʃ/の産生訓練

/ts/、/dz/、/tʃ/、/dʒ/、/ç/の産生訓練

https://www.st-medica.com/2018/11/tsdztdc.html

機能性構音障害における「は・へ・ほ」/h/、「や・ゆ・よ・わ・を」半母音、「ら行」/r/の産生訓練

機能性構音障害の方に対する母音の産生訓練


機能性構音障害の方に対する母音の産生訓練

日本語の母音は、口唇の開き(口型)、舌の挙上部位、挙上の程度で決定されています。
母音における構音の誤りに、鼻咽腔構音(鼻腔構音)、側音化構音があります。
これは、舌背が口蓋と接してしまうのが原因です。
主に/i/に見られ、/ɯ/に見られることもあります。

鼻咽腔構音ケースの訓練方法

鼻咽腔構音ケースでは、以下のような方法を用います。
口腔から呼気を流出させることが主なねらいとなり、イ列音のすべてに誤りが見られる場合、/i/より/ʃi/から導入するほうが容易です。
鼻咽腔構音の場合、鼻孔をふさぐと鼻腔から呼気が流出できなくなり、音が出なくなります。
その結果、鼻孔を押さえることで、口腔からの呼気流出を促せることがあります。
鼻孔をふさぐ場合、鼻をつまむと痛みやむずがゆさ、不快感を伴いやすいため、両親指の腹で、鼻孔を下からふさいでやると良いでしょう。
口腔からの呼気流出が可能な他の母音を利用する方法もあります。
/i/であれば、同じ前舌系である/e/か開口度を小さくするら導くと良いでしょう。
[e:]と発声してもらい、そのまま連続して[e:i:]の発声を促し、徐々に/e/部を短くしていきます。
/ɯ/では、同じ奥舌音である/o/から同様に促すと良いでしょう。
基本訓練の舌の脱力・安定を行い、可能となったら、舌を歯間に出した状態のまま/i/の発声を促します。

基本訓練の舌の脱力・安定については下記の記事を参照ください↓
機能性構音障害の音の産生で基本となる訓練
舌を出すのは、舌が/i/発声時に動いていないことを、子どもに視覚的に確認させる意味があります。

/e/から/i/を促す訓練の流れ



↓音声による解説はこちら↓


機能性構音障害の音の産生で基本となる訓練

母音の産生訓練

/p/、/b/、/m/の産生訓練

/ɸ/の産生訓練

/t/、/d/、/n/の産生訓練

/k/、/g/、/ ŋ/の産生訓練

/s/、/z/の産生訓練

/ʃ/の産生訓練

/ts/、/dz/、/tʃ/、/dʒ/、/ç/の産生訓練

https://www.st-medica.com/2018/11/tsdztdc.html

「は・へ・ほ」/h/、「や・ゆ・よ・わ・を」半母音、「ら行」/r/の産生訓練

機能性構音障害の音の産生で基本となる訓練

舌の脱力・安定

習慣化した誤り構音を改善するうえで、舌の脱力・安定は重要です。
特に、舌尖・前舌を用いて構音する音の場合、舌が緊張し、力が入ることによる舌背の挙上を抑制しなければいけません。
目標とする状態は、口を軽く開き、舌は下歯列に沿って下唇より前方に出ることなく、舌背はどこも隆起しておらず、舌縁が両口角に触れている状態です。
  1. まず、舌を出してもらいます。STが見本を示し、模倣させるとよいでしょう。困難な場合は、「アカンベーをして」と指示すると、低年齢児にも指示理解が容易です。しかし、このように指示すると、多くの場合、力いっぱい舌を出そうとして舌尖が下方を向き、舌は緊張した状態になりやすいです。そのため、この状態から目標の位置まで後退させることと、舌を脱力させることが必要です。
  2. 力いっぱい舌を出している状態で、舌を脱力することは難しいため、舌位置を後方に下げるよう促すと、それで脱力できる場合があります。その状態で舌の脱力が難しい場合、舌のみでなく、全身を脱力して見本を示すと、結果として舌も脱力しやすいです。脱力する感覚がうまくつかめない場合は、肩を上方に上げ緊張状態を作ってから、一気に息を吐きながら脱力を促すと誘導しやすいです。
  3. 舌に力が入り、円筒形となってしまい(イモ舌、棒舌と呼ばれる)、舌縁と両口角がつかない場合も、全身の脱力は有効です。言語指示としては、見本あるいは図示しつつ、「おイモの舌でなく、お皿の舌にして」と指示するとよいでしょう。また、息を止めて行ってしまう子どもの場合、待っていると呼吸が苦しくなって脱力が見られることがあります。言語指示、視覚刺激、運動による誘導を行いつつ、偶発した正しい状態を意識させていくことが大切です。

舌出し母音

舌が脱力できるようになったら、その状態を維持したまま、呼気を流出する訓練を行います。
この訓練は、/s//t/などの歯茎音の訓練や側音化構音の訓練時に用いられます。
  1. 舌を出したまま、「ハー(あるいはヘー)って息を出して」などの指示で息を出してもらいます。その際、舌の形が変化しないよう確認します。
  2. 可能となったら、舌を出した状態で母音を産生させる。/a//e/は比較的容易なことが多く、これに対し/i//o/はやや難しい。
  3. 母音を産生しようとすると舌に力が入ってしまう場合、「ハー」あるいは「ヘー」を息でなく声を出して行ってもらいます。この際、十分に音を伸ばしながら行わせるとよいでしょう。

訓練の流れ:舌の脱力・安定/舌出し母音

アカンベーをさせる(舌の位置、形、力の入り方に注意する。脱力できない場合は、舌ないし全身を使って、緊張と脱力を繰り返し、脱力している感覚を覚えさせる)
脱力したまま5~10秒活を維持する(時間経過につれて舌が動いてしまうことに注意する)
舌出しと舌を出さない状態を繰り返す(すばやくスムーズに舌の脱力状態ができるようにする)
舌出しのまま、呼気(「ハー」ないし「ヘー」)を出す
舌出しのまま声を出させ、舌出し音を促す。/a//e/→/ɯ/→/i//o/

有声音から無声音を導く

同一の構音点・構音法で、有声・無声が異なる音があります。
このような場合どちらかの音が産生可能となることによる自然治癒が期待できるが、自然治癒しにくい場合、ほかの音から移行する方法により対立する音を導くことができます。
  1. 有声音から無声音を導く場合、ささやき声での産生を促します。ささやき声においては、声帯振動を伴わないため、自然無声音を短くするを導くことができます。/ŋ/から導入し/g/が産生可能となった子どもに/k/を導入する場合、「ないしょで『が』をやってみて」と促し、無声音である/k/を導きます。ささやき声が導きにくい場合、STもささやき声で指示すると、自然に子どものささやき声を導きやすくなります。文字が読める子どもであれば、有声である「が」に対し、ないしょの「が」であることを色を変えるなどして図示すると、意識させやすいです。
  2. 可能となったら、「ないしょの『が』」に母音を結合させていきます。/a/から行うのが容易です。母音を結合する場合は、ささやき声と有声音である母音産生との切り替えが難しくなります。連続的に/k/と母音を産生することができず区切れてしまうことや、/k/から/a/へのわたりがスムーズに行われず、[kha:]と/h/が挿入されてしまうことがあります。このような場合は、/a/もささやき声から導入すると、無声から有声へ切り替えやすくなります。

訓練の流れ:/g/から/k/を導く

無声音から有声音を導く

無声音から有声音を導く場合、無声音を持続産生させたまま「声を出してごらん」と促すことで有声音を導く。この際、口型舌位置が変化しないよう持続して息を出させたまま声を出させる留意します。子ども本人に、鏡ですず視覚的にフィードバックさせるとよいでしょう。
STは対面で見本を示してよいが、鏡を用いる場合には子どもの横に位置し、鏡にSTの見本も同時に映るようにしたほうが、子どもの視覚的フィードバックの助けとなります。

訓練の流れ:/s/から/z/を導く


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機能性構音障害の音の産生で基本となる訓練

母音の産生訓練

/p/、/b/、/m/の産生訓練

/ɸ/の産生訓練

/t/、/d/、/n/の産生訓練

/k/、/g/、/ ŋ/の産生訓練

/s/、/z/の産生訓練

/ʃ/の産生訓練

/ts/、/dz/、/tʃ/、/dʒ/、/ç/の産生訓練

https://www.st-medica.com/2018/11/tsdztdc.html

「は・へ・ほ」/h/、「や・ゆ・よ・わ・を」半母音、「ら行」/r/の産生訓練