先行期 嚥下





先行期 嚥下


食物を口に運ぶまでの時期のことをいいます。

先行期では、食物の嗜好、その日の気分、栄養への関心、食事場面のムードが影響し、一回にどのくらいの量を口に運ぶかを無意識に計画します。

そして手指、上肢、スプーン・箸などの道具を用いて食物を口腔内へ運びます。

主に意識状態、認知機能、視覚、嗅覚などの脳機能、上肢機能が関与しています。



嚥下時の喉頭挙上に作用する筋と神経





嚥下時の喉頭挙上に作用する筋と神経


喉頭は嚥下時に約1椎体分挙上すると言われています。

甲状軟骨の上切痕に人差し指を置き、軽く下方に押しつけるようにして空嚥下を行わせると挙上の程度がよくわかります。

舌骨上筋の多くは下顎を固定した状態では、喉頭を挙上するように作用します。

したがって、オトガイ舌骨筋,顎二腹筋をはじめとする多くの舌骨上筋が嚥下時の喉頭挙上に関与しています。

特にオトガイ舌骨筋は強力で、舌骨体をオトガイに向けて前方に引き出しています。

その結果、喉頭は椎体に対して前方に移動し、二次的に食道入口部を開大する作用を持ちます。

また、舌骨下筋では、甲状舌骨筋は、喉頭全体を舌骨方向に垂直方向に挙上させ、喉頭前庭を閉鎖するのに重要な役割を果たしています。

この筋を支配する神経は頸神経ワナより分枝しますが、起始核は主に舌下神経核に存在しています。


嚥下障害と副神経





嚥下障害と副神経


副神経は純運動神経です。

胸鎖乳突筋と僧帽筋の上部を支配しています。

これらの筋は嚥下運動には直接関与はしませんが、他の下位脳神経とともに、この神経の麻痺があるか否かにより、障害の部位診断や原因診断において参考となります。


嚥下障害と舌咽・迷走神経





嚥下障害と舌咽・迷走神経


舌咽神経及び迷走神経は、ひとまとめに評価されることが多く、神経診断学においてもいずれの神経障害かはほとんど区別されていません。

一側の喉頭運動麻痺は気息性嗄声を呈しますが、声帯の運動を観察すれば明らかです。
「あー」発声時の軟口蓋の挙上の具合で軟口蓋麻痺の有無を判断し、一側性か両側性かを判断します。

一側性の咽頭筋麻痺では、発声時に咽頭後壁が健側に移動するカーテン徴候が見られます。

また一側梨状陥凹の唾液の貯留は、同側の咽頭筋麻痺を示唆する所見ですが、嚥下のX線透視により咽頭壁の収縮の様子を観察する必要があります。



嚥下障害と舌下神経麻痺





嚥下障害と舌下神経麻痺


舌背に食塊をとりまとめたり咽頭腔に送り込んだりする運動は、舌下神経により制御されています。

舌の萎縮、線維束攣縮、挺舌時の舌の変位などは舌下神経麻痺の徴候です。

また、舌骨下筋群を支配しており、一側の麻痺が生じた場合は、喉頭が嚥下時にななめに挙上することとなりますが、臨床的にはあまり意味がありません。


嚥下障害と三叉神経麻痺





嚥下障害と三叉神経麻痺


三叉神経は口腔内の知覚および顎運動に関与しています。
一側の単独麻痺では嚥下障害は顕著に現れないので、注意が必要です。
また、三叉神経運動枝は顎運動を司ります。舌骨上筋郡である、顎二腹筋前腹と顎舌骨筋も三叉神経の支配です。
嚥下時には、舌骨の挙上に関与していますが、単独麻痺では症状としてはとらえにくいと言われています。



分割嚥下と反復嚥下





分割嚥下と反復嚥下


健常者では、一回で嚥下可能な10ml程度の食塊を、必ず数回に分けて嚥下する嚥下障害患者がしばしばいます。

このような嚥下を分割嚥下(piecemeal swallowing)と言います。

病的意義は確定していません。

多くの嚥下障害の患者では一回の嚥下でクリアーできる嚥下量を学習しており、舌根部で咽頭への送り込み量を調節しているために、このような現象がみられるものと考えられています。

類似した現象で、嚥下物が一回でクリアーされずに咽頭腔に遺残したために引き続き咽頭期嚥下が惹起され嚥下を繰り返す反復嚥下(repetitive swallowing)も咽頭クリアランスの低下を示す所見です。



不顕性誤嚥を検出する検査





不顕性誤嚥を検出する検査


2 step法

仰臥位にて経鼻的に細管を挿入し、最初に0.4ml、次に2.0mlの蒸留水を注入し、注入後3秒以内の嚥下反射の有無について観察し、そこから不顕性誤嚥に伴う嚥下性肺炎について推測する方法です。

ESSET

仰臥位にて着色水を0.1ml/sec程度の速度にて注入し、内視鏡にて嚥下反射惹起について観察するものであり、その時の総注入量を測定する方法です。
総注入量が1cc以上になると不顕性誤嚥に伴う嚥下性肺炎を引き起こしやすいとされています。

咳テスト

クエン酸や酒石酸を用いて、それらを吸入し、咳の頻度を見る検査です。
咳反射の減弱は肺炎の頻度と関連があるとされています。
不顕性誤嚥の評価に関しては正確に評価することは困難ですが、肺炎の既往などの病歴や、様々な嚥下機能評価を用いてその存在を推定することとなります。

https://www.jsnt.gr.jp/guideline/img/enge.pdfより参照


口腔ケアの際の開口法と開口保持方法





口腔ケアの際の開口法と開口保持方法


口腔ケアの際に開口していただけない患者様、利用者様がいます。

口腔ケアを行わせて頂く場合、開口して頂けず、苦労することがしばしばあります。

そのような場合、まずは、歯牙欠損部がないか確認し、口腔ケア用具が挿入できる場合は、そこから汚れを除去するようにします。難しい場合は下記の手技を用います。

開口手技

・下顎押し下げ法

左右の下顎口腔前庭に指を入れ、ゆっくりと開口方向に力を入れ ます。過剰な力では痛みが出るので注意しましょう。
http://www.peg.or.jp/lecture/rehabilitation/image/03_fig03.jpgより

・K-point手技

おもに嚥下反射を誘発するために用いますが、開口を促すことができるため、開口困難な場合に利用することができます。効果がある場合は、軽く触れるだけで開口してくれます。.強く圧迫すると粘膜を傷つける原因となるため注意しましょう。

K-point刺激の方法こちら↓

動画はこちら↓

開口保持

・バイトブロック

バイトブロックは歯や粘膜を傷つけやすい道具です。ほかの手技ではどうしようもない場合に、最終手段として使用しましょう。
専門の開口器がない場合はガーゼやゴム管を用いて自作してもよいでしょう。ただし、自作の場合は、バイトブロックが外れて飲み込んでしまった等のようなことがないように、細心の注意を払って使用してください。
使用時は、かならず動揺のない歯でかませましょう。
バイトブロックの挿入・撤去は、かならず開口させてから行い、無理に引っ張ったりねじったりしないようにしましょう。