健忘症候群と作話


健忘症候群と作話

作話がよくみられるのは健忘症候群(広義)のときです。
多くの人に認められている健忘症候群の病理解剖学的背景は、海馬ー海馬釆-脳弓ー乳頭体-視床前核(「パペッツの回路」とよばれる)の損傷です。
健忘症候群は、健忘、記銘力障害、失見当識および作話の四大症状から構成されます。
健忘症候群の基本症状が健忘ないし記銘力障害であるとする考えと、自己の生活史の時問的失見当ないし特有の人格障害であるとする見解とがあります。
それと絡み合って、作話を健忘(過去の記憶欠損)を穴埋めするための二次的現象とする立場と、健忘の単なる派生的結果ではなく、それ自体独自の精神症状とみる立場とがあります。
そして以上の二つのそれぞれに並行する見解から、今問題にしている症候群を二つに分解して理解しようとする立場が生まれます。
すなわち、健忘を主とする健忘症候群(狭義)と、時間的見当識や作話を強く示すコルサコフ症候群とです。