BADS 遂行機能障害症候群の行動評価

BADS 遂行機能障害症候群の行動評価

おもな評価者
作業療法士、言語聴覚士、臨床心理士

対象者
脳血管障害や頭部外傷、低酸素脳症などによる脳損傷者。とくに前頭葉損傷者をターゲットにしているが、精神障害への利用も論じられている。

メリット
従来の検査バッテリーでは不十分だった遂行機能障害を、種々な問題解決課題を組み合わせて、総合的に評価できるように作成されている。

デメリット
日常生活上の行動障害と遂行機能検査の成績が乖離する場合がある。遂行機能検査の成績に問題がなくとも、ほかの認知機能の影響によって遂行機能障害や社会生活上の問題行動が生じうる。

BADS は、規則変換カード検査、行為計画検査、鍵探し検査、時間判断検査、動物園地図検査、修正、6要素検査の6つの下位検査と、1つの質問紙から構成されている。24 点満点で採点され、「障害あり」「境界」「平均下」「平均」「平均上」「優秀」などの障害区分に評価される。
  
下位検査で分かること

1.規則変換カード検査
1施行で覚えた規則を、第2施行で柔軟に変更することが要求される課題であり、注意や概念の変換課題とされる。

2.行為計画検査
課題を達成するためにはいくつかの段階をクリアする必要があり、みずからの行為を系列立てる計画能力や、自己監視能力が必要とされる。

3.鍵探し検査
探し出すパターンによって採点項目が定められており、みずからの行動計画と、効果的に探す能力などを必要とする。

4.時間判断検査
質問は日常的な内容だが、明確な解は存在せず、常識的な範囲で答えを推定する必要がある。

5.動物園地図検査
1施行のほうが高難度であり、情報を組織化・計画する能力や自己監視能力を必要とする。
2施行では、指示に従って行動する能力を見ることができる。

6.修正 6 要素検査
 この課題ではみずからの行動を計画し、情報を組織化して系列立て、自己監視および修正する能力が必要となる。

7DEXDysexecutive questionnaire
各々の質問項目には、「先のことを考えたり、将来の計画を立てたりすることができない→計画性の障害」「人前で他人が困ることを言ったりやったりする→脱抑制」「ものごとを決断できなかったり、何をしたいのか決められなかったりする→判断能力の欠如」「自分の行動を他人がどう思っているのか気づかなかったり、関心がなかったりする→社会的規則への無関心」など、「行動」「情動」「認知」に関する障害内容が含まれており、遂行機能に関する具体的な問題が評価できる。