クーイング、ガーグリング、喃語(バブリング)とは?乳児期の言葉を言語聴覚士が解説!

クーイングとガーグリングそしてバブリング


人間の新生児は「オギャーオギャー」という叫喚(きょうかん)だけでなく「クークー」といった音声のクーイング(cooing:ハトの鳴き声に似ていることに由来)や「ゴロゴロ」と喉を鳴らすような音声のガーグリング(gurgling:うがいのような音)を行う点で他の動物と大きく異なっている。
こうした叫喚(きょうかん)ではない柔らかい音声のクーイングやガーグリングは生後10~12週まで続き生後1か月ぐらいから単語ではない音でお話をしているように感じられる音声が出現してくる。
生後2か月を過ぎるあたりから顕著になるこの音声は「プ」「ブ」「ム」「トゥ」「ン」といった音を特徴的に含んでいて乳児は自分の口唇や歯・舌・喉をある程度自分でコントロールして発生する。
これが喃語(バブリング:babblingいわゆるバブバブ)と呼ばれる乳児特有の音声である。
生後4か月の頃になると喃語は子音と母音の分化も明らかになってくる。しかし、この段階の喃語には周囲で話されている音声言語(乳児自身が後に習得することになる言葉)には含まれないありとあらゆる音素を含んでいるともいわれている。
例えば、私たちが話している日本語では/r/と/l/の区別がないのだが、このころの乳児の喃語にはそのどちらも存在する。
周囲の大人は喃語を話さないため、このことは喃語が乳児が自分の耳で聴きとった音韻を再生しているのではないことを意味している。

音声遊びとしての哺語

この時期の喃語は乳児の発声器官の運動とそれに伴う発声器官自体の自己感覚、そして聴覚その他による自身の発声を知覚することが快をもたらすことによって循環的に強化されていくと考えられている。
その意味で、これは音声遊び(感覚遊び)の一種であってそれ自体にコミュニケーションの機能が存在しているとは思えない。
生来的に高度の難聴のためほとんど聴覚刺激を受けることのできない乳児においてもこの種の喃語が当初産出され次第に減少していくことからも、このことは証明されている。

喃語を通した養育者との関わり

生後6~7か月の頃になると、鼻音や舌音など多様な音が発声されるようになり、 養育者に向かって発声するなど単に乳児自身のなかで閉じた形のものとは異なってきくる。
さらに子音と母音が明瞭な聴きとりやすい基準喃語や「ダダダダダ」ゃ「ブブブブブ」のような子音+母音の同音が連続する反復喃語が多く聴かれるようになる。 8~12か月ぐらいのとき乳児は明らかにそこに何らかのコミュニケーションの意図をもって喃語を発声しようとする。
このころには、喃語に含まれる音韻は明らかに周囲で話されている母国語に含まれているものが中心になってくる。
少なくとも言葉とはいえないまでもイントネーションやリズムが母国語そっくりになってきて、まるで乳児がおしゃべりしているように発声するこの音声をジャルゴンという。

言葉の芽としての哺語

ここまで来ると喃語は明らかに「言葉の芽」であることがわかってくる。
ヒトがその発達の過程で初めて発声する言葉(初語)が多くの場合「ママ」や「マンマ」「ノくノく」「ブーブー」といった反復哺語の延長にあることも喃語がもっている意味を感じさせられる。
また、もともとコミュニケーションの意図はまったく存在しておらず単なる発声遊びであったものが、養育者との相互交渉を通じてコミュニケーションの機能をもつようになる。
その意味で喃語が本当の意味で言葉になっていく過程には養育者との音声でのやりとりが重要になってくる。この多くの場合親である養育者と児の関わりのなかで養育者はまさに音声のキャッチボールをしながら確実に言葉の芽を育てているのである。