大人からの注目 すでに子どもがいる家庭に、またひとり子どもが生まれると、きょうだいという関係が生じる。 このきょうだいの出現は、まったく自然なことなのだが、当の子どもたちにとっては非常に大きな生活環境の変化である。 家庭のなかでの最初の子どもは、多くの場合、両親やその他の家族の注目を一身に浴びながら育つ。 ここでいう注目とは、視線を向けること、声をかけること、笑顔を向けること、指示すること、叱ることなど、子どもにあらゆる種類の信号が送られることを指す。 注目を受けることは、人間にとって行動の原動力となる。 新たな料理に挑戦して、「おいしかったよ」「新しいレパートリーが増えたね」などと言われると、この料理をまた作ってみようと、さらに新たな料理に挑戦しようという気になる。 仮に、「いまひとつ、おいしくないな」と言われても、それはそれで、今度はもっとうまく作ろうとか、残念だったけど次はもう少し工夫してみようなどと思うものである。 しかし、まったく何の反応も得られないと、新しい料理に挑戦しようといった意欲がそがれていってしまう。 乳幼児期は、大人に比べて、よい子でいたい、よい子であることを認めてもらいたい、あるいはいろいろなものごとが“できる"ことを認めてもらいたいという素朴な気持ちを持ち、またそれを素直に表出できる時期である。 幼児の生活には、周囲の大人が与える注目が、より大きな影響を及ぼしているのである。 きょうだいが生まれると、周囲の大人から与えられる注目が激減する。 大人の注目はより小さい子どもに向けられることが多いので、注目の減少は、半減以上のものがある。 そのため、きょうだいが生まれることは、それだけで子どもにとっては大きなストレッサーをかかえることになるのである。 このようなときに子どもは、赤ちゃん返りをしてより幼い時期に特徴的な行動をしたり、不適切な行動をして親や周囲の大人の注目を取り戻そうとさまざまな努力をする。 自己主張と譲歩 きょうだいが生まれてしばらくたつと、きょうだい間での争いが生じることがある。 子どもは2~4歳頃に第一反抗期を迎え、親の意図とは別個に自らの意図を主張したり自ら物事を決断したいということを主張するようになる。 これが自我の芽生えと呼...