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易疲労性(いひろうせい)とは

易疲労性(いひろうせい)とは 脳梗塞や脳出血などで脳が損傷されると、疲れやすくなる方が多いです。 その症状のことを易疲労性(いひろうせい)と言います。 なぜ脳が損傷される疲れやすくなかというと、脳の神経は、新しい行動を学習するときは活発に働きますが、いったん学習して、脳の中で神経回路ができてしまえば、最初のように活発でなくても省エネモードで行動を起こすことができるようになります。 脳梗塞や脳出血などで脳が損傷されてしまうと、その作り上げた回路が寸断されて、使えなくなってしまうのです。 そのため、以前は余力を残し8割の力でできたことが、全力以上の力を出さなくては、同じことができなくなってしまいます。 常に全力で頑張っていては、やはり疲れやすくなるのは当然のことです。 対応としては、疲労しすぎてしまう前に、早めに疲労のサインに気づいて、こまめに休憩をとったり、本人の好きなことを行いリフレッシュできるようにする等、工夫すると良いでしょう。

純粋失読の随伴症状

純粋失読の随伴症状 純粋失読は、右同名半盲を伴うことが多いですが、視野障害のない例もみられます。 半盲に伴い右半側空間無視を呈する場合もありますが、急性期のみにみられ通常は速やかに消失すると言われています。 色名呼称障害(coloranomia)を合併することも比較的多いのですが、純粋失読例の半数程度にとどまるとの報告があるようです。 一般的に色名呼称障害と言われていますが、色を見て色名を言えないだけでなく、色名を与えられて色を選べない両方向性の障害となります。 色盲はなく、右同名半盲がないか残存視野があるとき、右視野の大脳性色盲がみられることがあります。 物品呼称障害を示す場合もありますが、基本的に失語症はありません。 右手で左視野内の物体をつかむ際の視覚性運動失調が、脳梁後部の離断症状としてときに出現します。 健忘は、側頭葉内側部への病巣の広がりによって合併する場合があります。 まれですが、視覚失認を伴うことがあると言われています。

高次脳機能障害と発達障害の違い

高次脳機能障害と発達障害の違い 高次脳機能障害 ・原因 後天性の脳機能障害 ・回復過程 脳の可塑性があるために症状が改善する ・遺伝 児の障害が親に似るわけではない ・対応の基本 リハビリテーション 発達障害 ・原因 生まれつきの脳機能障害 ・回復過程 発達に伴い症状が変化する ・遺伝 児の特徴が、親に似た傾向をもつことが多い ・対応の基本 ハビリテーション Jpn J Rehabil Med Vol. 53 No. 5 2016より参照

S-PA 標準言語性対連合学習検査

S-PA 標準言語性対連合学習検査 S-PAとは 日本高次脳機能障害学会より開発された、言語性記憶(言われた内容を覚えている、約束を覚えている、また自らが予定したことを行う時などに必要な言語を用いた記憶)を把握するための検査です。 特徴 時代を考慮した対語の選択と、全国レベルでデータ収集を実施されています。 また、年齢別の判定基準を導入されており、標準化が行われていることが特徴です。 構成 S-PAの構成は、有関係対語(意味関連のある単語)10対と、無関係対語(意味関連が希薄な単語)10対より構成されています。 実施方法 組み合わせ(対語)を検査者が読み上げ、被検査者に記憶してもらいます。 その後、単語対のはじめの単語を提示して、その語と対をなしていたもう一方の単語を応えてもらうものです。 S-PAは、用いる単語を時代を考慮して選出し、有関係・無関係対語試験の組み合わせを3セットを用意されています。 適応年齢 16歳~84歳 (失語症は対応すべきでない病態とされています。) 所要時間 10分となります。 保険点数 区分 D285-2 点数 280点 S-PAと三宅式記銘力検査の違い S-PAは、有関係対語試験、無関係対語試験の組み合わせが3種類(セットA・B・C)用意されており、用いる対語は時代を考慮したものとなっています。 さらに、S-PAは健常者の年齢別の平均値を示しており、検査成績の客観的な解釈が可能となっています。 また、スコアリングシートが付いており、簡便に判定できるようになっています。 三宅式記銘力検査は、1セットのみの構成となっており、複数回の使用が難しいことや、対語が現代に合っていないもの(停車場、真綿)などが含まれている点があります。 三宅式記銘力検査の詳細はこちら↓ 三宅式記銘力検査

遂行機能(executive function)

遂行機能とは 遂行機能(executive function)とは神経心理学的な立場から形成された概念です。 目的をもった一連の活動を有効に成し遂げるため、自ら目標を設定し、計画を立て、実際の行動を効果的に行う能力のことをいいます。 一般的な遂行機能の特徴は、目標指向性、新規の問題の解決、ルーチンである反応の抑制、複数のアプローチ法、複数の課題が同時に存在すること(同時処理)、状況に応じた柔軟な解決、規則の推論、概念化や概念の形成といった機能をいいます。 日常生活と遂行機能 日常生活では、買い物や料理の手順、銀行などでの手続き、対人関係の構築や維持には必要とされる機能で、職場では遂行機能を多用しています。 遂行機能に問題があると 遂行機能が保たれていれば自立した生産的な生活ができますが、逆に遂行機能障害を認めると他の認知機能や身体機能が良好であっても自立した生活や社会的に意味のある生活を送ることは困難となります。 言語、行為、視覚認知、視空間認知、記憶といった比較的要素的な領域では、なにをどれだけできるかという指標で表されるが、遂行機能はどのように物事を行うか、あるいは物事を行うか否かで判断されます。 そのため、遂行機能障害は、計画を立てる際やルーチンではない、新たな状況や問題が生じた際に出現しやすいといわれています。 遂行機能に問題があると、変化した状況では、計画のない場当たり的な行動になってしまったり、以前にとった行動と同じ行動を続けてしまったりします。

左半側空間無視のリハビリテーションアプローチ

左半側空間無視のリハビリテーションアプローチ 左半側空間無視へのリハビリテーションアプローチは、トップダウンアプローチとボトムアップアプローチに分けられます。 トップダウンアプローチとは トップダウンアプローチは、治療者が声かけや、目印等の視覚的聴覚的手がかり等を与えてフィードバックを行い、徐々に当事者が自発的に麻痺側に注意を向けられるようにする意識的なアプローチです。 空間性注意への直接的なアプローチ方法で、“気づきと代償行動の獲得により有効”で、エビデンスレベルAの報告が多いです。 ADL訓練は機能的アプローチとしてトップダウンアプローチに含まれています。 ボトムアップアプローチとは ボトムアップアプローチは、空間性注意の基盤が感覚入力、運動出力であることから、感覚系、感覚・運動の協調を通して無意識下で働きかけるアプローチのことを言います。 プリズム眼鏡を用いたプリズム順応、経頭蓋磁気刺激、後頸部筋振動刺激、視運動性刺激、前庭刺激等が該当します。 エビデンスレベルはトップダウンアプローチに比べ高くはありませんが、プリズム眼鏡を用いたプリズム順応をはじめ、効果や対象についての研究が続いています。

左半側空間無視の軽度例の特徴

左半側空間無視の軽度例の特徴 左半側空間無視の軽度例は、下記の特徴があります。 ・姿勢・行動観察では無視症状が目立たず、ADLの自立度は高い。 ・慣れていない環境や行動では見落とし等の症状が出現する。 ・対座法(Visual Extinction Test)を行うと視覚消去現象は陽性となる。 ・自身の症状に関する気づきは比較的良好。 ・頸部や眼球を麻痺側へ意識的に向けたり、上肢を使用しての麻痺側の情報を確認する代償行動をとることができる。 ・BITはカットオフ点以下の下位検査がなく正常域だが、日常場面でときに麻痺側を見落とす。または、BITでカットオフ点以下の下位検査だが、日常場面では見落としは見られない。

左半側空間無視の重度例の特徴

左半側空間無視の重度例の特徴 左半側空間無視の重度例としては、眼球運動障害やRight Neck Rotation(頸部が非麻痺側向き)、Right Trunk Rotation(体幹が非麻痺側向き)がある場合など、身体機能面と密接に関係している場合を重度と判断します。 また以下の様な症状があります。 ・静止時に頸部あるいは体幹、眼球が非麻痺側向きであり、指示・誘導をしても麻痺側への動きが乏しく、眼球の追従運動が正中線を超えない。 ・半側空間無視についての気づきが全くなく、行動を修正できない。 ・空間軸のずれや感覚障害の合併が多く、座位バランスは不安定で、ADLは臥位または車椅子座位レベルでほとんど全介助。 ・食事では麻痺側を見落とすため、すべて摂取するには介助者の介助、誘導が必要となる。 ・すべてのBITを実施できず、カットオフ点以下の下位検査数での判断ができない場合が多い。

高次脳機能障害 学習モデル

高次脳機能障害 学習モデル 学習モデルとは、高次脳機能障害に伴う日常生活上の問題の改善を直接図るアプローチのことをいいます。 注意障害や記憶障害によって車椅子移乗時のブレーキ操作を忘れる対象者に対し、最初は声かけや張り紙を用いて注意を喚起しますが、段階的に声かけや張り紙といったものを少なくし、能力の再獲得を図ります。 学習モデルの良い点としては、実際の環境下で繰り返して学習を行うことで確実に能力の獲得が図れる点です。 ただし、場面や課題が変わると汎化しない可能性があり、ベッド・車椅子間の移乗動作を獲得できても、トイレとの間ではできず、歩行場面での注意障害の影響は残存してしまうといったことが起こります。

左半側空間無視の各種の重症度分類

左半側空間無視の各種の重症度分類 ●福井(1981) grade 1 ときにはT片側空間の物体を認知しないこともあるが、ADL上ほとんど支障をきたさない。 grade 2 両側から同程度の視覚的刺激を与えると、片側の全部または一部を見落とす。しかし片側からだけの刺激は全部認知できる。 grade 3 片側のみからの刺激にたいしても末端部分を見落とす。 grade 4 片側のみからの刺激にたいしても全部分を見落とす。 空間軸変位、崩壊現象等を伴うことが多い。 grade 5 片側をまったく無視し頸を回すことも、視線を向けることもしない。空間軸変位、崩壊現象等を伴う。 ●御園生ら(2001) 軽度 BIT行動性無視検査カットオフ点以下の下位検査数:通常検査1~2、行動検査1~3 中等度 BIT行動性無視検査カットオフ点以下の下位検査数:通常検査3~4、行動検査4~6 重度 BIT行動性無視検査カットオフ点以下の下位検査数:通常検査5~6、行動検査7~9 ●鈴木ら(2012) 軽度 対座法にて、不意な声かけだけで視線を左側に向けることができる。 中等度 対座法にて、視覚や聴覚で誘導すれば視線が正中線を越える。 重度 対座法にて、患者が努力しても視線が正中線を越えず、追視も右視野内でしか行えない。 ●千葉リ八ビリテーションセンター(2013) 軽度 BIT行動性無視検査(BIT)はカットオフ点以下の下位検査はないが日常場面でときに麻痺側を見落とす。あるいは、BITでカットオフ点以下の下位検査はあるが、日常場面では見落としはみられない。 中等度 声かけや誘導等の介入があれば、麻痺側へ注意を向けることが一部可能。BITは実施可能。カットオフ点以下の下位検査がある。 重度 RNR、RTR、眼球運動障害等、身体機能面と密接に関係し無視症状が著明。行動修正困難。BITをすべて実施できない場合が多い。

刺激・促通法 失語症訓練

刺激・促通法 失語症訓練 刺激・促通法はWepmanによって提唱され、Schuellによって発展した治療法です。 Wepmanは患者の訓練意欲が高い言語領域を対象に、訓練意欲が高い材料を用いて、言語システムを刺激することによって再統合が促通されると述べています。 SchuellはWepmanの訓練意欲の高い刺激を繰り返すことにより阻害されていた言語システムが促通されるという考え方に基づき、より具体的で系統だった訓練法を確立しました。 Schuellの治療原則において根幹をなすのが、①「強力な聴覚刺激の使用」です。 これは言語獲得過程において聴覚 刺激が基盤となっていることに由来します。 また、聴覚刺激単独で不十分な場合は、文字や絵など他の刺激を併用することが推奨されています。 他にも、②「適切な言語刺激の使用」、③「感覚刺激の反復使用」、④「反応を生起させる刺激の使用」、⑤「強制や矯正を受けない反応の生起」、⑥「最大限の反応の生起」が治療原則として挙げられています。 Schuellは刺激法の適応を全失語以外の患者としています。

外傷性脳損傷による高次脳機能障害

外傷性脳損傷による高次脳機能障害 病巣は、両側性またはびまん性なことがしばしばで、運動麻痺は少なく、また、いわゆる「巣症状」は少ないと言われています。 一見普通にみえる外傷性脳損傷者への行政的支援を行うために、「障害」名としての「高次脳機能障害」が診断基準とともに提示されています。 この場合の高次脳機能障害は、記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害などの認知障害を主たる要因として、日常生活及び社会生活への適応に困難を示す障害のことを言います。 高次脳機能障害とただ単に診断するのではなく、神経心理学的評価の読みと行動評価を掘り下げて、医学的診断(ICD コードを含む)に結び付けることと障害内容を正確に見極めることとが大切と言われています。 外傷性脳損傷でよくみられる記憶障害は、アルツハイマー病のように少し前のことが真っ白に消えてしまう典型的な前向性健忘とは異なります。 外傷性脳損傷患者は、ニュース記事のような 3 つほどの文章をまとめて聞いて内容を把持できない「論理的記憶障害」を示すことが多いと言われています。 一方で、単語のペアを 8 組(ウエクスラー記憶検査 WMS-R3)ないしは 10 組(標準言語性対連合学習検査)といった覚える言語性対連合学習は比較的成績が良いと言われています。

脳内側部の病巣 記憶障害 Papez回路

脳内側部の病巣 記憶障害 Papez回路 脳内側部は脳梗塞、ヘルペス脳炎、前交通動脈瘤破裂等で損傷され、様々な記憶障害(前向性健忘と逆向性健忘)を起こします。 また時に、作話(作り話)を伴うことがあります。 新しいことを覚える近時記憶について最も重要なのはPapez の回路です。 Papez の回路は、海馬―脳弓―乳頭体―視床前核―帯状束―(脳梁膨大後域)―海馬という構成からなり脳の内側に位置します。 そのため、記憶障害は、運動麻痺や言語の障害とは独立して起こることが多いと言われています。 Papez の回路のうちのどこかが損傷されると、新しいことが覚えられない前向性健忘が生じます。 さらにこの回路を超えて病巣範囲が拡大すると、発症時点よりも遡って思い出せない逆向性健忘を伴いやすくなります。 前交通動脈瘤破裂では、前脳基底部が損傷され、記憶項目の組織化と時間順序の障害からなる特徴的な健忘が起こります。 病巣範囲が拡大して前頭葉眼窩面から内側面の損傷が加わると、しばしば現実とは異なる空想的な内容の作話が自発的に産出されることがあるようです。

右半球の脳卒中と空間性注意のネットワーク

右半球の脳卒中と空間性注意のネットワーク 右半球の中大脳動脈領域の脳梗塞や被殻出血では、左片麻痺に加えて、半側空間無視が起こることがあります。 半側空間無視とは、身体から見て病巣と対側の刺激を発見して反応したり、その方向を向くことの障害のことを言います。 頭部や視線の動きを自由にした状況で生じる症状であり、多くの生活場面に無視症状が現れます。 空間性注意の神経ネットワークを構成する皮質領域は、下頭頂小葉(角回と縁上回)と下前頭回後部と言われています。 両者は上縦束で結ばれ、さらにそれぞれ内包後脚と前脚の白質線維を介して視床と結ばれ、基本的な空間性注意のネットワークを構成していると言われています。 後方の下頭頂小葉病巣では感覚表象に依存した無視として、線分二等分や横書き単語の読みにおける無視が起こり、前方の下前頭回後部病巣では探索運動に依存した無視として、抹消試験や探索を伴う日常的課題における無視が起こりやすいと言われています。

注意障害の種類

注意障害の種類 注意障害を大まかに分けると4種類に分けることができます。 ①選択性注意障害 対象物に対し注意のスポットライトをあてられなくなる。 ②持続性注意障害 あてた注意を一定時間持続できなくなる。 ③配分性注意障害 多方向に注意を向けることができなくなる。 2 つのことを同時に行えなくなる。 ④転換性注意障害 注意を向ける対象を切り替えることができなくなる。 向けてはいけないほうに向けないようにすることができなくなる。 注意の選択・持続はより基礎的な機能であり、注意の配分、転換はより高次の機能だと考えられています。

レビー小体型認知症の認知機能障害の特徴

レビー小体型認知症の認知機能障害の特徴 レビー小体型認知症(DLB)の必須症状である進行性の認知機能障害の特徴として、初期に記憶障害が目立たない事があります。 また、注意や遂行機能、視覚認知障害が目立つ事も特徴で、他の認知機能と比べて不釣合いな遂行能力低下等となって現れます。 アルツハイマー型認知症と比較して、MMSEの各項目による解析では、レビー小体型認知症では注意力と図形模写で有意な低下を認め、アルツハイマー型認知症では遅延再生の障害を高度に認めたとの報告があります。

左半側空間無視に対する機能的アプローチ

左半側空間無視に対する機能的アプローチ 機能的アプローチは、日常生活活動(Activity ofdaily living;AD:L)のなかで重要度の高いものを繰り返し練習して、患者の自立度を向上させるようなものをいいます。 半側空間無視そのものの改善を促すアプローチではないので、汎化は困難とも考えられていますが、トップダウンアプローチやボトムアップアプローチにおいてもADLに汎化されるというエビデンスは乏しいのが現状であり、日常生活に結びつきやすく、具体的な成果がわかりやすい機能的アプローチで、有用なリハの手法となります。

左半側空間無視に対するボトムアップアプローチ

左半側空間無視に対するボトムアップアプローチ 一側性感覚刺激が古くから行われています。 カロリック刺激を応用し左向きの眼振を誘発する方法、ランダムドットが左側に動く背景を用いて視運動性眼振を引き起こす方法、左後頸部への電気刺激や振動刺激を利用する方法、反復頭蓋磁気刺激等がありますが、無視を改善させるというエビデンスにはなかなか至っていないのが現状です。 ただし、左頸部への振動刺激では、身体中心の座標系の右方偏僑が矯正され、視覚走査訓練と組み合わせると無視が改善するという報告もあり、今後さまざまな方法の組み合わせが無視の改善に寄与する可能性を示唆しています。 また、感覚と運動の協調に介入する目的で半側空間無視患者に対するプリズム適応(プリズム順応)療法が行われています。 これは、視野を右にずらすプリズムの入った眼鏡をかけてリーチ動作訓練を行うことで、視覚的には右側にずれてみえる状態に到達運動を順応させるというものです。 眼鏡を外しても数週間効果が持続するとの報告がある一方、プリズム順応の有用性を確認できないとする報告もあり、現在進行中であるランダム化比較試験や長期予後に関する結果の報告が待たれています。

左半側空間無視へのトップダウンアプローチ

左半側空間無視へのトップダウンアプローチ 代表的な訓練法に視覚走査訓、Spatiomotor cueing、体幹を左に向けるアプローチ、聴覚的フィードバックを用いた訓練等があります。 視覚走査訓練では、訓練課題に近い評価課題では改善がみられたが、課題内容との違いが大きくなると効果が一定しなかったといいます。 また、類似した訓練として、左側をみるようにそのつどcueを出す、探索すべき空間的フレームの左端に目印をつける、右側の標的に反応したら視界から取り去る等の方法があり、いずれも左側を探索しようとせず、右側の刺激に引きつけられ、そこから注意が解放されにくいという視覚走査の問題に着眼した訓練法ですが、視覚走査に特化しずぎても効果が得られにくいとされ、ある程度幅の広い課題で繰り返し訓練すると良いと言われています。 あるいは、患側の左上肢をわざと無視空間である左側の空間内で動かすことで効果が得られるという報告や、体幹そのものを左側に回旋させるとよいという興味深い報告等がありますが、麻痺が重度であったり、体幹の安定が得られていなかったりする場合は実施困難である等、現実的な訓練場面で行うには工夫が必要です。

左半側空間無視のリハビリテーションを進める上でのポイント

左半側空間無視のリハビリテーションを進める上でのポイント ①左側にとらわれずに感情的交流を工夫する ②そのままでは見落としても10個の星印がありますと言えば見落とさない、多くの刺激だと見落とすが1つの刺激だと見落とさないなど、反応の仕方に注目して刺激提示を工夫開発する ③できることの能力評価を正確に行い結果の肯定的再評価に努める ④半側空間無視以外の行動特性を分析する ⑤本人の意欲や関心に結びつく課題を設定し、自己意識化行動の援助をする ⑥環境調整・人的資源の確保・言葉の提供など、いわゆる概念的補装具の開発を行う 消失する無視の回復期間の中央値は9週で、発症2~4週に残存する例では6ヵ月後の完全消失は13%であったという報告がある。