外れたアゴを徒手的に治すヒポクラテス(HipPocrates)法

外れたアゴを徒手的に治すヒポクラテス(Hippocrates)法


はじめに

この記事は医療者向けです。
なお、万が一この手技を行った際に負ってしまった損傷は当サイトでは責任は持ちません。
この主義はアゴの前方脱臼(※1)に有効と思われます。

ヒポクラテス(Hippocrates)法とは

ヒポクラテス(Hippocrates)法とは術者が患者の前に立って、母指を口腔内に入れて行う整復法で、従来から教科書に掲載されている方法です。

手技

  1. まず患者を椅子などに腰かけさせたうえで頭部を固定します。
  2. 頭まで背もたれのある椅子を用いたり、または丸椅子を壁際に置き、壁に後頭部を押し当てる姿勢で座ってもらいます。(※2)
  3. 術者は両方の母指にガーゼを巻いて患者の口の中に入れ、下顎臼歯咬合面に母指の腹側を置きます。
  4. 両手の他の4本の指は口腔外から下顎を支えます。
  5. この状態で、まず臼歯を下方へ押し下げます。
  6. ついで後方(患者の背側)へ持っていきます。
  7. 下顎頭が下顎窩に引き込まれるのを感じたら前歯部を上方に回転させ、下顎全体を手前に引きます。
  8. 整復されれぽ軽いクリック感とともに、患者は口を閉じることができるようになります。

(※1)前方脱臼
最もよく遭遇するタイプです。よくある発症パターンは、「あくびをしたり、口を大きく開けてものを食べようとしたり、大笑いをした、抜歯を受けた」などです。
大きく口を開けた際に下顎頭が関節結節を越えて前方に転位し、さらに外側靱帯、咬筋、外 側翼突筋といった閉口筋が収縮することにより、その牽引力で脱臼した位置で下顎頭が固定されてしまい、元の位置に戻れなくなっている状態です。
(※2)1.2.は、いずれも頭が後ろに逃げていくのを避けるためです。義歯がある場合には入れてもらうと良いです。
(その他)ヒポクラテス(Hippocrates)法患者を座らせずに、臥位にする方法もあります。臥位にすることで患者はよりリラックスできます。デメリットは術者が力を入れにくいことです。