外傷性脳損傷による高次脳機能障害

外傷性脳損傷による高次脳機能障害

病巣は、両側性またはびまん性なことがしばしばで、運動麻痺は少なく、また、いわゆる「巣症状」は少ないと言われています。

一見普通にみえる外傷性脳損傷者への行政的支援を行うために、「障害」名としての「高次脳機能障害」が診断基準とともに提示されています。
この場合の高次脳機能障害は、記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害などの認知障害を主たる要因として、日常生活及び社会生活への適応に困難を示す障害のことを言います。

高次脳機能障害とただ単に診断するのではなく、神経心理学的評価の読みと行動評価を掘り下げて、医学的診断(ICD コードを含む)に結び付けることと障害内容を正確に見極めることとが大切と言われています。

外傷性脳損傷でよくみられる記憶障害は、アルツハイマー病のように少し前のことが真っ白に消えてしまう典型的な前向性健忘とは異なります。

外傷性脳損傷患者は、ニュース記事のような 3 つほどの文章をまとめて聞いて内容を把持できない「論理的記憶障害」を示すことが多いと言われています。

一方で、単語のペアを 8 組(ウエクスラー記憶検査 WMS-R3)ないしは 10 組(標準言語性対連合学習検査)といった覚える言語性対連合学習は比較的成績が良いと言われています。