ケースマネジメントの定義、適応、分類、手順について解説します。

ケースマネジメントの定義

ケースマネジメントとは、多様なニーズをもった人々が、自分の能力を発揮し健康に過ごすことを目的として、フォーマル・インフォーマルの支援ネットワークを組織し調整し維持することを、計画的に実施する人やチームの活動である(参考文献より)。日本の精神障害領域では1990年代後半から注目され始めました。
法制度や強調点で名称が変わることがありますが、日本の介護保険や障害福祉領域では「ケアマネジメント」と表記されることが多いです。
英国では「ケアプログラムアプローチ」とよばれることがあります。

ケースマネジメントの適応

単一サービスでは支援が困難な複雑なニーズをもち、慢性の障害がある人がケースマネジメントの対象になります。
疾病や障害が一過性の場合は治療やリハビリテーション、緊急ニーズが強い場合には救急サービスといった、専門的な単一サービスが優先されます。
ケースマネジメントは対人援助の基礎技術であり、さまざまな場面で応用されています。
例えば、障害福祉サービスを利用するときに「計画相談支援」によって「サービス等利用計画」が作られるが、このときに活用される「ケアマネジメントの手法」がそうです。

ケースマネジメントの分類

スタッフの職種、担当者1人あたりの受け持ち人数、直接提供できるサービスの違いなどによって、関係機関への紹介が主な業務の仲介型、直接的な援助関係を強調する臨床型、利用者の人数を限定した集中型、利用者の技能向上と環境調整に注目したリハビリテーション型、利用者や環境の強みに注目するストレングス型、精神科治療を含めた包括的支援を提供するACT(包括型地域生活支援プログラム)型などがあります。

ケースマネジメントの手順

多機関や多職種が協働し、医療を含めた多くのサービスを組み合わせ、目標と期間を明確にして効果的なサービスを提供するために、定式化された手順があります。
1)契約を結ぶ(インテーク、受理):利用者と支援者が出会って合意を形成します。コミュニケーション技術や、ストレングスやリカバリー概念の理解が必要です。
2)情報の整理(アセスメント、査定):生活史、1日の過ごし方、サービス利用状況などの情報を、健康、居住、経済、日常生活活動、対人関係といったニーズ領域ごとに整理し、包括的に理解します。
3)計画作り(プランニング、計画策定):まず支援者が、利用者にとって最適と思われる仮の計画を作ります。次にケア会議を開き、支援者と利用者が一緒に仮計画を検討して、実際の支援計画を作ります。
4)支援の実行(インターベンション、介入):利用者に直接あるいは間接的にかかわって支援を提供します。専門機関が提供するサービスだけでなく、図書館やコンビニといった、誰でも利用しているインフォーマルサービスを積極的に活用します。
5)進行状況をみる(モニタリング、追跡):計画通りに支援が行われているか、進行状況を常に追跡し、現実場面の変化に合わせて、計画に細かな修正を加えます。
6)何が達成されたか振り返る(エバリュエーション、評価):課題が達成されたり、決められた時期に達したら、援助の過程を振り返って、達成された事項や残された課題を明確にします。
7)一連のプロセスの終了(クローズ、終結):ケースマネジメントを終了し、必要に応じ他の支援機関に紹介します。新たな目標のためにマネジメントが必要であれば再契約します。
一連のプロセスを通じて精神科医には、他の職種と協働する能力や、医療場面だけでなく生活場面での医学的アセスメントを行う能力が求められています。

参考文献

1)野中猛、加瀬裕子(監訳):ケースマネジメント入門。中央法規出版、1994