尿失禁のタイプごとの排泄ケアや対応方法について解説!


高齢者に最も多く認められる排泄障害は、尿失禁です。
尿失禁は、患者に苦痛を与え、生活範囲を縮小し、生活の質を低下させるため、適切なケアが重要となります。

高齢者の尿失禁のタイプについて

高齢者の尿失禁には、尿路感染症、精神疾患などによる一過性尿失禁と、4タイプに分類される慢性尿失禁(機能性、腹圧性、切迫性、溢流性)があります。
一過性尿失禁は、原因を取り除くことで、改善が得られることが多いです。
慢性尿失禁は、タイプが重複することが多いため、苦痛を与えているタイプを把握し、泌尿器科医、かかりつけ医、看護師、介護者がチームとして対応することが重要となります。

排泄ケアの方法について

尿失禁を減少させるケア

機能性尿失禁

認知症患者における機能性尿失禁のケアでは、排尿自覚刺激行動療法が有効といわれています。
排尿自覚刺激行動療法は、介護者が患者の尿意や失禁の有無を定期的に確認(介入初期は2時間ごと)し、排尿の意思に応じてトイレに誘導します。
さらに問題なく排尿できた場合は賞賛するというもので、能力の再獲得を目的に行われます。
身体能力の低下に伴う機能性尿失禁に対しては、トイレに行きやすい場所での生活、ポータブル便器および尿器の使用、衣類の工夫(脱衣しやすい衣類など)を検討します。

腹圧性尿失禁

腹圧性尿失禁がある方には、骨盤底筋運動が有効といわれています。
肛門に軽く指を添え、肛門が収縮していることを確認できれば、骨盤底筋運動を正しく実施できている確認になります。

切迫性尿失禁

切迫性尿失禁の方へは、排尿日誌に、自立排泄と失禁を記録し、状況に合わせた排尿介助(一定の時間にトイレに誘導すること)を行います。
膀胱訓練(尿意を感じても気を紛らわせ、排尿間隔を延ばすこと)が有効なこともあります。

溢流性尿失禁

溢流性尿失禁は、前立腺肥大症や神経因性膀胱による尿排出障害が原因となります。
そのため、泌尿器科専門医へのコンサルタントが必要です。
溢流性尿失禁を疑う所見として、膀胱内尿貯留に伴う下腹部膨満が挙げられます。

尿失禁への適切な対応

環境の整備

患者の尿意、伝達能力を把握し、言葉による意思疎通が困難な場合は、ナースコールや鈴などを用いた伝達方法を試し、介護者による排尿ケアの潤滑化を目指します。

医療用具による排尿ケア

改善が認められない失禁に対しては、パッド、おむつなどの医療用具の使用や、間欠的導尿、尿道カテーテル、あるいは膀胱瘻による排尿管理が行われます。
パッド、おむつは、汚れたらすみやかに交換し、陰部清拭し、肌を乾かすことが勧められます。
間欠的導尿は、患者自身が導尿を行いますが、介護者も操作の理解は必要です。

排泄ケアの看護・介護のポイント

パッド、おむつの早期からの使用は、患者の意欲低下をきたす可能性があり、まずは尿失禁を減少させるケアを優先することが望ましいと言えます。

参考文献

・Flanagan L、et al:Systematic review of care intervention studies for the management of incontinence and promotion of continence in older people in care homes with urinary incontinence as the primary focus(1966-2010)。Geriatr Gerontol Int 12:600−611、2012
・Qaseem A、et al:Nonsurgical management of urinary incontinence in women:a clinical practice guideline from the American College of Physicians。Ann Intern Med 161:429−440、2014