統合失調症の方に対する認知行動療法の目的 近年、「精神病の認知行動療法 CBTforPsychosis(CBTp) 」の効果検証時の主要アウトカムは、症状変化におくべきではないという考え方が広がってきています。 このような背景としては、まず、統合失調症をもつ人々の抱える最大の問題が精神病体験であるとは限らないことが挙げられます。 精神病症状よりも社会的排除やスティグマ、情緒的問題、対人関係の苦痛をより強く感じている者が少なくないことを示す調査結果が複数存在します。そのため、症状の軽減は必ずしも生活の質の向上やリカバリーに十分ではないことの理解が広がってきたのです。 さらに、認知行動モデルによれば、状況をどのように解釈 ( 認知 ) するかが、その後の感情や行動 ( 結果 ) を決めます。精神病体験については、いくつかの認知行動モデルが提唱されているが、心理的苦痛をもたらすのは、精神病体験という状況をどのように解釈するかで、体験そのものではないことを主張している点では共通しています。 そこで、心理的苦痛の軽減のためには、症状自体ではなく、症状に対する認知もしくは行動に介入すべきことがモデルから導き出されます。 症状の改善は苦痛軽減の結果、二次的にもたらされる可能性のある状態であって、第一義的な目的ではありません。 例えば、幻聴の頻度や内容が変わらないとしても、それによる苦痛や、影響された行動が改善すれば、介入の目的は達成されたと考えるということです。 以上のような理由から、現在では、 CBTp を準向精神薬のように扱うのではなく、苦痛軽減と適応的行動の増加をターゲットにして、利用者本人の望む日常生活の改善を目的とした介入として位置づけるようになってきました。 CBTp の進め方 幻覚・妄想への対応に限定しない CBTp の進め方は、うつ病や不安障害への認知行動療法に倣って、以下の 7 段階に分けると考えやすいです。 ①関係構築、②問題リスト作り、③目標設定、④アセスメント、⑤事例定式化 caseformulation 、⑥ホームワーク、⑦再発予防です。 ①関係構築 CBTp における関係構築の特徴は、「柔軟な治療構造」「ノーマライジング」「不同意の同意関係」です。本...