音韻選択(出力音韻辞書)





音韻選択(出力音韻辞書)

語彙を正しく選択すると、そこには、その単語に関するさまざまな情報(音韻の情報、文字の情報、統語に関する情報、イントネーションに関する情報など)を手に入れることができます。
呼称の場合は、発話が目標のため、語彙の引き出しから音韻に関する情報を取り出し、その指示通りに音韻の貯蔵庫から必要な音韻を正しく選択する処理が行われます。
この音韻の貯蔵庫のことを出力音韻辞書といいます。

音韻選択(出力音韻辞書)の段階の障害

音韻辞書に到達できない、または到達できたのに、音韻辞書をまったく開くことができない場合には、発話に至らないため、語彙の引き出しが開かない場合と、表面的には区別することができません。
音韻辞書がなかなか開かないという状況の場合には、『机』に対して、“ツ"とか、“ツキ、ツケ"などと、音韻を探しているかのような発話が観察されます。このような症状がある場合は、音韻選択の段階でのトラブルではないかと推論することができます。
音韻選択の間違いでは、“ツクオ"、“ツキエ"など、一部の音韻が人れ替わってしまいます。このような症状を音韻性錯語といいます。
また、“オタケ"のように、もともと何の単語を言おうとしていたのか全く予想のつかないような症状を新造語(あるいは語新作)と言います。このような場合も、音韻選択の段階の障害からも生じる可能性が考えられます。