脳卒中上肢機能検査 Manual function test(MFT)

脳卒中上肢機能検査 Manual function test(MFT)


脳卒中上肢機能検査とは

脳卒中上肢機能検査 Manual function test(MFT)は、脳卒中片麻痺 患者の神経学的回復時期における上肢運動機能の 経時的変化を測定・記録することを目的として、 東北大学医学部附属リハビリテーション医学研究施設・鳴子分院において中村隆一らにより開発されました。その後MFTは、一部改良されてMFT-2となっています。

MFTは8つの項目からなる上肢機能検査です。
「上肢の前方挙上」「上肢の側方挙上」「手掌 を後頭部へ」「手掌を背部へ」「握る」「つまむ」 の遂行可否、「立方体運び」「ペグボード」の規定時間内の達成数から得点化します。
32のサブテス トがあり、テストごとに不可0点、可1点が与えられ、サブテストの合計は32点満点です。
これを3.125倍して100点満点にしたものをMFS (manual function score)と呼びます。

実施時の注意点

「握る」「つまむ」は、手指の機能を評価しているので、健側上肢で患側上肢の手首を支えてもよいです。
その一方、「立方体運び」 「ペグボード」は、上肢と手指の複合機能を評価 しているので,健側上肢で支えてはいけません。
また、「両側上肢とも検査する」「テストの指示 は言葉による説明と実演を併用する」「患者が指 示を十分理解するように、各テストは原則として 健側から行う」などの注意点も記されています。
MFSと脳卒中発症からの期間とには、双曲線関数によって表される関係があり、上肢機能レベ ルの予後予測にも利用が可能とされています。
森山らは、発症6カ月未満の脳卒中141例の 麻痺側上肢機能を、MFTを用いて12週以上にわ たり4週ごとに評価したところ、MFSの経時的変 化は84例(60%)で双曲線回帰に近似可能であり、回帰成立の決定因は、初回MFS(26~75点)、発症からの期間(発症後8週以内に一部随意運動が認められた症例)であったと報告しています。

マニュアルはこちら↓