高次脳機能障害 社会的行動障害


高次脳機能障害 社会的行動障害

①意欲・発動性の低下:自発的な活動が乏しく、運動障害を原因としていないが、一日中ベッドがから離れないなどの無為な生活を送る。

②情動コントロールの障害:最初のいらいらした気分が徐々に過剰な感情的反応や攻撃的行動にエスカレートし、一度始まると患者はこの行動をコントロールすることができない。自己の障害を認めず訓練を頑固に拒否する。突然興奮して大声で怒鳴散らす。看護者に対して暴力や性的行為などの反社会的行為が見られる。

③対人関係の障害:社会的スキルは認知能力と言語能力の下位機能と考えることができる。高次脳機能障害者における社会的スキルの低下には急な話題転換、過度に親密で脱抑制的な発言および接近行動、相手の発言の復唱、文字面に従った思考、皮肉・諷刺・抽象的な指示対象の認知が困難、さまざまな話題を生み出すことの困難などが含まれる。面接により社会的交流の頻度、質、成果について評価する。

④依存的行動:脳損傷後に人格機能が低下し、退行を示す。この場合には発動性の低下を同時に呈していることが多い。これらの結果として依存的な生活を送る。

⑤固執:遂行機能障害の結果として生活上のあらゆる問題を解決していく上で、手順が確立していて、習慣通りに行動すればうまく済ますことができるが、新たな問題には対応できない。そのような際に高次脳機能障害者では認知ないし行動の転換の障害が生じ、従前の行動が再び出現し(保続)、固着する。