口唇・舌・頬の嚥下訓練

唇・舌・頬の嚥下訓練

口腔器官の筋力・拘縮・感覚の低下などを予防し、準備期・口腔期の機能向上を目的として行います

主な対象は、脳血管障害等による口腔相障害、口腔癌術後患者、高齢者全般です。

具体的方法
・口唇:第 1 指と第 2 指で上口唇に対して、伸ばしたり縮めたりを繰り返します。下口唇に対しても同様に行います。指示に従える場合は自動運動を行っていただくようにします。筋力増強を目的として口唇閉鎖運動を抵抗運動として行う場合もあります。摂食訓練として行う場合は、食事介助時に手指を用いて口唇閉鎖による捕食や咀嚼運動を補助します。

・舌:重症度に応じて、突出、挙上、側方などを他動運動、自動運動、抵抗運動と組み合わせて行います。他動運動では、湿ったガーゼで舌の前方を包むようにしっかりと保持して、前方、上方、側方運動を行います。
他動・自動運動ともに視覚的にフィードバックできる場合は鏡を用いて行います。抵抗運動は個々の患者の能力に応じて舌圧子、スプーン、 バイトブロックなどを用いて負荷をかけて行います。

・頬:顔面全体の筋緊張を緩和した後に、温タオルなどで温熱刺激を加えリラクゼーションを図り顔面全体の血流をよくします。その後、他動運動、自動運動を組み合わせながらゆっくり開口・閉口、下顎の前進・後退、左右に動かします。頬全体は手掌で円を描くようにゆっくりとストレッチをかけながらマッサージします。
 指、スプーン、電動ブラシ(背側)などを用いて頬の内側からストレッチをかけたり、振動を与えて感覚や筋運動を高める方法もあります。

口腔周囲は知覚が敏感であるため、リラクゼーションを図ったあとに行う良いです。
口腔内が乾燥している状態で行うと痛みを助長し、粘膜を傷つけたりするため、口腔内が清潔で湿潤していることを確認して行います。舌の訓練では唾液の分泌が増加するため、ムセや誤嚥を引き起こさないよう注意しながら行います。
いずれも粘膜を傷つけないような注意が必要です。