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機能性構音障害の音の産生で基本となる訓練

舌の脱力・安定

習慣化した誤り構音を改善するうえで、舌の脱力・安定は重要です。
特に、舌尖・前舌を用いて構音する音の場合、舌が緊張し、力が入ることによる舌背の挙上を抑制しなければいけません。
目標とする状態は、口を軽く開き、舌は下歯列に沿って下唇より前方に出ることなく、舌背はどこも隆起しておらず、舌縁が両口角に触れている状態です。
  1. まず、舌を出してもらいます。STが見本を示し、模倣させるとよいでしょう。困難な場合は、「アカンベーをして」と指示すると、低年齢児にも指示理解が容易です。しかし、このように指示すると、多くの場合、力いっぱい舌を出そうとして舌尖が下方を向き、舌は緊張した状態になりやすいです。そのため、この状態から目標の位置まで後退させることと、舌を脱力させることが必要です。
  2. 力いっぱい舌を出している状態で、舌を脱力することは難しいため、舌位置を後方に下げるよう促すと、それで脱力できる場合があります。その状態で舌の脱力が難しい場合、舌のみでなく、全身を脱力して見本を示すと、結果として舌も脱力しやすいです。脱力する感覚がうまくつかめない場合は、肩を上方に上げ緊張状態を作ってから、一気に息を吐きながら脱力を促すと誘導しやすいです。
  3. 舌に力が入り、円筒形となってしまい(イモ舌、棒舌と呼ばれる)、舌縁と両口角がつかない場合も、全身の脱力は有効です。言語指示としては、見本あるいは図示しつつ、「おイモの舌でなく、お皿の舌にして」と指示するとよいでしょう。また、息を止めて行ってしまう子どもの場合、待っていると呼吸が苦しくなって脱力が見られることがあります。言語指示、視覚刺激、運動による誘導を行いつつ、偶発した正しい状態を意識させていくことが大切です。

舌出し母音

舌が脱力できるようになったら、その状態を維持したまま、呼気を流出する訓練を行います。
この訓練は、/s//t/などの歯茎音の訓練や側音化構音の訓練時に用いられます。
  1. 舌を出したまま、「ハー(あるいはヘー)って息を出して」などの指示で息を出してもらいます。その際、舌の形が変化しないよう確認します。
  2. 可能となったら、舌を出した状態で母音を産生させる。/a//e/は比較的容易なことが多く、これに対し/i//o/はやや難しい。
  3. 母音を産生しようとすると舌に力が入ってしまう場合、「ハー」あるいは「ヘー」を息でなく声を出して行ってもらいます。この際、十分に音を伸ばしながら行わせるとよいでしょう。

訓練の流れ:舌の脱力・安定/舌出し母音

アカンベーをさせる(舌の位置、形、力の入り方に注意する。脱力できない場合は、舌ないし全身を使って、緊張と脱力を繰り返し、脱力している感覚を覚えさせる)
↓
脱力したまま5~10秒活を維持する(時間経過につれて舌が動いてしまうことに注意する)
↓
舌出しと舌を出さない状態を繰り返す(すばやくスムーズに舌の脱力状態ができるようにする)
↓
舌出しのまま、呼気(「ハー」ないし「ヘー」)を出す
↓
舌出しのまま声を出させ、舌出し音を促す。/a//e/→/ɯ/→/i//o/

有声音から無声音を導く

同一の構音点・構音法で、有声・無声が異なる音があります。
このような場合どちらかの音が産生可能となることによる自然治癒が期待できるが、自然治癒しにくい場合、ほかの音から移行する方法により対立する音を導くことができます。
  1. 有声音から無声音を導く場合、ささやき声での産生を促します。ささやき声においては、声帯振動を伴わないため、自然無声音を短くするを導くことができます。/ŋ/から導入し/g/が産生可能となった子どもに/k/を導入する場合、「ないしょで『が』をやってみて」と促し、無声音である/k/を導きます。ささやき声が導きにくい場合、STもささやき声で指示すると、自然に子どものささやき声を導きやすくなります。文字が読める子どもであれば、有声である「が」に対し、ないしょの「が」であることを色を変えるなどして図示すると、意識させやすいです。
  2. 可能となったら、「ないしょの『が』」に母音を結合させていきます。/a/から行うのが容易です。母音を結合する場合は、ささやき声と有声音である母音産生との切り替えが難しくなります。連続的に/k/と母音を産生することができず区切れてしまうことや、/k/から/a/へのわたりがスムーズに行われず、[kha:]と/h/が挿入されてしまうことがあります。このような場合は、/a/もささやき声から導入すると、無声から有声へ切り替えやすくなります。

訓練の流れ:/g/から/k/を導く

無声音から有声音を導く

無声音から有声音を導く場合、無声音を持続産生させたまま「声を出してごらん」と促すことで有声音を導く。この際、口型舌位置が変化しないよう持続して息を出させたまま声を出させる留意します。子ども本人に、鏡ですず視覚的にフィードバックさせるとよいでしょう。
STは対面で見本を示してよいが、鏡を用いる場合には子どもの横に位置し、鏡にSTの見本も同時に映るようにしたほうが、子どもの視覚的フィードバックの助けとなります。

訓練の流れ:/s/から/z/を導く


↓音声での解説はこちら↓




機能性構音障害の音の産生で基本となる訓練

母音の産生訓練

/p/、/b/、/m/の産生訓練

/ɸ/の産生訓練

/t/、/d/、/n/の産生訓練

/k/、/g/、/ ŋ/の産生訓練

/s/、/z/の産生訓練

/ʃ/の産生訓練

/ts/、/dz/、/tʃ/、/dʒ/、/ç/の産生訓練

https://www.st-medica.com/2018/11/tsdztdc.html

「は・へ・ほ」/h/、「や・ゆ・よ・わ・を」半母音、「ら行」/r/の産生訓練


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