NIHSS





NIHSSとは

NIHSSとは、脳卒中の重症度を評価するスケールです。
National institute of Health Storoke Scaleの略でNIHSSです。1989年ごろから臨床現場でよく用いられています。
脳梗塞の治療法の1つであるrt-PA静脈注射中は、1時間までは15分毎に、投与開始から7時間までは30分毎、24時間までは1時間毎にこのNIHSSを行うことが管理指針で定められています。

NIHSSの評価方法

NIHSSの評価方法は、1a~1cと(2)~(11)までの合計13の項目をチェックして点数を計算して行きます。
最高は42点で、点数が高いほど重症度が大きくなります。
  • 1aは、意識水準です。0点が完全覚醒で、1点が簡単な刺激で覚醒する、2点が繰り返して刺激したり強い刺激で覚醒する、3点が強い刺激に対しても完全に無反応、となっています。
  • 1bは、意識障害の評価です。今は何月ですか?あなたは今何歳ですか?といった質問に正確に答えられるかどうかをみます。 0点が両方正解、1点がどちらか片方のみ正解、2点が両方不正解となっています。
  • 1cは意識障害の評価で、開眼閉眼の指示や手を握る開くの指示に従えるかどうかを見ます。 同じく2つともできれば0点、どちらか片方だけできれば1点、両方ともできなければ2点です。
  • (2)は、注視がどのくらいできるかです。 0点が正常、1が部分的注視麻痺、2点が完全注視麻痺です。
  • (3)は、視野を評価します。 0点が視野の欠損なし、1点が部分的半盲、2点が完全半盲、3点が両側性半盲です。
  • (4)は、顔面の麻痺のチェックです。 0点が正常、1点が軽度の麻痺、2点が部分的麻痺、3点が完全麻痺の4段階で判定します。
  • (5)は、上肢の運動で、座位で90度、仰臥位(仰向けに寝る)で45度の挙上ができるかどうかを見ます。 0点の45度を10秒保持可能、1点が45度を保持できるが10秒以内に下垂してしまう場合、2点が45度の挙上や保持ができない場合、3点が重力に抗して動かない場合、4点が全く動かないと5段階で判定します。
  • (6)は、下肢の運動で、仰臥位で下肢を30度挙上させます。 0点の30度を5秒間保持可能、1点が30度を保持できるが5秒以内に下垂してしまう場合、2点が重力に抗して動きが見られる、3点が重力に抗して動かない、4点が全く動かない、となっています。
  • (7)は、運動失調・指鼻指試験です。 0点のなしから2点の2肢で評価します。
  • (8)は、感覚の評価でpin pickテストです。 0点が障害なし、1点が軽度から中等度障害、2点が重度から感覚脱失です。
  • (9)は、言語の評価です。 0点の正常から1点の軽度から中等度の失語、2点の高度の失語、3点の無言・全失語まであります。
  • (10)は、構音障害のチェックです。 0点が正常、1点が軽度から中等度の障害、2点が高度の障害です。
  • そして最後の項目(11)は、消去や無視の程度です。 0点がなし、1点が軽度から中等度、2点が高度です。
このようにして1つ1つ判定して行き、それぞれの点数を足していきます。 全部が最高得点だった場合は42点となります。

NIHSSでわかること

このNIHSSでわかることや用いられ方は、点数に応じて投薬治療や手術の適応の有無を判断することが可能です。 また、その後の神経回復やどれくらい自立した生活ができるかといった、予後の予測をつけるために用いられています。 この点数が高いほど退院後の自立した生活が難しくなるということで、退院後のおよその生活状況がわかります。 家族で介護ができるか、デイサービスや訪問看護が必要か、他施設への転院を考えるべきかといった看護計画やその後のリハビリなどの判断にも用いられます。
しかし、NIHSSではいくつかの欠点も指摘されています。
1つ目は、脳神経のチェック項目が少なく、循環系の障害は評価が不十分であること、2つ目は、言語機能の点数配分が高いことから失語症があると点数がアップして重症度が高くなることがあげられます。 そして3つ目に、意識障害があると点数が高くなること、4つ目は、軽微な麻痺がカウントされないことです。 さらに5つ目に、同じ点数でもADLの程度が全く違うことがあって、ADL障害を反映していないことです。
全般的な機能を評価することはできますが、この点数で治療効果の判定ができると言うものではないでしょう。
また、NIHSSは、いつ評価しても同じ結果が得られるという点や、誰が評価しても同じ結果が得られるという点は優れていますが、同じ人が複数回評価すると同じ結果になるかどうかの検者内信頼性は確認されていない、と言うデメリットも指摘されています。
NIHSSによる脳卒中の重症度評価のこれらの欠点を補うために、NIHSSだけではなく他の評価方法を併用することが多いです。 例えば、modified rankin scale(mRS)やstroke impairment assessment(SIAS)があります。
それぞれのスケールのメリットやデメリットを知ったうえで、上手く併用することが大切です。