10メートル歩行テスト (10MWT)





10メートル歩行テスト (10MWT)


10m歩行テストには、いくつかのバリエーションがあります。

➀10mの歩行時間を計測して歩行速度を求める方法


➁10mの歩行時間に加えて10mを歩く歩数を計測し、そこから歩幅や歩調(歩行率)を求める方法


➂10mの歩行時間と歩数だけでなく、実際の歩行距離を測定する方法



➀の方法の欠点


歩行速度の情報しか得られないため、より詳細に個人の歩行周期を評価するには不十分です。

➁の方法の欠点


歩行速度の他に歩幅と歩調が求められますが、実際の歩行距離を計測していないために、個々人の歩幅に最大1幅分の誤差が生じることになります。

➁の方法はリハビリテーションの臨床でよく使われていますが、テスト法について記載に混乱が見られているようです。

「患者の足がスタートラインを踏むか、越えた時にストップウォッチをスタートさせ、同時に歩数を数え始める。患者の足が完全にエンドラインを越え後方の足が床から離れた時に計測を終了する」と記載している文献がある一方、「患者の足がスタートラインを踏むか、越えた時にストップウォッチをスタートさせ、同時に歩数を数え始める。患者の足が完全にエンドラインを越えた時に測定を終了する」と記載している文献もあります。

「計測の終了」が、「後方の患者の足が床から離れた時」なのか「エンドラインを越えた時」なのかは、記述が統一されておらず計測者によって誤差がでてしまいます。

➂の方法の利点


10mの歩行時間に加えて、実際の歩行距離と歩数を測定するため、歩幅と歩調の誤差が少ないのが特徴で、テストの再現性も確認されています。

これによって個人別の歩幅、歩調を正確に測定することができます。ただしこの方法では、検査者が最低3名必要であると言われています。

カットオフ値といわている値


屋内歩行


24.6秒

屋外歩行


11.6秒



肩関節疾患に使用する装具や三角筋の座位での観察ポイント





肩関節疾患に使用する装具や三角筋の座位での観察ポイント


肩関節疾患に対して、保護を目的に装具や三角巾を用いられることがありますが、装着の仕方によっては、肩関節周囲筋の筋緊張が高まり、痛みが出現してしまうことがあり、そのままにしておくと、肩関節拘縮状態に移行してしまうことがあります。

正しい姿勢で装具をきちんと装着することで、手術部位の保護や痛みの緩和、円滑な関節可動域練習の一助となります。

上肢の重みが装具や三角巾の一部に負荷がかかることを防ぐために、膝の上にクッション等を置いて上肢を載せることも良肢位の保持につながると言われています。

座位での安静肢位の観察ポイント


  • 肩甲骨の高さが同じ
  • 術側が健側と比べて前後にずれていない
  • 前腕が浮いたりせず装具に収まっている
  • 手首の位置が肘よりも低い位置になっていない

観察・指導の継続

装具を使用した状態での姿勢の調整は、慣れるまで時間がかかることもあります。鏡を見ながらでは調整しにくいこともあるため、慣れるまでは病棟での観察・指導を継続することも大切なことです。



摂食・嚥下障害患者における摂食状況レベル(Lv.)





摂食・嚥下障害患者における摂食状況レベル(Lv.)


摂食・嚥下障害を示唆する何らかの問題あり


経口摂取なし


Lv.1:傾向訓練を行っていない

Lv.2:食物を用いない嚥下訓練を行っている

Lv.3:ごく少量の食物を用いた嚥下訓練を行っている

経口摂取と代替栄養


Lv.4:1食分未満の嚥下食を経口摂取、代替栄養が主体

Lv.5:1〜2食の嚥下食を経口摂取、代替栄養も行う

Lv.6:3食嚥下食を経口摂取、不足分の代替栄養を行う

経口摂取のみ


Lv.7:3食の嚥下食を経口摂取、代替栄養を行っていない

Lv.8:特別に食べにくいものを除いて、3食を経口摂取

Lv.9:食物の制限はなく、3食経口摂取



Lv.10:摂食・嚥下障害に関する問題なし(正常)


意味性認知症における重症度分類に関する事項





意味性認知症における重症度分類に関する事項


0.正常発語。正常理解。

1.最低限だが明らかな喚語障害。通常会話では、理解は正常。

2.しばしば生じる発語を大きく阻害するほどではない程度の軽度の喚語障害、軽度の理解障害

3.コミュニケーションを阻害する中等度の喚語障害。通常会話における中等度の理解障害

4.高度の喚語障害。言語表出障害。理解障害により実質的にコミュニケーションが不能。

高次脳機能研究第36巻第3号より参照。


前頭側頭型認知症(FTD)の臨床診断基準 (1998年の国際ワーキンググループ)





前頭側頭型認知症(FTD)の臨床診断基準 (1998年の国際ワーキンググループ)

性格変化と社会的行動の障害が発症から疾思の経過を通じて優位な特徴である。
知覚、空間的能力、行為、記憶といった道具的認知機能は正常か、比悦的良好に保たれる。


Ⅰ主要診断特徴(すべて必要)


 A.潜行性の発症と緩徐な進行

 B.早期からの社会的対人行動の障害

 C.早期からの自己行動の統制障害

 D.早期からの情意鈍麻

 E.早期からの病識の欠如


Ⅱ支持的診断特徴


 A.行動異常

 1.自己の衛生や身なりの障害

 2.精神の硬直性と柔軟性のなさ

 3.易転導性と維持国難

 4. 口唇傾向と食餌嗜好の変化
 5.保続的行動と常同行動 

 6.使用行動

Frontotemporal lobar degeneration : a consensus on clinical diagnostic criteria. Neurology, 51 : 1546ー1554, 1998より引用



バイタルサイン(生命徴候)





バイタルサイン(生命徴候)とは


バイタル(vital)=「生命の」、サイン(sign)=「徴候」は、生命の状態を端的に表すものです。

バイタルサインの5項目


  1. 体温
  2. 血圧
  3. 心拍数と調律
  4. 呼吸数
  5. SpO2(経皮的動脈血酸素飽和度)

※文献によっては、意識と尿量も項目に含まれています。

いずれも診察の最初に確認すべき必須項目です。
項目によって確認されなかったり、カルテ記載が漏れていることがないように、入院患者様には、常に各項目を把握することが望まれます。