唾液分泌量の変化による影響

唾液分泌量の変化による影響

全唾液腺は、大唾液腺(耳下腺、顎下腺、舌下腺)と小唾液腺の大きく 2 つに分けらる。
大唾液腺は大量に唾液を分泌する役割、小唾液腺は口の中の機能を保つ役割がある。
健康成人の唾液量は1日1〜1.5Lあり、近年、年齢に伴う全唾液分泌量への影響はほとんどないと言われている。

しかし、高齢者の多くが口の乾きを訴える理由はなんなのだろうか。
ひとつには、小唾液腺の実質容量が年齢に伴って減少し、脂肪組織と結合組織が増殖し、腺細胞が縮小するため、小唾液腺からの唾液分泌量が減少するためと言われている。
この変化が小唾液腺の一つである口蓋腺にも起こり、これが高齢者の多くが口の渇きを訴える理由の一つとされている。

また、高齢者の唾液分泌量の減少には、基礎疾患の有病率や唾液腺の障害、服薬薬剤の影響が知られている。

唾液分泌量が減少すると自浄作用が低下し、細菌因子の増加と歯肉組織の脆弱化をもたらす。

このことから唾液分泌量の減少は歯周病のリスクファクターであり、う蝕のリスクが高まるなど、さまざまな口腔内疾患が引き起こされる。

唾液の潤滑作用の低下と唾液タンパクの質的・量的な変化によって口腔内が乾燥すると、口腔粘膜の保護作用を喪失する。

唾液は、口腔内を衛生的・機能的に保つという大きな役割を担っている。