高次脳機能儲とは



高次脳機能儲とは

高次脳機能とは、大脳皮質において担われる機能のうち、一次運動野や一次感覚野によるものを除いた、主に連合皮質野によって営まれる機能をいう。この中には言語、認知、記憶や注意、その分配機能にはじまり、行為や一連の行為をスムーズに行う遂行機能など、ヒトをヒトたらしめている種々の機能が含まれる。外傷や脳血管障害をはじめとして、さまざまな脳疾患によりこうした高次脳機能が障害され、患者を取り巻く社会状況下で臨
床上認められる症状群が高次脳機能障害である。具体的には、歴史的にも、また患者層の広がりという意味でも、失語症がその中心であり、これに古典的巣症状としての失行・失認が加わる。さらに近年の急速な脳研究の進歩により、従来は脳基盤とは直接結びつけることが難しかったさまざまな症候が含まれるようになってきている。たとえば、脳腫瘍摘出術後やくも膜下出血後に認められるギャンブル癖や性的脱抑制といった問題である。
これらの症状の多くは今日、前頭葉眼窩部損傷に伴う社会的行動障害として捉えられるようになった。精神機能の座をめぐる脳研究の急速な進歩により、脳基盤を論じにくかった精神症状についても、明確な脳機能のシステム障害という観点から論ずることができるようになってきている。現在では高次脳機能障害は、古典的巣症状にとどまらず、記憶障害、注意障害、情動障害、遂行機能障害、社会的行動障害などを内含している。