非語彙的音韻ルート(復唱のルート)

非語彙的音韻ルート(復唱のルート)

非語彙的音韻ルート(復唱のルート)は、音響として聞き取った言葉を、音韻として正しく捉えた後、そのまま同じ音韻を返す処理のルートをいいます。
非語彙的音韻ルート(復唱のルート)ルートは以下の通りです。
➅構音運動実行 (音声表出)
①音声入力→②音響分析→③音韻照合 (入力音韻辞書)までの処理は、単語の聴覚的理解と同じです。
しかし、文脈がない音韻1モーラや非語 (無意味語)は語彙ではないため、次の語彙照合では、「語彙ではない」という判定を受け、その先に進むことはできません。
そのため、音韻照合(入力音韻辞書)の後、直接音韻選択 (出力音韻辞書)の処理に進むことになります。
つまり文脈を伴わない1モーラや非語 (無意味語)では、語彙情報や意味情報は関与しません。
➃音韻選択 (出力音韻辞書)では、入力音韻辞書で照合 (同定)した音韻と、同じ音韻を出力音韻辞書で、再度選択する処理過程が行われます。 文脈を伴わない1モーラや非語 (無意味語)で音韻性錯語が起こる場合この段階での障害が疑われます。
⑤音韻配列 (音韻集力バッファー)は、選択した音韻を配列する過程です。非語 (無意味語)の場合で、音韻の並び替えの誤りが見られる場合は、この段階の障害が疑われます。(1モーラだけの処理の場合にはあまり考える必要はありません)
➅構音運動実行 (音声表出)の段階では、運動の設計図の通りに、発声発語器官の多数の神経・筋系が協調的に活動して日から音声が発せられます。
1モーラだけでなく、非語 (無意味語)の復唱も同様のルートで処理されますが、1モーラだけを復唱する場合に比べ、聴いてから復唱し終わるまでの短時間、複数の音韻を把持しなければならなくなり、その分だけ情報処理としての負荷量が増加します。
短時間音韻を把持する処理のことを音韻リハーサル と呼ばれています。
聞き取った音韻が消えてなくならないように、配列がばらばらにならないように、頭の中で何度も繰 り返して唱え続け、活性を保つ作業のことをいいます。
音韻リハーサルが途絶えてしまうと、その音韻は数秒から十数秒の間に脳の中から消えてしまうと言われています。この音韻リハーサルのシステムが障害されると、非語の復唱が非常に困難になります。