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機能性構音障害の訓練の目的と訓練適応について(言語聴覚士向け)

訓練の目的と訓練適応

訓練の目的

機能性構音障害に対する訓練の目的は、適切な構音操作を習得し、それを日常会話において使用できるようにすることです。

訓練の適応

誤りが固定化している場合や被刺激性がない場合には、訓練適応があります。
ただし、構音の発達年齢から見てまだ獲得時期ではない構音が対象である場合や、構音発達から見て訓練の適応ではあるが、口腔運動に被刺激性を認める場合など、自然治癒が期待できる場合は、訓練時期を3か月、あるいは半年遅らせて、自然治癒の有無を確認します。
もし、その期間が過ぎても構音が改善していないようであれば、訓練を開始します。
また、自然治癒が期待できる場合でも、音の誤りが原因でいじめられている、就学が近いといった要因のある場合は、構音訓練を直ちに開始する場合もあります。

訓練の開始時期

構音訓練は、一般的には4~5歳に開始するのが良いといわれています。その理由として、音の抽出や分解が可能であるのが4歳から5歳であること、就学前に訓練対象の構音に対する訓練を終了させるには、4~5歳に訓練を開始することが適当であることが挙げられます。
さらに、4~5歳は、文字に興味を持ち始める時期でもあり、文字に興味を持たせつつ、音の抽出や分解、誤り音と正確な音との違いを分別させるなどの学習をすることが可能です。
また、このころの子どもの年齢は、ちょうど幼稚園に通園している時期であり、保育士と子どもとの関係が、同様に言語聴覚士と子どもとの間にできやすいことも一因です。
その一方で、訓練の開始時期をさらに早期にするべきという立場もあり、訓練回数や、家庭での訓練プログラム設定およびその家庭での訓練担当となる養育者への指導の重要性がいわれています。

訓練頻度

訓練頻度は、原則的には週1~2回です。これはあくまでも目安であり、養育者が仕事を持っている、子どもが幼稚園・保育園に通園しているなど、養育者や子どもの置かれた環境や、訓練に対する子どものモチベーションに影響されることが多いです。
1回の訓練時間については、低年齢児であれば15~30分年長児や就学児では30分~1時間を原則とします。
しかし、これも子どもの気分や状態によって左右されることがあります。
例えば、子どもが幼稚園で、けんかをした後や、おもちゃを買ってもらえなかったなどでぐずった後に訓練室に来て、30分フルに訓練を行うことは難しくなります。
また、与えている課題が、子どもにとって理解が難しい場合は、子どもも訓練に対する動機づけが保てず、1回の訓練時間のみならず、訓練頻度も減少することがあります。
そのため、養育者や子どもの置かれている環境を考慮し、養育者と話し合いながら、訓練頻度や訓練時間、家庭学習での頻度や時間を設定すると良いでしょう。

訓練期間

およそ1年を目安とします。
1年を過ぎても改善しないようであれば、訓練プログラムの確認や、構音に影響する器質的な原因(難聴、鼻咽腔閉鎖機能などがないかを再度確認します。
不要な長期間の訓練は、訓練意欲の減退を招く。またいじめなどの二次的な問題が生じてくる場合には、迅速な改善に留意すべきです。

訓練における留意点

言語聴覚士は、機能性構音障害児に対する訓練を実施するにあたり、子どもの労力や負担が最小限になるように考慮しなければいけません。
子どもの負担になるものとしては、訓練の難易度や訓練の量、訓練時間が挙げられます。
子どもの場合、成人の患者と比較して改善への動機づけが明確ではないため、うまくできない練習を続けることは難しくなります。
そのため、訓練は「やっぱりできない」ではなく、「これならできる」と思ってもらうことが大切であり、子どもが実施でき、かつ難易度の低い訓練をあらかじめ用意し、セッションの初めと終わりに行うことが望ましいです。
また、セッションの終了時には成功感や満足感を子どもに与えて終了することも、訓練の難易度を考えるためのひとつの基準となります。
一方、訓練開始時、特に音の産生訓練を実施する際は、音の誤りの許容範囲は厳密でなく、むしろあいまいな音を許容し、子どもに訓練意欲を持たせることも重要です。
その許容範囲は、訓練を重ねていくなかで少しずつ厳密にしていくようにします。
気分により訓練が進まないようであれば、1段階難易度を下げた訓練を行うことや、訓練を早めに切り上げて、残りの時間を日常生活での子どもの様子を養育者から聴取する時間にあてる、などを試みてみましょう。
また子どもにとって、行われている訓練への理解が難しい場合は、同じく1段階難易度を下げた訓練を行う、ほかの誤り音の練習を先に行う、文字や絵などの視覚的なヒントやフィードバックを増やして訓練理解を高めるなどの工夫をすると良いでしょう。
これらは小児領域の言語訓練全般に関連することでもあります。
1つの訓練法や誤り音に言語聴覚士が固執することなく、あらかじめ難易度の高いまたは低い訓練の「引き出し」をいくつか用意し、子どもの状態を見ながらその「引き出し」から訓練法を選びつつ、臨機応変に対応・変更していく能力が言語聴覚士には必要です。

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