意味ルート(復唱のルート)

意味ルート(復唱のルート)

通常の単語の復唱における中心的なルートです。
意味ルートは以下の通りです。
構音運動実行(音声出力)
復唱の意味ルートは、言われた単語の意味を理解した上で、あらためて同じ単語を自ら発話するというルートです。
つまり、単語の復唱とは、単なる模倣ではなく、いったん理解したことばを自ら改めて表出するという「再生」の要素を含んだ処理になります。
意味照合の段階に障害がある場合、聴きとった語が、単語であると感じながらも、その意味を解せないまま復唱をせざるを得なくなります。
意味ルートの場合には、語彙照合の障害の場合と異なり、聞き取った単語に対して、単語であるという既知感は持っています 。
健常者における単語の復唱では、音響ルート非語彙的音韻ルート非意味的語彙ルート、意味ルートのすべてが重畳して機能していると考えられます。そのため、復唱は、これらいずれの処理過程が障害されても復唱能力は低下してしまいます。
復唱は、聴覚的理解や呼称など、口頭言語に必要な、ほぼすべての言語情報処理を含むため、重要な処理過程になります。
注意するべき点は「復唱が障害される」=「把持力の低下」ではないことです。
把持という用語は、使うとすれば入力音韻辞書から出力音韻辞書 (および音韻出カバッファー)に 直接、音韻情報が転送される場合です。そのため、把持は語彙処理および意味処理の段階がバイパスされる場合に限定されます。

非意味的語彙ルート(復唱のルート)

非意味的語彙ルート(復唱のルート)

非意味的語彙ルート(復唱のルート)は、語彙処理までが関与し、意味の関与しない復唱ルートです。
非意味的語彙ルート(復唱のルート)は以下の通りです。
語彙照合 (入力語彙辞書) ※意味処理へ向かわず語彙選択へ向かいます。
構音運動実行 (音声表出)
単語であるとわかっているけど「意味がよくわからない」という状態で復唱が行われる場合には、この非意味的語彙ルートを通ることになります。
語彙照合 (入力語彙辞書)の段階に障害があると、聞き取った単語に対して、知っているという「既知感」が持てないまま復唱をせざるを得ない場合があります。
単語の復唱であるにもかかわらず、非語の復唱の様になります。

非語彙的音韻ルート(復唱のルート)

非語彙的音韻ルート(復唱のルート)

非語彙的音韻ルート(復唱のルート)は、音響として聞き取った言葉を、音韻として正しく捉えた後、そのまま同じ音韻を返す処理のルートをいいます。
非語彙的音韻ルート(復唱のルート)ルートは以下の通りです。
➅構音運動実行 (音声表出)
①音声入力→②音響分析→③音韻照合 (入力音韻辞書)までの処理は、単語の聴覚的理解と同じです。
しかし、文脈がない音韻1モーラや非語 (無意味語)は語彙ではないため、次の語彙照合では、「語彙ではない」という判定を受け、その先に進むことはできません。
そのため、音韻照合(入力音韻辞書)の後、直接音韻選択 (出力音韻辞書)の処理に進むことになります。
つまり文脈を伴わない1モーラや非語 (無意味語)では、語彙情報や意味情報は関与しません。
➃音韻選択 (出力音韻辞書)では、入力音韻辞書で照合 (同定)した音韻と、同じ音韻を出力音韻辞書で、再度選択する処理過程が行われます。 文脈を伴わない1モーラや非語 (無意味語)で音韻性錯語が起こる場合この段階での障害が疑われます。
⑤音韻配列 (音韻集力バッファー)は、選択した音韻を配列する過程です。非語 (無意味語)の場合で、音韻の並び替えの誤りが見られる場合は、この段階の障害が疑われます。(1モーラだけの処理の場合にはあまり考える必要はありません)
➅構音運動実行 (音声表出)の段階では、運動の設計図の通りに、発声発語器官の多数の神経・筋系が協調的に活動して日から音声が発せられます。
1モーラだけでなく、非語 (無意味語)の復唱も同様のルートで処理されますが、1モーラだけを復唱する場合に比べ、聴いてから復唱し終わるまでの短時間、複数の音韻を把持しなければならなくなり、その分だけ情報処理としての負荷量が増加します。
短時間音韻を把持する処理のことを音韻リハーサル と呼ばれています。
聞き取った音韻が消えてなくならないように、配列がばらばらにならないように、頭の中で何度も繰 り返して唱え続け、活性を保つ作業のことをいいます。
音韻リハーサルが途絶えてしまうと、その音韻は数秒から十数秒の間に脳の中から消えてしまうと言われています。この音韻リハーサルのシステムが障害されると、非語の復唱が非常に困難になります。

音響ルート(復唱のプロセス)

音響ルート(復唱のプロセス)

音響ルート(復唱のプロセス)は下記のようなルートです。
④構音運動実行 (音声表出)
音響ルートは耳に入ってきた言葉を、単に「音Jと して模倣する過程です。
これは厳密な意味では「復唱Jと は言えないかもしれませんが、幼児が言葉を獲得するプロセスにおいて欠かすことのできない能力です。
幼児期においては、周囲の人の日から発せられた言葉を、最初は単に「音」 として聞き取 り、 意味も解からず真似をして自分でも言ってみるという行為を経て、最終的にことばの獲得に至ります。
ある意味、これは復唱の根幹とも言える基礎的な情報処理ではないかと考えられ、復唱を支える 1つのルートとして捉えられています。
言語獲得前あるいは獲得途上にある幼児や、オウムや九官鳥が行う言葉の模倣がこれに該当します。

呼称のプロセス

呼称のプロセス

認知神経心理学では、➀〜➇のプロセスを経て、呼称がされていると考えられています。 当サイトに投稿した各プロセスの記事を以下にまとめていますので、ご参照ください。
➇構音運動実行 (音声表出)

運動障害性構音障害と発語失行の鑑別ポイント

運動障害性構音障害と発語失行の鑑別ポイント

運動障害性構音障害(ディサースリア)と、その1つ前の処理段階であるアナルトリー(失構音、発語失行)との症状の区別は一体どのようにして行えばよいのでしようか。
アナルトリー(失構音、発語失行)では、ある場面では正しく構音できたのに他の場面では誤る、1つ の音が必ずしもいつも同じように誤るとは限らない、という2つの側面での浮動性があります。
また、アナルトリー(失構音、発語失行)には、高い確率で口腔顔面失行を合併しているという点も見分 けるポイントになります。
このような違いを鑑別ポイントとして症状を観察することが、臨床上有益です。

口腔顔面失行

頬を膨らます、舌を出す、咳をするなどの行為が、反射的・自動的場面では出来るにもかかわらず、意図的状況下でには出来なくなる障害をいいます。

PTOTST(理学療法・作業療法士・言語聴覚士)の転職の成功の秘訣教えます。

リハビリ職のための転職成功手順!

リハビリ職の転職には様々な理由があると思います。
理学療法士・作業療法士・言語聴覚士になりたいと心をワクワクさせて学校に入り、晴れてリハビリ職につき、どんな職場だろうと、少しの不安と期待に心躍らせて入職したのに、ここの職場なんだか思っていたのと違う場合。
気に入ってたけれど、結婚したらこの職場では、家庭との両立が難しい場合。
もっと自分を磨きたい場合。など、転職のきっかけは、様々です。
でも、どんな人でも、次なる職場は今よりもっと理想にあったところと考えるのは共通点です。
そうです。みなさん、転職成功して良いのです。
今よりもっと、自分を輝かせられる場所を求めていいのです。
でも、そんな時、どうすればより良い職場にあり付けるのかが分からないと嘆いている理学療法士さん、作業療法士さん、言語聴覚士さんは多いと思います。
そこで今回は、リハビリ職の転職成功の秘訣をお伝えできればと思います。

➀リハビリ転職サイトへの登録

転職したいけれど、仕事が忙しくてなかなかハローワークなどに行けない理学療法士・作業療法士・言語聴覚士は多いと思います。 ですが、リハビリ転職サイトに登録していると、希望条件を伝えると、自分が仕事をしている間に担当者が代わって、転職先を選定・紹介してくれます。
給与面、時間帯面、勤務したい分野や診療科、交通面等を調査し、自分に合った場所を見定めてくれることが最大のメリットです。
また、探してくれるのは一か所ではなく、複数用意してくれるので、そこから自分が選べる利点があります。
それに、人間関係や業務の煩雑さなどが、気になる点ですが、面接等では聞きにくいところも、匿名で調査してくれたり、担当者に質問してくれたり、自分の所在を明らかにせずに調べて貰えるところも魅力的です。

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➁ハローワークに登録

やはり、失業保険などの給付、再就職給付金等の手当ても欲しいです。 安心して条件を確認したり、条件の比較ができるハローワークの登録はお勧めです。 時に、地元ならではの情報をハローワークの担当者から聞くことができる場合もあります。
転職サイトで確認した条件と、ハローワーク求人での情報を比較して、より良い条件での就職活動を行い、自分で決定すると言うことも一つの手であります。 転職をする際の、自分への言い訳を無くし、納得して転職先を決定するためには、情報量は多い方がいいはずです。

➂そして、最後に自分の目で確かめる。

たくさんの情報が錯綜し、頭が混乱状態になる事も そんな時に試して貰いたいこと。
それは、転職先への訪問です。
どのようにするかと言うと、職場見学をお願いすることもできますが、それをして後に引けなくなったらいけないと感じて、躊躇してしまうこともあるでしょう。
そんな時には、普段着で、ふら~っと、見舞客を装って、内偵調査を自分で行うと良いでしょう(他の人には内緒にしておいてください)
基本としては、不審者に見られないように、怪しい行動はしないようにしましょう。
まずは、現場を見て、使用物品などがしっかりと整理整頓されているかを確認します。
リハビリの現場だけでなく病棟全体も見ると参考になると思います。
物が乱れていると言うことは、忙しくて整理をする余裕がないと言うことが考えられます。
そんな病院で勤務したいかと考えると、ミスや事故を予測出来たり、人間関係や勤務に対してゆとりがないかもしれないと考えられ、止めておこうかと考えることができます。
次に、リハビリ職や看護師など医療スタッフの行動や言動を見ましょう。 荒々しい言動や動き、キビキビではなく殺伐とした動きが見られれば、業務整理が出来ていなかったり、一人に対する業務量が多くて、ゆとりがないことを予測できます。 そんな環境に身を寄せれば、どうでしょう。 自分の輝かしい看護師ライフは想像しにくくなります。
その他に、トイレに行ってみても良いでしょう。 きれいかどうか、座りたいと思う便座かどうか。 衛生面を気にしたいのが医療職。大切な観察点です。

最後に

上記の三つをおさえて、自分の働きたい、ワクワクするような職場を見つけましょう。
注意点としては、リハビリ転職サイトの担当者の言葉を鵜呑みにしないことです。
何故なら、担当者の中には、早く内定させて自分のノルマを達成したいと考えている人もいます。
そんな人に当たれば、良い事ばかりを言って、早く決めさせようとする事もあります。
だから、自分の目で最後は確認して決定することが大切なんです。
自分のことは自分が責任を持たなければならない年齢になりました。
いいわけが出来ないから、後悔しない転職活動が、より自分の未来を輝かせる方法と言ってもよいでしょう。
仕事と言うのは、一日の1/3以上を過ごす場所でもあります。
だからこそ、妥協したくない、楽しく、行きたいと思える場所でなければなりません。
リハビリ求人サイト、ハローワーク等の人の手を借りて行う求職活動で選定し、自分の足で、自分の目でしっかりと確かめて、「ここだ!!」と決められる職場で転職の成功を叶えましょう。

勝ち取りましょう!!働きたいと思える職場を。

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構音運動プログラム

構音運動プログラム

構音運動プログラムは、脳の中で正しく選択され、正しい順序に配列された音韻を、音声として外に出力させるために必要な、発声・発話器官の正しい運動の記憶(構音プログラム)を活性化させる(想起する)段階です。 単語を構成する音韻列を、日本語らしくスムーズに音声化していく上で必要な、一連の運動(パワー・速度・位置・タイミングなど)に関する設計図のことを言います。

構音運動プログラムの段階の障害

構音運動プログラムの段階の障害を、アナルトリー(発語失行、失構音)と呼ばれています。
アナルトリーがあると、構音すべき音韻は頭の中に正しく想起されているのに、発声発語器官をどのように動かせばよいのかわからず、結果として、発せられた音は、聞き手にとって不明瞭な、書き取ることが困難な独特な歪みを伴ったものとなります。
その他には、音が置換したり引き伸ばされたり脱落したように聞こえる場合や、発話速度やリズムの異常が観察されることもあります。
構音運動プログラムの段階での障害では、自分の発話が目的の音ではないことはすぐにわかるので、何度も修正しようとします。
言い直すことで修正される場合もありますが、もう1回発話すると再び誤った音に変わってしまい、しかも最初とは異なる音になっているという場合もあります。

構音運動実行 (音声表出)

いよいよ最後の段階です。構音運動プログラムが作動 し、発声発語器官の諸筋群が協調的に動 くことによって、被験者の口から音声が発せられます。 この段階の障害は、運動障害性構音障害 (dysarthriea)になります。

音韻配列 (音韻出力バッファー)

音韻配列 (音韻出力バッファー)

語彙の引き出し(出力語彙辞書)で手に入れた「レシピ」にしたがって、音韻を選んだら、次にそれを、順番に並べるという作業が待っています。これを音韻配列と呼びます。 従来、失語症の教科書では音韻を選ぶ処理と並べる処理を明確に区別せず、音韻の選択/配列という用語を用いられてきました。

音韻配列 (音韻出力バッファー)の段階の障害

単語を構成する音韻はすべて揃っているのですが、その順序が入れ替わってしまう症状、すなわち、音韻性錯語の中でも「転置」といわれる症状が生じます。 具体的には /tokei/に 対して /keito/、 /toike/などです。この症状は、伝導失語の中核的症状となります。

音韻選択(出力音韻辞書)

音韻選択(出力音韻辞書)

語彙を正しく選択すると、そこには、その単語に関するさまざまな情報(音韻の情報、文字の情報、統語に関する情報、イントネーションに関する情報など)を手に入れることができます。
呼称の場合は、発話が目標のため、語彙の引き出しから音韻に関する情報を取り出し、その指示通りに音韻の貯蔵庫から必要な音韻を正しく選択する処理が行われます。
この音韻の貯蔵庫のことを出力音韻辞書といいます。

音韻選択(出力音韻辞書)の段階の障害

音韻辞書に到達できない、または到達できたのに、音韻辞書をまったく開くことができない場合には、発話に至らないため、語彙の引き出しが開かない場合と、表面的には区別することができません。
音韻辞書がなかなか開かないという状況の場合には、『机』に対して、“ツ"とか、“ツキ、ツケ"などと、音韻を探しているかのような発話が観察されます。このような症状がある場合は、音韻選択の段階でのトラブルではないかと推論することができます。
音韻選択の間違いでは、“ツクオ"、“ツキエ"など、一部の音韻が人れ替わってしまいます。このような症状を音韻性錯語といいます。
また、“オタケ"のように、もともと何の単語を言おうとしていたのか全く予想のつかないような症状を新造語(あるいは語新作)と言います。このような場合も、音韻選択の段階の障害からも生じる可能性が考えられます。

語彙選択(出力語彙辞書)

語彙選択(出力語彙辞書)

私達の脳の中には様々な意味を指し示すための言語記号である「語彙」が多数蓄えられていると考えられており、「語彙辞書」と呼ばれています。
語彙選択の段階では、脳の中にある語彙辞書から、その意味を指し示すにふさわしい語彙を「検索」し、該当するものを「選択」します。「探索・選択」というのは、沢山ある引き出し(語彙辞書)の中からどれか1つ選んで、その引き出しを開けるようなイメージとなります。

語彙選択の段階の障害

語彙選択の段階の障害があると、語彙辞書に到達できない、あるいは、到達できても引き出しも開けることができない状況が起こります。その場合には何も語が表出できない状態になります。 全失語といわれるような重度の失語症の患者さんはそのような状態なのかもしれません。
そこまで重度ではない場合では、辞書に到達した後に、目当ての引き出しとは別の引き出しを開けてしまう症状が出現します。この場合には、りんごの絵を見て、バナナや時計など、別の単語を言ってしまう症状が現れます。語性錯語と呼ばれる症状は、この段階の障害と考えられます。
現在、語彙の選び損ないがどうして生じるのかや、選び間違う時に、なぜその語彙を選んでしまったのか等はよく分かっていません。

意味照合(呼称のプロセス)

意味照合(呼称のプロセス)

正しく、形態認知ができたとしても、それだけで、それが何かと分かるわけではありません。 形態認知の段階では、単に絵の形態が脳の中に表象されているに過ぎません。
次に、その形態が、無意味な図形が、何かを現している記号であるということの照合がなされ、さらに、意味記憶との照合が行われます。
そして、人それぞれの認知経験にもとづいてつくられた意味記憶が活性化されます。
この段階を意味照合といいます。

意味照合(呼称のプロセス)の段階の障害

対象の形態自体は正しく捉えられているので、その絵を模写することが可能ですか、その絵を、別の絵や、実物などと照合させることができないという症状が現れます。
上記のような症状、つまり、見えているのに何であるのかがわからないという症状を、運合型視覚失認といいます。