純粋失書 pure graphic

純粋失書 pure graphic

純粋失書とは、失書のみが独立して起こるか、他の高次機能障害を伴っていても、それによって、書字障害を説明できないものを言います。
通常、両手に現れる失書をさし、脳梁離断による左手の失書とは区別して扱います。
本邦では、文字が書けないことが主体となりますが、わずかの字しか書けず字形態も拙劣な例から、教育歴、病前の書字習慣から考えて当然書けると予想される字(仮名や小学校1、2学年で学習する漢字など)の一部が書けない程度の例まで含まれます。報告例の中でも後者に属するものが多いです。
純粋失書は、基本的に、仮名と漢字ともに障害が認められます。
文字数の極端な差から、両者の障害程度を比較することは困難ですが、仮名書字の方が改善しやすい傾向があります。
書字の誤反応は、主に漢字について調べられており、無反応と、途中まで書いてやめるという部分反応または存在字近似反応が大半を占め、別な字と取り違える錯書は少ないといわれています。
写字は、一般的に自発書字や書取りよりも良好です。
失読失書で読みの障害が軽く、経過とともに失書のみが残存した例は純粋失書とは呼びません。
失語症がないことが原則ですが、軽度の喚語困難を伴うことが少なくないと言われています。