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Showing posts with the label ことばの発達

90%の児童が正しく構音できる時期について

小児の構音障害を診る時には,健常児の構音の発達を考慮しなければいけません。 下記の表は、単語レベルで 90 %の児童が正しく構音できる時期を示しています。 子音の構音では,特に[ s ](サ行),[ ts ](ツ),[ dz ](ザ,ズ,ゾ),[ r ](ラ行)の完成が、他の子音に比べて大きく遅れており、 4 歳代ではこれらが不完全であっても必ずしも異常とは言えません。したがってこのような児では他の音の誤りの有無や、構音発達の経過に留意しなければいけません。 90 %の児童が正しく構音できる時期 4 歳 0 カ月~ 4 歳 5 カ月 w , j , h , c , p , b , m , t , d , n , k , g , tʃ  , dʒ 4 歳 6 カ月~ 4 歳 11 カ月 ʃ  5 歳 0 カ月~ 5 歳 5 カ月 s , ts 5 歳 6 カ月~ 5 歳 11 カ月 dz , r 6 歳 0 カ月~ 中西靖子,他:構音検査とその結果に関する考察.東京学芸大学特殊教育研究施設報告 1 , 1 - 21 頁,より改変 .

ことばの遅れを見極める時期について

幼児期にことばの遅れを見極めるには、言語発達の観点から次の 4 つの時期が大切です。 ①    初語出現の頃である 1 歳~ 1 歳半面 ②    二語文出現の 2 歳頃 ③    会話がほぼ完成する三歳頃 保健所の 1 歳半健診、 3 歳半健診はこの①と③をカバーする時期に行われます。ことばの遅れを端緒として学童期軽度障害につながる子どもが多いです。 1 歳~ 1 歳半頃の発見のポイント 1 歳半頃には、 90 %の子どもがパパ、ママ以外に 3 つの単語を言えるようになります。ことばの出現が 1 つの発達の指標になりますが、ことばの出現時期には個人差があり、ことばの出現を指標にすると問題を見逃す可能性があります。 ことばの出現と同時に大きな指標になるのは、コミュニケーションの発達からみる前言語伝達行動の出現(使用)と、特定の人への愛着が育っているかという点です。前言語伝達行動は、ことば出現以前に見られるコミュニケーション手段をさします。 代表的なものは、指さしに視線や発声を伴ったものですが、これは、生後 10 か月頃に見られ始めます。 前言語伝達行動の例をあげると、窓の外を指さし、母親を見ながら「あっあっ」と発声し、「犬がいるよ。見て」と知らせたり、大人の方を見て、「あっあっ」と車などの玩具を差しだし、動かしてほしいと伝えます。 相手を見る、発声で注意喚起をするという行為(行動)は、誰に伝えるのかを知っていることを示し、指さしや物を渡す行為は伝達意図(伝えたいこと)を示します。 この前言語伝達は後々のことばによるコミュニケーションにも大きく関連するものです。 1 歳を過ぎても前言語伝達行動が出ていない場合は、知的な遅れと広汎性発達障害を疑います。知的な遅れの場合には、発声で注意を引いたり、母親とのアイコンタクトがあり、母親への甘え、分離不安など愛着行動が見られるのが特徴です。 前言語伝達行動が出現していないか、クレーンハンド(手を引く)などの伝達行動があっても、その時に視線を伴わない等の特徴が見られる場合、同時に人見知りや、母親への甘えの欠如が見られる場合には広汎性発達障害を疑います。 2 歳から 3 歳...

学童期(6歳から12歳)のことばの発達について

学童期の声道の特徴 声道はさらに縦方向に長くなりますが、成人に比べると舌と口蓋は近位にあり、音産生時に舌が幅広く口蓋に接触する傾向があります。 しかし形態が成人に近付くにつれて、口蓋への接触は減少し、「た、さ」など口腔の前方で産生する音(歯茎音)と「か」など口腔の後方で産生する音(軟口蓋音)の構音場所が離れてきます。 こうして口腔内における舌の可動域が広がり、連続音産生のすばやい運動が可能となります。 学童期の音声知覚 成人と同様に文脈の助けを借りて音響信号を理解するようになりますが、連続発話のなかのことばを理解するには、成人より多くの音響情報を必要とします。 会話の中で相手のメッセージを理解する手がかりとして意味的な知識を用いることが十分発達するのは、 13 ~ 19 歳頃までかかると言われています。 学童期の音声産生 6 歳過ぎると幼児語はほとんど使わなくなり、電話でやりとりをして必要な情報を交換することができます。 そしてかなり長い話も詳細に伝えることができます。 学齢期のことばは仲間の影響を強く受けるようになり、両親の方言と仲間の方言が異なっている場合は、仲間の話し言葉のほうを自然に使うようになります。 「幼児期前期(1歳から3歳)のことばの発達について」はこちら 「幼児期後期(4歳から6歳就学前まで)のことばの発達について」はこちら 参考文献 1 ) 中島 誠:音声の体制化過程.児童心理学講座 3  言語機能の発達,第 11 版,桂 広介,園原太郎,波多野 完治,他(監), 33 ‒ 67 頁,金子書房,東京, 1982 . 2 ) 山根律子,水戸義明,花沢恵子,他:改訂版 随意運動発達検査.音声言語医学 31 : 172 ‒ 185 , 1990 . 3 ) Bernthal JE , Bankson NW (著),船山美奈子,岡崎恵子(監訳):構音と音韻の障害―音韻発達から評価・ 訓練まで,協同医書出版社,東京, 2001 . 4 ) Cheng HY, BE, Goozee JV, et al : Electropalatographicassessment of tongue ‒ to ‒ palate contact patterns...

幼児期後期(4歳から6歳就学前まで)のことばの発達について

幼児期後期の声道の特徴 山根ら( 1990 )の随意運動発達検査によると、「パパパ」「タタタ」「カカカ」など一音の繰り返しは 2 歳代でできるが、「パタカ」のように構音場所が異なる三音の連続発話は 3 歳 5 カ月、「パタカパタカ」を繰り返すのは 5 歳となっています。 このように幼児期後期になると、声道の拡張とともに口唇・舌・喉頭など発声発語器官の協調運動も発達してきます。 幼児期後期の音声知覚 4 歳を過ぎると「ねこ、にんじん」といった個々の名称だけでなく、「動物、野菜」などカテゴリーの名称を理解できます。 しかし語彙はまだ少なく、おとなの会話の中で知らない語よりも知っている語をより正確に知覚します。 5 歳では子供かるたをほとんどとれるようになり、数や文字に対する興味も出てくる。ことばの意味を変える音韻の違いにも気付き、「た」のつくことば、「か」のつくことばなどを見つけることができます。 また「すいか」を「す」と「い」と「か」に分解し、「か」は 3 番目の音と抽出することができます。 幼児期後期の音声産生 幼児期前期に産生できるようになった音に加え、摩擦音(は行、さ行)、破擦音(ち、つ)、弾音(ら行)などを正しく言えるようになります。 この中でも特に難しいのは「さ、す、せ、そ、つ、ず」であり、これらの音は 6 歳までに獲得できれば個人差と考えてよいでしょう。 健常な発達過程でみられる音産生の誤りの規則性を音韻プロセスといいます。 たとえば音の省略(テレビ→テエビ)、構音場所の前方化(とけい→とてい)、破裂音化(らっぱ→だっぱ)、破擦音化(すいか→ちゅいか)、硬口蓋化(つくえ→ちゅくえ)などがあります。 中村( 2015 )は 2 歳から 6 歳の健常なこどもを対象に音韻プロセスの使用率を調べたところ、 2 歳台で多く出現した音韻プロセスは年齢とともに減少し、 5 歳台ではほとんど使われなくなっていると報告しています。 つまり、健常発達のこどもは 6 歳までにはすべての日本語音を正しく産生できるようになります。 5 歳になると経験したこと、これからしようと思っていることなどを話すようになり、「しりとり遊び」や「なぞなぞ」を楽しむようになります。 「幼児期前期(1歳から3...

幼児期前期(1歳から3歳)のことばの発達について

幼児期前期の声道の特徴 乳児期に比べると声道が長くなり、咽頭腔や口腔のスペースも広くなります。山根ら( 1990 )の随意運動発達検査によると、舌運動の 90 %通過年齢は「舌をまっすぐ前に出す: 2 歳 2 カ月」、「舌を出したり入れたりを交互に繰り返す: 2 歳 8 カ月」、「舌で下口唇をなめる: 2 歳 11 カ月」、「舌で上口唇をなめる: 3 歳 10 カ月」となっています。 舌の随意運動は前後方向の運動が最初に獲得され、次いで下方向、最後に上方向の運動が獲得されていきます。 幼児期前期の音声知覚について 1 歳を過ぎると、「ブーブーは?」などの問いに指差しで応えるようになります。 1 歳 3 カ月頃には「お姉ちゃんにあげて」など簡単な指示に従えるようになります。 1 歳 6 カ月頃には、気に入った絵本を繰り返し読んでもらいたがったり、絵本なしでも簡単な物語を喜んで聞くようになります。 2 歳から 3 歳にかけて、上・中・下など位置関係を表すことばや色名を理解するようになり、「テーブルの上の赤い箱とってきて」というような指示に従えるようになります。 また「ご飯を食べるとき使うものはなに?」と聞くとスプーンを指さすなど、物の用途がわかるようになります。 同じ物語を何回も聞きたがり、間違えると怒って訂正したりします。このように短いことばから次第に長い発話を理解するようになります。 幼児期前期の音声産生について 生後 1 歳前後から「ワンワン」などの有意味語を使い始めますが、四つ足の動物や毛の生えたものをすべて「ワンワン」と言うなど、まだ言語の機能としては未熟です。しかし、音声を表現の手段として使用するという基本的な構えが獲得され、ここから母国語音声の体制化が進みます。 初期の単語に現れる音声的特徴は、母音では「ア、エ、オ」などが多く、舌の緊張を伴う「イ、ウ」はまれです。 子音では破裂音「パ、タ、カ」が最も多く、次いで鼻音「マ、ナ」が使われますが、構音操作が見てわかりやすい「パ」「マ」など口唇音を含む単語が多いです。 1 歳 6 カ月になる頃には 25 個程度のことばを言えるようになり、 1 歳 9 カ月には「パパイッタ」など 2 語文を、 2 歳頃には「パパアッチイッタ」な...

ことばの発達を促す「ことばかけ」の方法「ミラリング」「モニタリング」「パラレルトーク」「セルフトーク」「リフレクション」「エキスパンション」について言語聴覚士が解説!

赤ちゃんの動きをまねる「ミラリング」 生後2ヶ月くらいまでは、赤ちゃんは、身体を大きくすることに懸命ですが、3ヶ月、4ヶ月以降は、自分で身体を動かせるようになってきます。 目もだいぶ上手に使えるようになってきます。 赤ちゃんが手足をバタバタさせたら、大人も真似て手をパタパタさせてみたり、まねをしてあげると良いです。 おすわりができるようになったら、ベッドのさくをガタガタさせるのを一緒に真似て遊んだり、積み木をトントン打ち合わせるのを真似てみたり、いろんなことができます。 赤ちゃんは、自分と同じ動きをしてくれる大人に、興味をもち、「この次も、また真似をしてくれるかな?」と大人の様子を観察しながら、誘いをかけてきたりします。 鏡に映すように真似るという意味で「ミラリング」といいます。 赤ちゃんの出す声や音をまねる「モニタリング」 赤ちゃんはごきげんなときに、唇を使って「ブーブー」「ブーブー」と言ったり、「フニャー、ウニャー」と声を出したりします。 こういう意味のない(と大人にはみえる)声を真似して返してあげることで、赤ちゃんは「音を出すこと」「音を出すと、あっちから同じ音が返ってくること」を楽しむようになり、話をする楽しさを知るようになっていきます。 このことを、音を拾ってモニターする意味で、「モニタリング」いいます。 赤ちゃんの状態や気持ちを代わりにことばで言ってあげる「パラレルトーク」 赤ちゃんが、おやつを食べながら幸せそうな顔になったら、「おいしいね」といい、ミルクがこぼれてエプロンがびしょびしょになったら、「あら、びしょびしょになっちゃったね」などと言います。 どこかにゴチンとぶつけたら「痛くない!」ではなく「イタイ、イタイね」などと言ってあげましょう。 そういった言葉かけを行うことで、大人はボク(ワタシ)のことを「よく分かってくれているんだな」という安心感が、子どもの一生を支える宝物になります。 子ども平行していうので、「パラレルトーク」といいます。 お父さんお母さんが自分の口に出していう「セルフトーク」 お風呂に入ろうとしている時にバスタオルが見つからない。「あれ?バスタオルどこだろう?」 怪訝そうな顔をしてみているこどもに「バスタオルを探しているんだよ」...