機能性構音障害にみられる特異な構音操作の誤り(異常構音)の特徴と鑑別診断

側音化構音

なりやすい音:イ列音,ɕʨ・ʥなどの拗音,stsdz
聴覚印象および構音操作の特徴:「シ」が「ヒ」,「チ」が「キ」,「ジ」が「ギ」に近く聞こえる。舌・口角・下顎の側方への偏位を伴うことがあります。呼気は口腔の側方から流出します。
鑑別診断の方法:呼気が側方から流出しているのを鼻息鏡で確認します。舌・口角・下顎の側方への偏位の有無を観察します。


口蓋化構音

なりやすい音tdnstsdzなどの歯茎音
聴覚印象および構音操作の特徴:タ行・ツがカ行,ダ行がガ行に近く聞こえる。サ行は独特の歪み音です。舌背中央が挙上し,舌先の使用がない。
鑑別診断の方法:舌背の拳上を確認します。呼気は正中から流出する(鼻息鏡で確認)。


鼻咽腔構音

なりやすい音:イ列音,ウ列音,stsdzなど
聴覚印象および構音操作の特徴:母音列では鼻に抜けた「ン」や「クン」に近い歪み音。サ行音,ザ行音では鼻腔摩擦音や鼻雑音を伴った破裂音のように聞こえる。呼気は鼻腔から流出します。
鑑別診断の方法:鼻咽腔閉鎖不全の場合は,すべての音で呼気鼻漏出が観察されるが,鼻咽腔構音では特定の音で呼気鼻漏出が観察される。外鼻孔を閉鎖すると構音できないことがあります。


声門破裂音

なりやすい音tkなどの破裂音。破擦音・摩擦音にも生じることがある
聴覚印象および構音操作の特徴:力の入った母音のように聞こえる。会話はぶつぶつと途切れて聞こえる。口唇や舌の構音操作が観察されない。
鑑別診断の方法:省略との鑑別が必要です。母音と破裂音を交互に言わせる(例:アカアカアカ)と,声門破裂音ではぶつぶつ途切れて聞こえる。


参考文献

ことばの異常 機能性構音障害の診断のポイント 今井智子 JOHNSVol.34No.2 2018

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