皮質下性血管性認知症の食支援

皮質下性血管性認知症の食支援

主に多発性ラクナ梗塞とビンスワンガー病によって生じる認知症が含まれます。

日本では、このタイプの血管性認知症が多く、そのなかでもラクナ梗塞によるものがもっとも多いとされています。

ラクナ梗塞は、大脳基底核の穿通枝領域に小さな梗塞巣が多発する病態である。一方、ビンスワンガー病は、高血圧や脳の動脈硬化などによる脳の血流障害のため大脳白質が広範に障害されることによって生じる病態であり、徐々に進行するのが大きな特徴です。

そのため、アルツハイマー型認知症などの変性性認知症と誤診されやすいです。

症状としては、歩行障害、バランス障害などの基底核の症状がみられる。また、うつ傾向や感情失禁が多いのも特徴です。

四肢のまひや高次脳機能障害を認めない、もしくはあったとしても軽度であることが多く、臨床でのイメージとして「軽症例」としてとらえられやすいです。
しかしながら、嚥下機能に関しては、ドーパミン関連の神経ネットワークが障害されるため咽頭のサブスタンスPが減少し、嚥下反射低下や咳漱反射低下といった重度の嚥下障害を呈することがあるため注意が必要です。 そのため、皮質性や局在病変型の血管性認知症よりも誤嚥性肺炎のリスクは高いです。

対応法としては、誤嚥の防止・誤嚥性肺炎の予防に重きをおいたものとなります。
皮質下性血管性認知症の場合も意思疎通が困難な症例が多いため、嚥下訓練ではなく食支援の観点からのアプローチがメインとなります。

対応方法としては、認知しやすい食事(温度、味、においの工夫)、嗜好に合わせた食事、口腔機能に合わせた食事、増粘剤・ゼリー剤の利用、食事時のポジショニングにするなどの対応をします。

服用薬剤についても注意が必要です。ドーパミンをブロックする作用機序をもつ薬剤(抗精神病薬制吐剤など)は、ドーパミン関連の神経ネットワークの障害をさらに悪化させるため、嚥下障害を助長することがあります。
病院では不穏などのために抗精神病薬が投与されることがあり、それが原因で誤嚥や不顕性誤嚥を呈している症例があります。

抗精神病薬は、すべての高齢者で嚥下障害の原因になりえますが、皮質下性血管性認知症においては、とくに注意が必要です。