形態認知 (呼称のプロセス)





形態認知 (呼称のプロセス)

後頭葉の第1次視党野に到達した視覚情報は、この後、第2次視党野、第3次視覚野とさらに高次の中枢で、より複雑な視覚認知処理が行われます。
ここでは、絵に含まれるさまざま直線の角度や曲線の曲がり具合、さらには奥行き・色・場所・動きなどに関する情報の認知が行われます。
つまり、「形態認知」とは、その絵に対してゆがみのない正しい像を脳内に表象する処理のことをいいます。

形態認知の段階の障害

形態認知の段階の障害では、光を提えることは可能であるにもかかわらず、物体の形・位置・色・ 動きなどに関する情報を正しく認知することが困難になります。
このような障害を、統覚型視覚失認と呼びます。



エリクソンの心理社会的発達の8段階





エリクソンの心理社会的発達の8段階

乳児期前期(0〜1歳)

心理的危機 : 信頼 対 不信
有意義な対人関係 : 母親または、その代わりとなる人
好ましい結果 : 信頼と楽観性
発達課題 : 育児(母親との関係)を通して外界や自己への信頼を構築する。

乳児期後期(1〜3歳)

心理的危機 : 自律的 対 恥・疑惑
有意義な対人関係 : 両親
好ましい結果 : 自己統制と適切さの感じ
発達課題 : トイレ・トレーニングを中心とした「躾」による命令や禁止を内在化する。

幼児期(3〜6歳)

心理的危機 : 積極性 対 罪悪感
有意義な対人関係 : 基本的家庭
好ましい結果 : 目的と方向:自分の活動を開始する能力
発達課題 : 外界を探索し、創造することを獲得する。

児童期(6〜12歳)

心理的危機 : 勤勉性 対 劣等感
有意義な対人関係 : 学校
好ましい結果 : 知的・社会的・身体的技能の有能さ
発達課題 : 学業に努力し、社会的・対人的技能を身につけ、課題に取り組み、解決することで有能感を獲得する。

青年期(12〜19歳)

心理的危機 : 同一性 対 同一性の拡散
有意義な対人関係 : 仲間集団と外集団:リーダーシップモデル
好ましい結果 : 事故を独自な人間として統合したイメージを持つこと
発達課題 : さまざまな経験のなかから見つけ出してきた自己を統合する。

成人期初期(20〜30歳)

心理的危機 : 親身性 対 孤立
有意義な対人関係 : 親友:性、競争、共同
好ましい結果 : 親密で永続する関係を形成し、生涯を託すものを決める
発達課題 : 青年期に形成した自己の同一性と他者の同一性を自分を見失うことなく融合する。

壮年期(30〜65歳)

心理的危機 : 生殖性 対 沈滞
有意義な対人関係 : 労働を分けもつことと、家事を分けもつこと
好ましい結果 : 家族、社会、未来への世代への関心
発達課題 : 生産物、芸術、概念など次世代へ引き継 ぐものを責任をもって育て発展させる。

老年期(65歳〜)

心理的危機 : 統合性 対 絶望
有意義な対人関係 : ”人類”:”わが子”
好ましい結果 : 充足と自分の生への満足感
発達課題 : 次世代を育て信頼 し,自 己の生涯を統合する。



非言語的記号の入力(呼称のプロセス)





非言語的記号の入力(呼称のプロセス)

呼称の第一段階で、被験者が、提示された絵を見る段階です。
被験者の網膜に入力された光の刺激(視覚情報)は、視神経を通り、外側膝状体を中継し、後頭葉の第1次視覚野を目指します。

非言語的記号の入力の段階の障害

非言語的記号の入力の段階の障害は、視力障害・視野障害や皮質性の視知覚障害などです。
ここは、内言語障害には含まれません。
これらの問題をかかえた患者に検査を行う際には、視力障害であるなら、度の合った眼鏡を掛てもらったり、場合によっては、提示する図版を拡大する 必要するといった配慮が必要です。
また、視野障害の場合には、図版を正面に提示するのではなく、障害されていない側の視野にずらして提示した方が良い場合もありますが、検査手順に定められた標準的な施行方法ではない場合は、その旨検査用紙の欄外に記載しておくようにします。



純粋失書の病巣と特徴





純粋失書の病巣と特徴

純粋失書を出現させる病巣として、①左中前頭回後部、②左上頭頂小葉、③左角回~後頭葉、④左側頭葉後下部、⑤左前頭葉内側面を報告しています。
障害部位別の特徴として、①左中前頭回後部では、仮名の錯書に順序置換が特徴的で、②左上頭頂小葉では、筆順異常が顕著で写字でも障害があり、③左角回~後頭葉では、仮名優位の書字障害の報告もあるが一般には両者の障害が混在し、失書の内容は色々であり、④左側頭葉後下部では、漢字に優位の失書で無反応が多いとされており、⑤左前頭葉内側面では、漢字・仮名に差異はなく、誤り内容は漢字・仮名とも錯書が多いと報告されています。



アルツハイマー型認知症末期の嚥下障害と対応





アルツハイマー型認知症末期の嚥下障害と対応

アルツハイマー型認知症は末期になると脳の萎縮も重度になり、全介助でほぼ寝たきり状態となります。
このころには偏食や過食といった症状はなくなり、身体機能の低下もあいまって食事中の立ち去りもみられなくなります。 反対に、身体機能の低下に伴い嚥下機能自体も障害されてくるため、食塊形成の障害、送り込み不良、誤嚥、窒息などがみられるようになります。
意識レベルの低下や傾眠傾向といった症状も出現し、日常の生活リズムも乱れることがあるため、それらが食事摂取量に影響することも多くなってくきます。
さらに進むとパーキンソン症状も出て経口摂取量が極端に少なくなり、重度の誤嚥を呈するようになります。
その場合には看取りも含めた終末期に対する対応が必要となります。



聴覚的理解(単語)のプロセス





聴覚的理解(単語)のプロセス

認知神経心理学では、➀〜➄のプロセスを経て、単語の聴覚的理解がされていると考えられています。
 当サイトに投稿した各プロセスの記事を以下にまとめていますので、ご参照ください。
➀音声入力

➁音響分析

➂音韻照合(入力音韻辞書)

➃語彙照合(入力語彙辞書)

➄意味照合(意味記憶)


意味照合 (意味記憶の活性化)





意味照合 (意味記憶の活性化)

語彙照合で、語彙であると判断されると次に、意味照合 (意味記憶の活性化)が行われます。
「意味」とは、その人が生まれてから現在に至るまでの認知体験の中で、「世界」を切り分けて整理してきた「項目」の総体のことをいいます。
この「項目」のことを「カテゴリー」と呼ぶこともあります。
「意味 (あるいは意味記憶)」 とは、 このような「項目(カテゴリー)」の総体をいいます。
例:「鳥、猫、ねずみ」は「動物」の小項目となり、「動物」は「生き物」の小項目といったように、自分を取り巻く環境世界を、たくさんの項目によって切り分けて、整理して理解しています。
また、「意味 (あるいは意味記憶)」は 、一人ひとりの体験によって、切り分け方、整理の仕方が異なっているといわれています。

意味照合 (意味記憶の活性化)の段階の障害

語彙として捉えることができても意味が分からないという症状が出現します。聞き取れているにもかかわらず意味が理解できない症状に対して、認知神経心理学では、語義聾 (word meaning deaflless)という用語が使われています。
例:/ame/という2モーラの音韻列が日本語の単語(語彙)であると判断することはできているにもかかわらず、「雨って聞いたこがある言葉だけど、なんだ?」のように意味にたどりつくことができない、または、「晴れ」と誤って違う意味にたどり着いてしまうというような症状が現れます。

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語彙照合(入力語彙辞書)





語彙照合(入力語彙辞書)

音韻照合(音韻入力辞書)で、音韻が認知されると、次に音韻の並び(音韻列)が脳の中に語彙(単語)として登録されているかどうか(入力語彙辞書) を、照らし合わせる処理が行われます。この段階を語彙照合と呼びます。
語彙照合で「語彙である」と判断されると(語彙照合の成立)、次はその語彙が指し示す意味 (語義)の解釈に進みますが、「語彙ではない」と判断されてしまう場合もあります。
語彙照合が上手くいかないと、脳がその音韻列は意味をもたない、つまり非語であると感じてしまうことがあります。

語彙照合の段階の障害

語彙照合の段階の障害では、例として、/neko/という2モーラの音韻列が、日本語の単語なのかどうか(語彙か語彙でないか)についての正しい判断が難しくになります。
また、「アメフリデスネ」と話しかけられたのに対して、「アメフ?」と、不適切な部分で区切って聞き返すような症状として現れることもあります。 そのような、聞き取った音韻を正しく語彙照合させることのできない障害を、語形聾(wordformdeahess)といいます。

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