失語症の評価

失語症の評価

失語症においてその程度や回復、治療効果の判断などに適切な評価が重要です。
疫学的には、失語症は発症後2週間~3カ月までの改善が著明であり、その後も改善度は低下するものの1年程度は緩徐に改善、結果的に失語症状の40%は1年でほぼ完全に戻るとされています。
発症時の重症度によって最も改善するタイミングも異なり、最終的な改善に対する最大の予測因子は発症時の重症度であるため、初回の評価は特に重要です。
Davidらは失語症訓練の有効性に対する研究において、むしろ訓練よりも患者の適切な環境設定、そのための評価が重要であるとしています。
わが国で広く使用されている評価法としては標準失語症検査(Standard Language Test of Aphaisia:SLTA)が有名で、失語症患者のSLTAによる評価とコミュニケーション能力評価の問に高い相関が報告されています。
世界的にも広く使用され有用性が確立しているWestern Aphasia Battery(WAB)失語症検査には日本語版もあるため、こちらもわが国でも使用されています。
イギリスをはじめヨーロッパで広く使用されているFrenchay Aphasia Screen-ing Test(FAST)は、6つのRCTの系統的レビューにおいて有用性が認められたものの、筆者も評価法のゴールドスタンダードはないと結論づけています。
FASTの日本語版はありません。