誤嚥性肺炎の危険因子

誤嚥性肺炎の危険因子


患者背景

  • 高齢
  • 男性
  • 喫煙
  • 栄養不良
  • 咽喉頭コロニーの形成(口腔内不衛生)
  • 嚥下障害
  • 食道蠕動低下・嘔吐
  • 咳嗽反射の低下
  • 意識状態の変調
  • 経管栄養
  • アンギオテンシン変換酵素遺伝子型(deletion/deletion)

基礎疾患

  • 認知症
  • 糖尿病
  • 慢性肺疾患
  • パーキンソン病

薬剤

  • 制酸剤(プロトンポンプ阻害剤)
  • 鎮静剤
  • 向精神薬
  • 抗コリン剤(胃内残渣増加)
  • カルシウム拮抗薬(食道括約筋力低下)
  • アンギオテンシン変換酵素阻害剤の未使用

日本外科感染症学会雑誌Vol.13(3)2016より参照

気管切開患者のケアの注意点

気管切開患者のケアの注意点


サイズ、形状の選択


患者毎の呼吸状態、嚥下機能、咽頭や気道の解剖をアセスメントし、単管・複管、カフの有無、カフ上部吸引の必要性、発声の可能性を考えて必要な気管切開チューブを選択をする。

サイズはフレーム部分や製品の外箱に内径(I.D)や外径(O.D)がミリ単位で表記されている。

チューブの形状やサイズが合わず長期に気道粘膜を刺激すると、出血や肉芽形成、潰瘍形成、気管食道瘻など合併症発生の原因となるため注意が必要となる。

挿入時はスタイレットの抜き忘れに注意が必要


気管切開チューブ挿入の際は、製品に付属しているスタイレット(オブチュレーター)を使用する。

挿入後は必ず抜去されていることを必ず確認することが重要である。

固定方法


一般的にはネックホルダーをフランジの穴に通し、指が1本入るくらいの緩みをもたせて頸部に固定する。

頸部術後で頸部の浮腫の可能性がある場合は頸部周囲に1周せず固定する方法もある。

また、自己抜去予防安全用具を使用するなど安全対策も行う必要がある。

閉塞への注意


硬くなった痰や気道分泌物による閉塞は窒息や低酸素など重篤な合併症につながるため、気管切開チューブの開存性には常に注意が必要となる。

痰の粘稠度が高い場合は、加温・加湿、去痰薬の使用、脱水の是正に注意し、気道クリアランスを保つケアを行う。

気管切開チューブ先端の肉芽形成による閉塞の可能性もあるため、呼吸音聴取や痰の性状から痰の貯留以外の閉塞が考えられる場合は医師に報告し気管支鏡による確認や処置が必要となる。

また、スピーチバルブの装着や気管切開患者のネブライザー使用時など、呼気の排出経路が不完全な場合は窒息につながるため、必ず吸気と呼気の通り道を確認して接続する。

スキンケア


出血や気管分泌物は速やかに取り除くようにする。

気管孔周囲の機械的刺激や分泌物による皮膚の浸軟から皮膚トラブルが起こると強い不快感につながるため、皮膚保護材やドレッシング材の使用を検討する。

永久的に気管孔を維持する場合はより丁寧なケアが求められる。

気管切開チューブ抜去後のケア


自発呼吸の安定や気道狭窄、気道のクリアランスなどの問題が解決した場合、気管切開チューブ抜去を検討する。

通常、切開孔は抜去から3〜7日前後で自然閉鎖するが、酸素化・換気の維持、痰の排出、気道狭窄の有無、誤嚥がないかなど観察し、酸素や挿管準備、吸引の物品を揃えておく必要がある。

呼吸器ケア 2016 vol.14 no.3より参照。

気管切開が必要となる場合

気管切開が必要となる場合

  1. 1〜2週間を超えて気道確保が必要と予測される場合
  2. 上気道閉塞や気管狭窄、気道の病変があり人工気道を要する場合
  3. 反回神経麻痺や嚥下障害などによって下気道への誤嚥リスクが高い場合 ...etc

気管挿管から気管切開への移行は、早期実施による死亡率や肺炎発生率に有意な差は示されていません。

一般的には患者状況により挿管後1〜2週間のタイミングで行われます。

気道熱傷や頸部損傷、呼吸中枢の障害など、原疾患の回復に時間がかかると予測される場合には気管挿管せずに気管切開が行われています。

また、開心術後などは縦隔炎のリスク回避のために、術後2週間経過し手術創の治癒が進んでから行われる場合もあります。

呼吸器ケア 2016 vol.14 no.3より参照

気管切開チューブの交換時期と交換方法

気管切開チューブの交換時期


気管切開チューブの交換については、現在は明確なエビデンスがない状況です。
通常は1週間で交換を行われていますが、在宅や長期留置で感染などのリスクが少ない場合には、2週間で交換する施設もあるようです。

気管切開チューブの交換方法


交換時は同じサイズを選択するようにしますが、再挿入困難な場合もあり、それに備えるような形で、1サイズ小さいサイズを準備しておく場合もあります。

気管切開術後2〜3日間は、気管孔が瘻孔化しないことから、再挿入が困難になる場合があり、計画外抜管には、注意が必要となります。

無理に押し込んでしまうと、皮下に迷入し皮下気腫や縦隔気腫などの重篤な合併症につながる可能性があります。
挿入経路が再確保できない場合は経口挿管を行い対応します。

呼吸器ケア 2016 vol.14 no.3より参照

気管切開チューブの種類と特徴

気管切開チューブの種類と特徴のまとめ


単管式と複管式


単管式の特徴


単管式は臨床で最も多く使用されている。
内筒や側孔がなく、管は一重になっている。
急性期から慢性期まで幅広く使用でき、人工呼吸器への接続など陽圧換気を必要とする場合は単管式が最適と言われている。

複管式の特徴


  • 複管式は内筒と外筒の二重管式の気管切開チューブで、内筒だけを取り出して交換・洗浄が可能。
  • 痰が多く硬くなりやすいケースや、在宅など挿管が長期にわたる場合に使用される。
  • 内筒は医師以外で取り出して洗浄や交換ができるため、分泌物による内腔閉塞の予防がしやすいメリットがある。
  • チューブ部分が二重になることから、内腔が狭くなる欠点がある。

カフ付きとカフなし


単管式・複管式のどちらのタイプの気管切開チューブにもカフ付きとカフなしがあります。

カフ付き


  • カフ付きは気管切開術後の出血や口腔内からの分泌物の垂れ込みをシールドし、人工呼吸器使用において、陽圧換気中のエアリークを防止することができる。
  • デメリットは、違和感やカフによる圧迫から気管粘膜の損傷を起こす場合があることである。

カフなし


  • カフなしは主に小児で使用するほか、誤嚥のリスクがない場合に使用可能。
  • 嚥下機能が十分でない場合は、不顕性誤嚥を起こしやすいため嚥下機能の評価が重要となる。

カフ上部吸引ポート付き


  • カフ付きチューブにはカフ上部吸引のポートが付いているタイプもある。
  • カフ上部吸引は、カフの気道側上部に溜まった気道分泌物をポートから吸引し、下気道への流入を防止することが目的となる。
  • カフのしわや、咳嗽により気道内圧が上昇した場合、下気道への分泌物流入はゼロにはできないため、誤嚥性肺炎の予防には口腔ケアによる清浄化が重要となる。

特殊形状タイプ


スピーチタイプ


  • 自発呼吸があり、意識レベルが低下していない患者で咽頭機能が残っている場合、発声を目的に使用する。
  • 一方弁の発声バルブを使用して、チューブ頭側の側孔から呼気を声門に送ります。そのため、呼気経路の遮断がないように側孔の位置が合っているか、閉塞がないか観察する必要がある。
  • 痰によりバルブの開閉が不能になるトラブルを避けるため、夜間は取り外すことが基本となる。

ネックフランジ可動タイプ


  • フランジの位置が可動式になっており、肥満や頸部腫脹で気管までの距離が長いときや、逆に短いときに長さの調節が可能。
  • 気管内肉芽や気管裂傷、潰瘍など気道の問題があり中枢側に深く挿入したい場合などに選択する。
  • 挿入後はフランジの固定に緩みがないように確認が必要なる。

切開孔保持用(レティナ)


  • 呼吸状態が安定しており、病態的に気管切開孔を保持したい場合に使用します。
  • 素材がやわらかく小さいため、気道の違和感が少ないことが特徴です。
  • ワンウェイバルブを使用することで発声も可能となります。

気道維持用

  • 肺がんや咽頭がんなどの気管狭窄や、気管粘膜の肉芽形成、気管軟化症例などで気管の閉塞防止のために使用する。
  • 気管ステント留置までの一時的な使用に用いる場合が多い。

ケベック分類 (外傷性頸部症候群の重症度分類)

ケベック分類 (外傷性頸部症候群の重症度分類)


Grade O:頸部に訴えがない、徴候がない

Grade I:頸部の痛み、こわばり、圧痛のみの主訴、客観的所見なし

Grade Ⅱ:筋・骨格徴候を伴う頸部主訴

Grade Ⅲ:神経学的徴候を伴う頸部主訴

Grade Ⅳ:骨折または脱臼を伴う頸部主訴

ケベック分類の注意点


・筋・骨格徴候には可動域制限と圧痛を含む

・神経学的徴候には腱反射低下や消失と感覚障害を含む

・症状や障害は、耳が聞こえない、めまい、耳鳴、頭痛、記憶喪失、嚥下障害、側頭上顎関節痛などを含み,どのような程度に発現してもよい

外傷性頸部症候群に対するケベック分類grade Ⅰ、Ⅱ、Ⅲの推定病理


Grade I:顕微鏡的あるいは多発性顕微鏡的損傷

Grade Ⅱ:頸部捻挫と南部組織(椎間関節包、靭帯、腱、筋肉)周辺の出血軟部組織損傷による筋痙縮

Grade Ⅲ:機械的損傷あるいは出血、炎症で惹起される神経組織の損傷