肢帯型筋ジストロフィー2B型

肢帯型筋ジストロフィー2B型

大半の筋疾患は肢帯が好んで侵されます。
従って「肢帯型筋ジストロフィー」とは、臨床的特徴に乏しい筋ジストロフィーを意味します。従って、必然的に遺伝学的に異なる疾患が含まれます。
常染色体優性遺伝のものは1型、常染色体劣性遺伝のものは2型に分類されます。
それぞれの型の中で、最初に遺伝子座または原因遺伝子が見つかった順に1A、1Bなどとアルファベットが割り振られていきます。
これまでに少なくとも1Gまでと、2Pまでがあることが知られています。

本邦で最も頻度の高いのは2B型です。この2B型で欠損するジスフェルリンも筋線維膜タンパク質ですが、筋線維膜の補強ではなく、筋線維膜が損傷を受けた場合の修復に関与しています。

従って、ジスフェルリノパチーは、筋線維膜の脆弱性による筋ジストロフィーではなく、膜の修復異常による筋ジストロフィーと言えます。

ジスフェルリノパチーは10歳代後半から30歳代半ばにかけて、下肢筋力低下で発症します。当初は上肢の筋力は保たれていることが多い。同様にジスフェルリン欠損を原因とする疾患に三好型ミオパチーがあります。

三好型は遠位型ミオパチーの一種であり、腓腹筋が好んでおかされる。ただし進行すると肢帯型であっても進行例ではほぼ必ず腓腹筋が侵されており、進行例で肢帯型と三好型を区別することは困難です。

さらには、同一家系内でも肢帯型と三好型が混在することもあります。

血清CK値は数千IU/l に上昇しており、歩行可能な時期で1、000IU/l を下回ることはありません。

筋生検を行い、免疫染色またはウェスタン解析を行うことで診断が付きます。

遺伝子診断が必要な場合には、55個全てのエクソンのシークエンスが必要となります。