表情筋の特異性

表情筋の特異性

表情筋には体性感覚線維が介在する筋紡錘が欠落していて、四肢における深部腱反射は表情筋にはありません。

眼輪筋反射や口輪筋反射等の顔面筋反射は、角膜反射と同様に三叉一顔面神経脳幹反射であって筋紡錘が介在した腱反射ではありません。

顔面筋反射は驚愕反射で、生体防御反応です。
視覚的危険が迫っても角膜に異物が触れても突然の大きな音に対しても、あるいは転倒するなど平衡感覚からの入力によっても眼球を守るために眼輪筋による閉瞼が起こります。

表情筋は、基本的には目、鼻、口、耳を閉鎖させるために発達した皮筋です。
ヒトでは陸生動物になり、鼻、耳の反射的閉鎖はなくなりました。
口の閉鎖は吸畷反射として乳児期に残っています。

四肢筋では関節を挟んで収縮と伸張が一対となって起こります。
表情筋は皮筋であり、関節の介在はなく、収縮優位で、意識して牽引や開口をしなければ伸張することは難しくなります。

顔面神経麻痺になると、速やかに生体防御反応を回復させる観点から顔面神経核興奮性が亢進し、表情筋は収縮しやすい状態になっていて、スパスムやミオキミアの不随意運動として観察されるようになります。

生体防御の観点からは好ましい反応でも、顔の審美性の観点からは筋の短縮による顔面拘縮は予防の対象となります。