半固形化栄養の利点





半固形化栄養の利点


半固形化栄養の目的は、栄養剤の胃食道逆流を抑制し、誤嚥性肺炎を減らすことでした。第一の利点は胃食道逆流と誤嚥性肺炎の予防にあります。

その他にも、半固形化栄養には、そのほかにも以下のような利点があります。

①胃瘻の漏れを防ぐ

②栄養剤の腸内移動速度が遅いことと豊富な食物繊維により、便通が改善して下痢が治まる

③ボーラスの短時間注入のため、体位を長時間一定にする必要がなく、褥瘡の予防、改善に良い

④栄養剤を短時間で注入できるため、空いた時間をリハビリテーションやそのほかに有意義に使用できる

⑤液体栄養剤と比較して、下痢やダンピング症候群などの症状が改善しやすい

⑥食後の血糖上昇を緩慢にする


前頭側頭型認知症の精神症状と行動障害





前頭側頭型認知症の精神症状と行動障害


前頭側頭葉変性症の分類

前頭側頭葉変性症(frontotemporallobardegeneration:FTLD)は、①前頭側頭型認知症(FTD)、②進行性非流暢性失語(progressivenon-fluentaphasia:PNFA)、③意味性認知症(semanticdementia:SD)の3つのタイプに分類されています。

前頭側頭葉変性症(FTLD)と前頭側頭葉認知症(FTD)はしばしば同義語として使われる場合がありますが、FTDはFTLDの下位分類であることを理解しておく必要があります。

アルツハイマー型認知症(AD)が脳の後方領域が障害されるのに対して、FTDは、前頭葉に病変の主座を置く非アルツハイマー型認知症を呈する神経変性疾患です。

前頭側頭型認知症(FTD)の特徴

前頭側頭型認知症(FTD)の精神症状と行動障害に関しては、以下等の特徴があります。
1)病識の欠如
2)我が道を行く行動(周囲への気配りもない自己本位的な行動)
3)脱抑制(自らの欲求のおもむくままの行動)
4)社会的逸脱行動(窃盗、盗み食い等)
5)感情・情動変化(多幸、多弁、軽口、易怒性等)
6)自発性の低下
7)無関心(自己の整容や身だしなみ等に無頓着)
8)考え不精(深く考えずに即答するなど)
9)立ち去り行動(診察や検査中に何の断りもなく突然部屋を出て行く)
10)常同行動(デイルームの決まった椅子に座る、毎目同じ物を食べ続ける等)
11)時刻表的生活(毎日同じ時刻に食事をして、同じ時刻に散歩に行く等)
12)食行動異常(大食、必要以上に醤油などの調味料を使う等)
13)被影響性の充進(何かの文句につられて歌いだす、オウム返し等)
14)痛み刺激に対する過剰な反応(打鍵器の刺激を大げさに痛がる等)

※1),7),9),10),12>,13),14)については、ADとの鑑別に重要です。


筋萎縮性側索硬化症と前頭側頭型認知症の合併





筋萎縮性側索硬化症と前頭側頭型認知症の合併について


筋萎縮性側索硬化症(amyotrophiclateralsclerosis:ALS)と認知症との合併は近年広く認知されています。

筋萎縮性側索硬化患者は、症前頭側頭葉変性症(frontotemporallobardegeneration:FTLD)、とくに前頭側頭型認知症(frontotemporaldementia:FTD)との合併が典型像であると理解されています。

前頭側頭型認知症は人格行動障害で特徴づけられていますが、発動性低下は前頭葉穹窿部、脱抑制は前頭葉下面や側頭葉の障害との関連が指摘されています。

筋萎縮性側索硬化症と症前頭側頭葉変性症の合併では、書字障害が起こると言われています。前頭側頭型認知症の病型と同様、書字障害の特徴も主要変性部位を反映しているものと言われています。この関係の延長線上に進行性非流暢性失語や意味性認知症があるものと言われています。

また、筋萎縮性側索硬化症と症前頭側頭葉変性症の合併では、病識欠如があると言われています。

2008年に報告されたFTLD-modifiedCDRは、従来のCDRに人格行動障害や言語に関する項目が追加されたもので、FTLDの重症度評価や経過観察に有用であると報告されていて、SPECTにおける前頭側頭葉の取り込み低下と有意な相関があることが示されています。


疼痛のある脳卒中患者での評価・検討・指導項目





疼痛のある脳卒中患者での評価・検討・指導項目について


●画像所見


脳卒中の部位・肩関節レントゲン写真等

●身体所見


意識レベル・高次脳機能障害の有無
関節可動域
痙縮(modified Ashworth Scale)
麻痺の重症度(Brunnstrom stage, SIAS)


●感覚系評価


感覚障害の有無(感覚低下・脱失・異常知覚・部位)
痙痛(VAS)等
肩手症候群の有無
中枢性痺痛の有無


●ADL


FIM・BI.
痺痛が原因で困っていること

●治療


三関節亜脱臼(肩関節レントゲン写真)
リ八処方の内容 (スリング・三角巾検討)
投薬の検討・効果の有無
電気刺激の検討
その他の治療の検討


●病棟での評価項目


四肢のポジショニング
ADL評価
スリング・三角巾の有無
心理的側面


●リ八での評価項目


初期評価
スリング・三角巾の検討
関節可動域訓練
座位・立位・歩行訓練
痛みが生じにくい動作指導
装具・スプリント等検討
ADL訓練
物理療法



脳卒中後の疼痛(痛み)





脳卒中後の疼痛について

脳卒中後の痛みは14~43%に生じるといわれています。
中枢性脳卒中後疼痛(Central post-stroke
pain;CPSP)と肩手症候群(shoulder-hand syn-
drome)がよく知られていますが、変形性関節症筋骨格系の痛みや疼痛性のスパズム、深部静脈血栓症等が原因であることもあります。
以上の症状が単独でみられることもあります、複数重なっていることもあります。

中枢性脳卒中後疼痛

中枢性脳卒中後疼痛では、疼痛が増強する因子として、運動70%、冷却48%、温暖22%、接触44%、情動19%、その他15%と報告されており、疼痛が減弱する因子としては、運動19%、冷却7%、温暖30%、安静37%との報告があります。
以上のことから個々において様々な病態を取り、対応の仕方も個々で異なると推測されます。
このように、中枢性脳卒中後疼痛は複雑な病態を呈する側面があります。
中枢性脳卒中後疼痛は、視床痛とよばれることが多いです。
視床に病変がある脳卒中において生じることが多いためですが、実際は、視床だけでなく、感覚野への求心路における障害、spino-thalamo-cortical tractsでの障害で生じ、CPSPとよぶようになっています。
CPSPは脳卒中発症後しばらくたってから生じ、数週間~数カ月後にみられることが多いと言われています。
痛みの範囲としては、脳卒中による障害の領域が主体ですが、ときに、その痛みの分布には差が出るともいわれています。
自発痛はburning 47~59%、 aching 30~41%との報告があります。
感覚障害は異常感覚だけでなく、感覚低下、痛覚過敏、低感覚刺激でも誘発されるallodynia等がみられます。
肩手症候群はCRPS(complex regional pain syndrome)type Iのひとつとされています。

肩手症候群

肩手症候群は、脳卒中患者の12.5~23%に生じ、重度な片麻痺における肩の痛みとともに、手の疼痛や腫脹、血管運動障害、関節拘縮上肢機能の低下を引き起こします。

肩手症候群の分類

肩手症候群の病期は、3期に分類されています。
  • 第1期は、発症後0~3カ月間で、肩の疹痛に伴い、手の疼痛、腫脹が生じ、局所の血流増加のため皮膚は赤色となり、浮腫、発赤、熱感関節可動域の制限等がみられます。
  • 第2期は、発症後3~6カ月間で、疹痛は増悪し、冷感、関節拘縮、チアノーゼを認めます。
  • 第3期は、発症後6カ月以降の慢性期で、疹痛、皮膚萎縮、骨萎縮関節拘縮、筋萎縮を認めます。

早期に治療を開始する必要があり、病期が進むと改善は難しくなります。
肩関節周囲筋等の痙縮に伴う肩の疹痛、肩関節の可動域制限等により引き起こされる癒着性肩関節包炎、腱板損傷や断裂、インピンジメント症候群、肩関節亜脱臼等の運動器の問題によっても肩の痛みは生じます。



外傷性脳損傷による高次脳機能障害





外傷性脳損傷による高次脳機能障害

病巣は、両側性またはびまん性なことがしばしばで、運動麻痺は少なく、また、いわゆる「巣症状」は少ないと言われています。

一見普通にみえる外傷性脳損傷者への行政的支援を行うために、「障害」名としての「高次脳機能障害」が診断基準とともに提示されています。
この場合の高次脳機能障害は、記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害などの認知障害を主たる要因として、日常生活及び社会生活への適応に困難を示す障害のことを言います。

高次脳機能障害とただ単に診断するのではなく、神経心理学的評価の読みと行動評価を掘り下げて、医学的診断(ICD コードを含む)に結び付けることと障害内容を正確に見極めることとが大切と言われています。

外傷性脳損傷でよくみられる記憶障害は、アルツハイマー病のように少し前のことが真っ白に消えてしまう典型的な前向性健忘とは異なります。

外傷性脳損傷患者は、ニュース記事のような 3 つほどの文章をまとめて聞いて内容を把持できない「論理的記憶障害」を示すことが多いと言われています。

一方で、単語のペアを 8 組(ウエクスラー記憶検査 WMS-R3)ないしは 10 組(標準言語性対連合学習検査)といった覚える言語性対連合学習は比較的成績が良いと言われています。



外傷性脳損傷による高次脳機能障害





外傷性脳損傷による高次脳機能障害

病巣は、両側性またはびまん性なことがしばしばで、運動麻痺は少なく、また、いわゆる「巣症状」は少ないと言われています。

一見普通にみえる外傷性脳損傷者への行政的支援を行うために、「障害」名としての「高次脳機能障害」が診断基準とともに提示されています。
この場合の高次脳機能障害は、記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害などの認知障害を主たる要因として、日常生活及び社会生活への適応に困難を示す障害のことを言います。

高次脳機能障害とただ単に診断するのではなく、神経心理学的評価の読みと行動評価を掘り下げて、医学的診断(ICD コードを含む)に結び付けることと障害内容を正確に見極めることとが大切と言われています。

外傷性脳損傷でよくみられる記憶障害は、アルツハイマー病のように少し前のことが真っ白に消えてしまう典型的な前向性健忘とは異なります。

外傷性脳損傷患者は、ニュース記事のような 3 つほどの文章をまとめて聞いて内容を把持できない「論理的記憶障害」を示すことが多いと言われています。

一方で、単語のペアを 8 組(ウエクスラー記憶検査 WMS-R3)ないしは 10 組(標準言語性対連合学習検査)といった覚える言語性対連合学習は比較的成績が良いと言われています。