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Showing posts with the label 嚥下障害

筋強直性ジストロフィー(MD)と摂食・嚥下障害

筋強直性ジストロフィーの摂食・嚥下機能の病態 国立病院機構筋ジストロフィー病棟の 2000 年から 2004 年の MD の死因を 5 年間の累計でみると、呼吸不全が 27.9% 、次いで呼吸器感染症 21.8% 、呼吸不全と呼吸器感染症併記が 5.5% と呼吸器系の関与が目立ちます。 呼吸器感染症には誤嚥性肺炎も多く含まれていると考えられ、摂食・嚥下障害が、この疾患の予後と強い関連をもっていることを示唆しています。 嚥下障害を引きおこす要因には、ミオパチーによる嚥下筋力の低下、ミオトニア、中枢神経障害があげられています。 ミオトニアについては、筋電図により顎下筋の放電を確認した報告があります、嚥下運動の中でどのように関与しているかについては明らかではありません。 MD では、認知期・準備期の問題、口腔の形態的・機能的問題、咽頭期・食道期の問題がいずれも存在します。 CTG 三塩基反復数と嚥下機能重症度との関連は明らかでないといわれています。 MD 患者のなかには、誤嚥を繰り返しながら経口摂取を続けているものが少なからず存在すると推察されますが、自覚症状やスクリーニング検査で発見することは困難と言われています。 摂食・嚥下運動の各プロセスにおける障害 認知期 認知障害による摂食行動異常 ( 次々に大きな食塊を口に詰め込むなどの行動 ) や病識の甘さなどがみられます。嚥下障害の自覚症状として、のみ込みにくさを 45% 、むせを 33% が訴えているとの報告もありますが、一般に自覚の乏しい場合が多く、誤嚥のリスク管理上十分な観察が必要です。摂食・嚥下障害の自覚に乏しく、自食患者の誤嚥のリスクはかなり高いと言われています。この点を踏まえた、見守りと管理体制が必要となります。 準備期 不正咬合は 35% にみられ、前歯と小臼歯部の歯が噛み合わない開咬があります。咀嚼力低下は不正咬合と咀嚼筋 ( 咬筋と内側翼突筋 ) 筋力低下の両者によってもたらされます。咬合力は健常者の 1/10 程度ですが、咀嚼障害について病識が少なく、不十分な咀嚼でのみ込む行動がみられます。不正咬合に対し、口腔外科的矯正手術が有効との報告があります。 口腔期 鼻咽腔閉鎖不全、軟口蓋挙上の遅れ、咽頭への送り込み...

Duchenne型筋ジストロフィー(DMD)の摂食・嚥下障害について

DMD 患者は、 10 歳代より口腔期の異常が存在し、さらに 20 歳頃より咽頭残留などの咽頭期障害が出現し、口腔、咽頭の通過障害は固形物の方が強く、咽頭残留は液体の方が多くみられたとの報告があります。また、口腔・咽頭移送時間は年齢とともに遅延し、舌骨の前上方への運動時間は、年齢とともに短縮すると報告されています。   摂食・嚥下運動の各プロセスにおける障害と対策について 準備期の障害と対策について 閉口筋と開口筋の機能の不均衡により、しばしば開口障害と開咬を認めます。 咬合不全があり、咬合力は 20 歳代でも 100N 以下であり、健常人の平均値、 10 歳代 468N 、 20 歳代 654N に比べきわめて低値となります。 また、巨舌や筋力低下のため、明らかな舌の可動域制限がみられます。 歯列は、前後径が小さく左右径がやや大きく、相対的に側方に広がり、そのため舌の左右運動量が多くなり咀嚼効率が低下してしまいます。 対策としては、咬合床などの装置により、咀嚼機能を改善したとの報告があります。 口腔期の障害と対策について 巨舌と舌の可動域制限のため、奥舌への移送や咽頭への送り込み、運動中に口腔内を食塊が行きつもどりつしてしまいます。対策としては、咬合訓練や口腔周囲筋のストレッチを行い可動域を拡大を図ります。 咽頭期の障害と対策について 咽頭筋の筋力低下による咽頭移送障害と舌骨挙上不全による食道入口開大不全があります。そのため、食道入口部を食塊が一度に通過しないことが少なくありません。結果として、食塊の口腔への逆流が少なからず認められます。障害食道入口開大不全に対してはバルン拡張法法 (1 回引き抜き法 ) が有効なことがあるとの報告があります。 食道期の障害について 食道の移送障害は、少ないといわれていますが、胃食道逆流がみられることがあります。 摂食障害と対策について 脊柱変形や上肢・体幹筋力低下による疲労が必発です。慢性進行性のため、患者は必ずしも疲労を自覚していませんが、食事の後半に頻脈や体動が目立つときは、疲れているサインと判断します。 脊柱変形や上肢・体幹筋力低下による疲労の対策としては、ただちに全面介助に変更するのではなく、患者の自食の意欲を尊重して...

デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)患者に対する嚥下評価について

デュシェンヌ型筋ジストロフィー( Duchennemusculardystrophy ; DMD )患者の平均寿命は人工呼吸器療法などの集学的医療の効果により延長しています。寿命の延長に伴い、嚥下機能の低下が顕在化し、胃痩栄養や中心静脈栄養などの栄養管理方法を選択する例が増加しています。 一般に DMD 患者では 10 歳代から咀噌や咽頭への食物の送り込みなどの口腔機能に異常が現れ、 20 歳以上では咽頭喉頭の筋力が低下することにより嚥下後に食物が咽頭に残留する頻度が高くなりますが、誤嚥を来す頻度は少ないと報告されています。 DMD の診療ガイドラインでは、口腔機能の低下が始まる 10 歳代半ばから定期的に嚥下機能評価を行うことが推奨されています。 DMD 患者のスクリーニング検査 スクリーニング検査としては反復唾液嚥下テスト( RSST )と( MWST )を実施していますが、 DMD 患者ではスクリーニング検査の結果を適切に評価できないことが少なくありません。嚥下障害が進行している DMD 患者では、嚥下時の喉頭挙上の動きが弱く、弱い嚥下運動を反復しながら少しずつ嚥下するため、嚥下反射のタイミングを触診だけで判断することが難しい場合があります。 この喉頭挙上が 1 横指を超えない弱い嚥下運動が観察される場合には、咽頭への食物残留が認められることが多いという報告があります。また、呼吸筋が弱くなっている場合には、検査者にわかるように強くむせることが出来ません。 ただし、 DMD 患者の場合には咽頭喉頭の感覚が保たれているため、咽頭残留の有無や飲み込みにくさについては比較的正確に自覚されている場合が多いです。 DMD 患者の嚥下内視鏡検査 外来またはベットサイドに内視鏡を持参して検査を行います。検査の際には普段食事をしている姿勢をとってもらい、普段の食事中に鼻マスクなどを使用し NPPV 換気を行っている場合には呼吸器を装着したまま検査を実施します。内視鏡の先端部分を鼻腔内に挿入する時のみ少しマスクをずらすだけで、その後は通常通りに換気をしながら検査を実施することができます。 嚥下時の咽頭喉頭の動きが減弱した DMD 患者では咽頭の唾液貯留や嚥下後の咽頭残留を認めます。ただし、唾液や残留した食物の喉頭...

誤嚥性肺炎の予防と栄養管理などのケアについて言語聴覚士が解説!

今回は、高齢者においてよくみられる誤嚥性肺炎の予防と栄養管理などのケアについて説明していきたいと思います。 誤嚥性肺炎の病態と評価・診断方法 病態について 高齢者では、認知症の進行や摂食嚥下機能の低下、全身機能の低下などにより誤嚥性肺炎を発症することがあります。 発熱や炎症を伴う誤嚥性肺炎を繰り返すと、栄養状態の悪化やADLの低下をきたすため、まずは誤嚥性肺炎を繰り返さないための予防が大切となります。 そのためには口腔内を清潔に保つことに加え、摂食・嚥下機能の評価と食事の工夫を含めた栄養管理が重要となります。 摂食・嚥下機能の評価について 嚥下機能の検査法には、 反復唾液嚥下テスト(RSST:repetitive saliva swallowing test) 、 改訂水飲みテスト(MWST:modified water swallow test) 、 フードテスト 、 嚥下造影検査(VF:videofluoroscopic examination of swallowing) 、嚥下内視鏡検査(VE:videoendoscopic examination of swallowing)などがあります。 検査結果は藤島の摂食、嚥下能力グレードや、才藤の摂食・嚥下障害の重症度分類などで段階分けをします。 栄養管理について 摂食・嚥下グレードに準じて、嚥下食や嚥下訓練食など食事の工夫が必要となってきます。 嚥下調整食の分類については、日本摂食・嚥下リハビリテーション学会 「嚥下調整食分類2013」 を参照すると良いでしょう。 「嚥下調整食分類2013」はこちらからPDFファイルで開くことができます↓ https://www.jsdr.or.jp/wp-content/uploads/file/doc/classification2013-manual.pdf 嚥下機能が正常でも、十分な栄養量を確保できない場合は、メイバランスミニなどの栄養補助食品などで補充する必要があります。 また、食事量が十分でない場合には、Na・Kなどのミネラルや亜鉛・鉄などの微量元素が不足するので注意する必要があります。 誤嚥性肺炎の治療方針 嚥下機能評価の結果、少しでも経口摂取が可能な場合は経口摂取を継続することが望...

レビー小体型認知症と進行性核上性麻痺の方の摂食嚥下障害への対応

レビー小体型認知症と進行性核上性麻痺の方の嚥下障害の特徴 レビー小体型認知症と進行性核上性麻痺で、もっとも重篤な嚥下障害の所見は誤嚥です。 誤嚥は声帯を越えた異物の侵入と定義され、固形物よりも液体で観察されることが多いです。 解剖学的な構造上、声帯より下方で異物の侵入を遮るがないため、誤嚥量が多ければ、そして咳漱による異物の排出がなければ、異物が肺野まで流れ込み、肺炎を起こします。 レビー小体型認知症では不顕性誤嚥(ムセのない誤嚥)が多く、患者もその家族も重篤な嚥下障害に気づいていないことが多いです。 誤嚥はレビー小体病患者の肺炎発症のリスク因子であり、VFで誤嚥したレビー小体型認知症患者の検査後2年以内の肺炎発症率は83%です。 それに対し、誤嚥を認めなかったレビー小体型認知症患者の2年以内の肺炎発症率は4%に過ぎません。 レビー小体型認知症患者の嚥下造影検査(VF)では、口腔期の異常は50%、咽頭期の異常が17人85%に認められると言われています。 そして、レビー小体型認知症患者の45%は口腔期と咽頭期の両方に異常が認められます レビー小体型認知症患者の口腔期の動きは認知機能と相関がある一方で、咽頭期は認知機能と相関しないとされています。 進行性核上性麻痺では嚥下障害が80%に現れ、死因は肺炎が最も多くなります。 進行性核上性麻痺は発症早期には嚥下反射の惹起は良好ですが、進行すると嚥下反射の惹起も遅くなります。 また、無動寡動のため口腔期の障害が強くなり、食物の送り込みが困難になります。 進行性核上性麻痺は、レビー小体型認知症に比べると誤嚥した時にむせることが多いが、むせたときの呼気流速が弱くなり、やがて肺炎を繰り返すようになります。 レビー小体型認知症と進行性核上性麻痺の方の摂食嚥下に影響する病態とその対応 レビー小体型認知症と進行性核上性麻痺の摂食嚥下には認知機能や運動機能の障害が影響します。 レビー小体型認知症は覚醒レベルの変動や起立性低血圧のため、食事中に急に覚醒レベルが低くなることがあります。 そのため、食事中の覚醒レベルが低いと、誤嚥や窒息のリスクが高くなります。無理に食べさせず、覚醒レベルが改善してから食事するようにして対処します。 覚醒する時間帯がバラバラであったり...

アルツハイマー型認知症末期の嚥下障害と対応

アルツハイマー型認知症末期の嚥下障害と対応 アルツハイマー型認知症は末期になると脳の萎縮も重度になり、全介助でほぼ寝たきり状態となります。 このころには偏食や過食といった症状はなくなり、身体機能の低下もあいまって食事中の立ち去りもみられなくなります。 反対に、身体機能の低下に伴い嚥下機能自体も障害されてくるため、食塊形成の障害、送り込み不良、誤嚥、窒息などがみられるようになります。 意識レベルの低下や傾眠傾向といった症状も出現し、日常の生活リズムも乱れることがあるため、それらが食事摂取量に影響することも多くなってくきます。 さらに進むとパーキンソン症状も出て経口摂取量が極端に少なくなり、重度の誤嚥を呈するようになります。 その場合には看取りも含めた終末期に対する対応が必要となります。

ワレンベルグ症候群患者の特徴

ワレンベルグ症候群患者の特徴 唾液嚥下困難 急性期では唾液嚥下が困難な例が多いです。 そのため、自身でティッシュペーパーに喀出している場面が見かけます。 夜間はティッシュペーパーを1箱以上使用することも珍しくないといわれています。 唾液喀出量の減少が、嚥下機能改善を確認する 1つの指標となります。 栄養摂取方法 急性期では、経鼻胃経管栄養法が主となります。 回復期リハビリテーション時に、バルーン訓練を行うためには、咽頭部をフリーにする OE 法(間欠的口腔食道経管栄養法)、または胃瘻の選択が必要となります。 嚥下機能に改善が見られれば、その改善に合わせて摂取量、回数、食事形態に注意しながら経口摂取を進めていきます。 咽頭機能の左右差 食塊の通過側は、非麻痺側が優位であることがほとんどです。しかし、急性期には麻痺側優位に通過する症例も見られます。この詳細はVF(嚥下造影検査)の正面像で検討することができます。 高次脳機能 認知症を合併しているケースを除いて、高次脳機能には問題が見られないケースが多いです。 そのため、自主訓練として頭部挙上訓練やバルーン拡張法などを積極的に進めていくことが可能です。 ADL 小脳の脳血管障害の合併などによっては、失調症状を呈し歩行が困難になることもありますが、急性期から独歩可能、トイレ動作、ADL 自立というケースも珍しないと言われています。

誤嚥性肺炎の危険因子

誤嚥性肺炎の危険因子 患者背景 高齢 男性 喫煙 栄養不良 咽喉頭コロニーの形成(口腔内不衛生) 嚥下障害 食道蠕動低下・嘔吐 咳嗽反射の低下 意識状態の変調 経管栄養 アンギオテンシン変換酵素遺伝子型(deletion/deletion) 基礎疾患 認知症 糖尿病 慢性肺疾患 パーキンソン病 薬剤 制酸剤(プロトンポンプ阻害剤) 鎮静剤 向精神薬 抗コリン剤(胃内残渣増加) カルシウム拮抗薬(食道括約筋力低下) アンギオテンシン変換酵素阻害剤の未使用 日本外科感染症学会雑誌Vol.13(3)2016より参照

嚥下障害スクリーニングテスト

嚥下障害スクリーニングテスト 嚥下スクリーニングテストは以下と通りです。 質問紙法 嚥下誘発テスト(swallowing provocation test:SPT) 水飲みテスト 反復唾液嚥下テスト(repetitive saliva swallowing test:RSST) 改訂水飲みテスト(modified water swallowing test:MWST) 反復唾液嚥下テスト RSST 反復唾液嚥下テスト:RSST は被検者の喉頭隆起および舌骨に第2指と第3指の指腹を軽くあて、随意的に空嚥下運動を繰り返させるもので、3回/30秒未満を異常とします。 改定水飲みテスト MWST 改訂水飲みテスト:MWST は冷水3mLを口腔前庭に注いで嚥下を命じ、可能なら追加して2回嚥下をさせます。 最大3回実施し、最も悪い嚥下活動を評価し、3点(嚥下あり、呼吸良好、むせるand/or湿性榎声)以下を異常とします。 いずれもベッドサイドにおいて短時間で行え、比較的安全性が高いです。 また、摂食の可否を判定するために、唾液や液体の嚥下評価のみでは不十分であるため、2001年には段階的フ一ドテスト(food test:FT)が考案され、少量の、難易度の異なる食材を直接嚥下させ、その時点における至適食材を判定する方法もよく用いられています。 最大3回実施し、最も悪い嚥下活動を評価し、3点(嚥下あり、呼吸変化はないが、むせあるいは湿性嗅声や口腔内残留を伴う)以下を異常とすることはMWSTと同様です。 MWSTとFTの判定のための観察項目は、嚥下の有無、呼吸変化の有無、むせの有無、湿性榎声の有無、追加嚥下の可否となっています。 注意点としては、FTでは約2割、MWSTでは4割以上で不顕性誤嚥を見落とす可能性があるため、これらの検査で異常がなかったからといって、摂食・嚥下に問題がないとは言い切れないことに注意が必要となります。

摂食・嚥下障害患者における摂食状況レベル(Lv.)

摂食・嚥下障害患者における摂食状況レベル(Lv.) 摂食・嚥下障害を示唆する何らかの問題あり 経口摂取なし Lv.1 :傾向訓練を行っていない Lv.2 :食物を用いない嚥下訓練を行っている Lv.3 :ごく少量の食物を用いた嚥下訓練を行っている 経口摂取と代替栄養 Lv.4 :1食分未満の嚥下食を経口摂取、代替栄養が主体 Lv.5 :1〜2食の嚥下食を経口摂取、代替栄養も行う Lv.6 :3食嚥下食を経口摂取、不足分の代替栄養を行う 経口摂取のみ Lv.7 :3食の嚥下食を経口摂取、代替栄養を行っていない Lv.8 :特別に食べにくいものを除いて、3食を経口摂取 Lv.9 :食物の制限はなく、3食経口摂取 Lv.10 :摂食・嚥下障害に関する問題なし(正常)

30ml水飲みテスト

30ml水飲みテスト 手技 常温の水30mlを注いだ薬杯を、座位のじょうたいにある患者の健手に渡し、”この水をいつものように飲んでください”という。 水を飲み終えるまでの時間を計測、プロフィール、エピソードを観察し、評価する。 プロフィール 1.1回でむせることなく飲むことができる 2.2回以上に分けるが、むせることなく飲むことができる 3.1回で飲むことができるが、むせることがある。 4.2回以上に分けて飲むにもかかわらず、むせることがある 5.むせることがしばしばで、全量飲むことが困難である

誤嚥の病態分類

誤嚥の病態分類 食塊が気道の入口を通過する咽頭期を基準にして、誤嚥が起こる時期を咽頭期前、咽頭期、咽頭期後に分けて考えます。 咽頭期前の誤嚥 捕食・咀嚼期、および口腔期で食塊を口腔に保持できないために、食塊を咽頭に送り込む動作をしないまま食塊が咽頭に流入し(咽頭流入)そのまま喉頭(喉頭流入)から気管に誤嚥する型をいいます。 咽頭流入が起こった時に咽頭期反射が惹起されない、あるいは惹起されても食塊の流入の方が早い場合に、気道に食塊が侵入することになります。 咽頭期の誤嚥 随意的に食塊を咽頭に送り込んでも、咽頭期の反射が弱い、惹起されない、あるいは惹起されても食塊の流入の方が早い場合や喉頭閉鎖が不完全な場合に誤嚥する型をいいます。 咽頭期後の誤嚥 咽頭期が終了した後に、喉頭蓋谷や梨状窩などに残留した食塊(咽頭残留)が気管に流入する型をいいます。 混合型誤嚥 上記3つの型の誤嚥が混在する場合をいいます。多くの場合、混合型誤嚥を呈しますが、どの誤嚥の型がおもな障害になっているのかを診断することが大切です。 嚥下運動不全型誤嚥 咽頭期の反射がほとんど起こらず、重力と弱い舌運動によって食塊が少しずつ咽頭に流入しそのまま気道に侵入して誤嚥する型をいいます。多くの場合、喉頭機能を保存した治療は無効です。 誤嚥の型を診断するには、嚥下内視鏡検査と嚥下造影検査を行い評価します。

嚥下圧検査

嚥下圧検査 嚥下時に各部位に生じる圧を測定する検査です。 経鼻的に圧プローベを挿入し、中咽頭、下咽頭、食道入口部、食 道内といった部位の嚥下時の圧を直接測定します。 プローベは径3~5mm程度で、数個所の圧センサーを有するものを使用します。 測定方法としてはプローベを一定速度にて引き抜きながら圧変化をグラフ化する方法(引き抜き法)や、プローベを固定した状態で測定を行い、その後0.5~1.0cmずつ引き抜き、固定した位置で繰り返し測定する方法(station pull-through法)が知られています。 。 一般には下咽頭部にて100~120mmHg程度とされています。また、最近では多チャンネルを有したマノメトリーを用いることにより、さらに詳細に嚥下圧を測定する方法が報告されてきています。

食道期 嚥下

食道期 嚥下 食塊が食道入口部を通過してから胃に送られるまでの期間を食道期と言います。 ここでは、嚥下反射が起こることで輪状咽頭筋が弛緩し、食塊が食道入口部を通過します。 食道入口部を通過した食塊は、食道の蠕動運動によって胃へ送られます。 胃の噴門部を食塊が通過する直前に食道下部括約筋が弛緩し、食塊が胃の中に入ると、逆流を防ぐために再度、収縮します。 蠕動運動は食塊が、食道壁の感覚神経(迷走神経)を刺激することで、反射的に誘発され、運動神経(迷走神経)を介し行われます。

咽頭期 嚥下

咽頭期 嚥下 喉頭蓋谷で形成された食塊が下方へと移動を始めた時点から、食道入口部に到達するまでの咽頭腔を通過する時期を指します。 この時期は、意識的に開始したり中止したりすることができない反射です。 ここでは、下顎と舌骨とを連結する舌骨上筋群と、舌骨と喉頭とを連結する甲状舌骨筋がほぼ同時に収縮することで、舌骨挙上 と喉頭挙上が起こります。 そして、喉頭が挙上すると、その上端にある喉頭蓋は尖端が下垂します。 喉頭蓋の動きに合わせるかのように、咽頭を包んでいる上・中・下咽頭筋の不随意収縮に伴い、食塊が食道入口部へ送り込まれます。 この時期は幾つかの誤嚥防止機構が働きます。 喉頭蓋の尖端が下垂(喉頭蓋の反転)することは、喉頭口を塞ぐことで誤嚥を防ぎます。 披裂は挙上することで喉頭蓋に密着し誤嚥を防ぎます。 声帯と前庭ヒダは、内転運動を行うことで声門を閉じ誤嚥を防ぎます。 咳反射も誤嚥を防ぐ重要な機能です。 嚥下反射では、主に迷走神経の枝である上喉頭神経からの求心性の刺激が、延髄の孤束核に送られ、さらに外側網様体内側部に存在するとされる嚥下中枢へ伝えられます。 その後、刺激は嚥下中枢から三叉神経運動核、顔面神経核、疑核、迷走神経背側核、舌下神経核などの脳神経核を経て、顔面神経、三叉神経、舌咽神経、迷走神経、 舌下神経を介して舌骨上筋群、甲状舌骨筋、咽頭筋、喉頭の筋などに伝わります。

口腔期 嚥下

口腔期 嚥下 口腔内から咽頭腔へ加工処理(食塊形成)された食物が喉頭蓋谷へ送り込まれる非随意的な運動の時期です。 ここでは、閉口し、舌尖が硬口蓋に密着し、舌筋の後方への収縮に伴い、食物は喉頭蓋谷へ送り込まれます。 そして、同時に軟口蓋が挙上して鼻咽腔を閉鎖します。 この時期には、顔面神経(閉口)、三叉神経(軟口蓋挙上)、舌咽神経(軟口蓋挙上,舌根部の感覚)、迷走神経(軟口蓋挙上)、舌下神経(舌尖の硬口蓋への密着)が関与します。 時に高次脳機能障害(嚥下失行)でも障害されます。

口腔準備期 嚥下

口腔準備期 嚥下 食物を口の中に取り込むことから始まり、嚥下運動が始まる直前まで随意的な運動の時期のことをいいます。 ここでは、まず、開口、舌による食物の引き込み、閉口の動作(捕食)があります。 その後、食物を飲み込みやすくするための処理(咀嚼、舌によるこね回し、一時的 な口腔前庭への貯蓄)が行われます。 脳神経の顔面神経(捕食、味覚、 唾液分泌)、三叉神経(捕食、咀嚼、口腔内感覚)、舌咽神経(味覚、 唾液分泌)、舌下神経(捕食、咀嚼)が関与するだけでなく、律動的な運動を行う上で重要となるCentral pattern generatorや歯牙 が重要な働きをします。 また随意・半随意的に行われるため意識状態や認知機能が影響を与えます。

先行期 嚥下

先行期 嚥下 食物を口に運ぶまでの時期のことをいいます。 先行期では、食物の嗜好、その日の気分、栄養への関心、食事場面のムードが影響し、一回にどのくらいの量を口に運ぶかを無意識に計画します。 そして手指、上肢、スプーン・箸などの道具を用いて食物を口腔内へ運びます。 主に意識状態、認知機能、視覚、嗅覚などの脳機能、上肢機能が関与しています。

嚥下時の喉頭挙上に作用する筋と神経

嚥下時の喉頭挙上に作用する筋と神経 喉頭は嚥下時に約1椎体分挙上すると言われています。 甲状軟骨の上切痕に人差し指を置き、軽く下方に押しつけるようにして空嚥下を行わせると挙上の程度がよくわかります。 舌骨上筋の多くは下顎を固定した状態では、喉頭を挙上するように作用します。 したがって、オトガイ舌骨筋,顎二腹筋をはじめとする多くの舌骨上筋が嚥下時の喉頭挙上に関与しています。 特にオトガイ舌骨筋は強力で、舌骨体をオトガイに向けて前方に引き出しています。 その結果、喉頭は椎体に対して前方に移動し、二次的に食道入口部を開大する作用を持ちます。 また、舌骨下筋では、甲状舌骨筋は、喉頭全体を舌骨方向に垂直方向に挙上させ、喉頭前庭を閉鎖するのに重要な役割を果たしています。 この筋を支配する神経は頸神経ワナより分枝しますが、起始核は主に舌下神経核に存在しています。

嚥下障害と副神経

嚥下障害と副神経 副神経は純運動神経です。 胸鎖乳突筋と僧帽筋の上部を支配しています。 これらの筋は嚥下運動には直接関与はしませんが、他の下位脳神経とともに、この神経の麻痺があるか否かにより、障害の部位診断や原因診断において参考となります。