吃音の現状について


小児の吃音はほとんどが幼児期に好発する発達性吃音です。

近年、その原因探索が進み、遺伝要因が7割以上であることや、脳内白質の異常とそのために言語関連の脳領域間の機能接続の不良が明らかになってきています。

これらにより、吃音の原因が親の育て方に問題があるからではないことと、親が吃音に気がつかない振りをしても吃音の改善にはあまり貢献せず、却って児の心理的な孤立を招くので問題があると考えられるようになりましましました。

幼児期に大多数は自然治癒しますが、2年以上かかることも多く、その間は専門家のサポートが必要になります。

また、自然治癒の割合は高いものの、発症率も高いので、自然治癒しない絶対人数も多いです。

そのため、放置せずに児が話しやすいように環境調整をしつつ、定期的に経過を観察し、苦悶や悪化がみられるか、就学前1年程度までに改善がない症例には直接的介入を行います。

近年は有効率が高い介入方法が増えており、できるだけ幼児期に積極的に治療することが勧められます。

学齢中期以降は自然治癒が少なくなり、からかいやいじめが起きやすく、心の傷を残すことがあるので、環境調整や心理面を含めた総合的な対応が必要です。

治療は行動療法を中心として発話の自動化を目指し、吃音についての教育や認知行動療法を導入することで、自尊感情の維持・向上を図るようにします。

吃音は一般に、「どもり」として知られていますが、マスコミでは差別用語として使用禁止となっているため、医学用語であってあまり一般には知られていない吃音として報道され、吃音者・児には情報が到達しにくい。

最近はインターネット検索の普及でこの問題は小さくなりつつありますが、啓発のためには吃音の表記だけでは問題があることに留意が必要です。

吃音には小児期に他の原因となる疾患がなく起きる発達性吃音と、脳損傷によって起きる神経原性吃音と、成人発症の心因性吃音があります。

小児期にみられる吃音のほとんどは発達性であり、成人でも9割以上は発達性吃音であります。

吃音があると、笑われ、からかわれ、いじめられることも多く、年齢とともに症状が進展し、PTSD様の反応を示したり、多人数の前では強い羞恥心で話せなくなるなど、重症化することも多いです。

社交不安障害やうつを続発することも稀ではありません。

知的には正常な者がほとんどですが、吃らないこと、あるいは吃りを隠すことが人生の最優先事項となってしまい、自己実現を困難にすることがあります。

しかし、わが国では吃音の専門家が少なく、特に青年期以降は専門家へのアクセスが不足するため、実質的に吃音の治療が受けられない地域も多いのが現状です。

一方、世界的にはここ20年ほどの間に原因解明や治療対応が進んでおり、ガイドラインや詳細なレビューも発表されています。

次のページでは、症状や検査、診断について解説してきます。