福山型先天性筋ジストロフィー患者の筋肉

福山型先天性筋ジストロフィー患者の筋肉

福山型先天性筋ジストロフィー患者の筋肉では、α- ジストログリカンの糖鎖部分に対する抗体で免疫染色を行うと染色性が著減していますが、蛋白質部分に対する抗体で染色すると染色性が保たれています。
このことは、福山型先天性筋ジストロフィーにおいては、α- ジストログリカンの糖鎖に何らかの異常があることを示しています。
同様の異常はmuscle-eyebrain病、Walker-Warburg症候群を初めとする先天性筋ジストロフィーや2I 型を初めとする一部の肢帯型筋ジストロフィーにも認められます。
福山型の原因遺伝子FKTNがコードするフクチンのアミノ酸配列は糖転移酵素と相同性があることから、α- ジストログリカンの糖修飾に何らかの役割を有しているものと考えられています。
福山型先天性筋ジストロフィーを含む一連の筋ジストロフィーでα- ジストログリカンの糖鎖異常を来すものは、α- ジストログリカノパチーと総称されています。
ジストロフィン軸の最外層のラミニンはα- ジストログリカンとα- ジストログリカンの糖鎖部分で結合しています。
α- ジストログリカノパチーにおいては、α- ジストログリカンの糖鎖が正しく形成されていないことから、ラミニンとα- ジストログリカンとの結合が断絶しています。
すなわち、ジストロフィン軸の断絶を意味しており、ジストロフィノパチーと同様に筋線維膜の脆弱性を来して、筋ジストロフィーを引き起こします。