メンデルソン手技





メンデルソン手技(Mendelsohn* maneuver


意義


舌骨喉頭挙上の運動範囲の拡大と、挙上持続時間の延長を目的とする。メンデルソン手技を用いた場合に残留と誤嚥が減少したと報告され、代償法として有用と考えられる。また、メンデルソン手技を用いて訓練した後に嚥下機能が改善し、持続効果もあるという報告があり、リハビリテーション機能訓練としても有用であると考えられる。

主な対象者


機能的原因(特に球麻痺)、器質的原因。舌骨喉頭挙上不全、咽頭収縮不全等により咽頭残留があり、誤嚥する危険性がある場合。

具体的な方法


舌骨喉頭挙上(hyolaryngeal elevation)と咽頭収縮(pharyngeal contraction)がピークに達した時点で嚥下を一時停止するように指示し(嚥下したとき、のどぼとけが最も高い位置に保つように指示する)、この状態を数秒間保った後、力を抜いて嚥下前の状態に戻すように指示する。はじめは訓練者が手を添えて喉頭挙上を介助するのもよい。
表面筋電図(surface electromyography)を用いたバイオフィードバックを利用することもできる。

注意点など


メンデルソン手技の欠点は、患者にやり方を指導するのが難しいというということである。のどぼとけがいちばん上に上がったときに、のどの筋肉に力を入れ、のどを絞めるようにして数秒間その状態を保つように指導する方法もある。メンデルソン手技を正しく行うと、咽頭期嚥下時間の延長によって嚥下性無呼吸時間(apneic phase of theswallow)が長くなるという面がある。無呼吸時間の延長は、呼吸器疾患の患者や、重度の嚥下と呼吸の協調不全患者には禁忌である。