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在宅患者の誤嚥性肺炎予防(誤嚥しやすい患者のケア)について

肺炎は日本人の死因の3位でその90%あまりが65歳以上です。
オスラーが「肺炎は老人の友」と述べましたが、状況は今現在でも変わっていません。
特に50歳以後に誤嚥性肺炎の割合が増え、70歳以上では80%を超えるという報告もあります。
誤嚥対策は高齢者の生活の質の維持に寄与するため重要となります。

◆病態と診断

誤嚥性肺炎の病態

誤嚥は、
①食事中の食物誤嚥
②食後などの胃液逆流や嘔吐に伴う誤嚥
③夜間などの咳込みを伴わない不顕性誤嚥
に大別されます。

誤嚥性肺炎のリスク評価

意識が清明で、ムセずに水が飲むことができ、食後に呼吸や声の変化がなければ誤嚥のリスクは低いです。
高齢・脳血管障害・認知症・意識障害、呼吸不全や繰り返す発熱および鎮静薬や睡眠薬のほかさまざまな薬剤使用がリスクになります。
高齢者は、入院などの環境変化や短期間の絶食で嚥下機能が低下することがあります。
認知症のなかでもレビー小体型や脳血管障害型患者は早期から誤嚥をきたしやすいため注意が必要です。
客観的評価は、反復唾液嚥下テスト、改訂水飲みテスト、頸部聴診などがベッドサイドで実施できます。
嚥下内視鏡は、医師や歯科医師の訪問により、在宅でも可能ですが、嚥下造影検査は、設備とスタッフが必要なので病院で実施する必要があります。

◆誤嚥性肺炎の予防策

摂食機能の保持と誤嚥の予防および誤嚥したときに備えて口腔環境を整える口腔ケアです。
①食事中の誤嚥予防:意識状態の改善・咽頭を冷却するアイスマッサージ・調理形態の工夫・嚥下を促す声かけなどによるペーシングや一口量の調整・咽頭の知覚を高めるカプサイシンやACE阻害薬などの薬剤使用などがあります。
黒胡椒アロマの使用や「パタカラ」などの口腔体操も有効です。
片麻痺や解剖学的欠損などがあれば舌接触補助床などの補綴装置が有効なことがあり、歯科医との連携が望まれます。
②胃液逆流・嘔吐対策:胃液逆流や嘔吐は姿勢や摂食量、腸管運動の低下に関係し、経管栄養で発生しやすいです。
対策は食事量の調整、食後1時間は頭部挙上姿勢を保持する、腸管蠕動を改善する薬剤の使用などで、経管栄養の場合は半固形化も効果があります。
③絶食や経管栄養でも唾液や逆流した胃液を誤嚥する不顕性誤嚥は高リスクですが、時として評価が困難となります。
肺炎への進展を予防するために夜間も頭部挙上位を保って胃液逆流を防ぐことや、適切な口腔ケアが大切です。
④食事・口腔ケアにかかわる家族を含む介護者全員に一定レベルのスキルが求められ、日常から介護の標準化など多職種の良好な連携を確立しておくと良いでしょう。
⑤肺炎双球菌性肺炎およびインフルエンザおよびその後の肺炎予防にそれぞれのワクチン接種が勧められます。
⑥栄養状態が予後に影響するので、日常から良好な栄養状態の保持が望まれる。肺炎発症時でも漫然と絶食を続けることは予後を悪くする可能性があります。
⑦嚥下障害がある患者でも好物の食べ物はむせずに快食することがあるので、個別的な臨機応変の対応が求められます。
誤嚥のリスクを完全に除くことはできません。
また、高齢者にとっては、食事が日々の楽しみに一つになります。
食事制限をするときは本人の意向を尊重した終末期QOLの観点も勘案することが重要となります。

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