音韻照合(入力音韻辞書)

音韻照合(入力音韻辞書)

音声入力や音響分析に異常がなければ、検査者の口から発せられた音声は音響的には正しく捉えられます。
しかし、音響分析の段階では、その音響が日本語の音韻、いわゆる五十音のどれに該当するかはまだ確定されていません。
音韻照合(入力音韻辞書)の段階では、聞き取った音響を日本語の音韻と照らし合わせる作業を行います。
その際に、参照されるリストのことを入力音韻辞書と呼び、照らし合わせる処理のことを音韻照合と呼びます。

音韻照合(入力音韻辞書)段階の障害

音韻照合(入力音韻辞書)段階の障害では、音響として正しく脳内に響いているにもかかわらず、日本語におけるどの音韻なのかが確定できないという状態となります。
そのため、症状としては、発話者の音声が正しい音韻として認知できなかったり、異なる音韻に照合されてしまうなどの誤りがみられます。
この症状は、正しく聞き取った語音を音韻と照合させる段階の障害という意味で音韻聾(phonological deafness)と言われています。

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音響分析(単語の聴覚的理解)

音響分析(単語の聴覚的理解)

音響分析は、単語理解までの二段階目です。
音は内耳 (蝸牛)で、電気信号に変換された後、蝸牛神経核→上オリーブ核→下丘→内側膝状体と、聴神経を上行し、側頭葉の1次聴皮質(横側頭回)に到達します。
その間に、母音の弁別に必要な周波数特性 (フォルマント構造)や、子音の知覚に必要な時間的変化 に関する詳細な特徴分析が行われます。
この段階を「音響分析」 と呼びます。

音響分析の段階の障害

音響分析の段階の障害大きく分けて2種類あります。

第1次聴皮質もしくは皮質下(聴放線)が両側とも損傷された場合

第1次聴皮質もしくは皮質下(聴放線)が両側とも損傷された場合では、音は聞こえるのですが、言語音や動物の泣き声・乗り物の音、電話の音等の環境音、音楽のメロディーなど、いずれも認知困難になります(狭義の聴覚失認)。

損傷が左右いずれか一側の場合

損傷が左右いずれか一側の場合では、障害は比較的言語音に限定されます(広義の聴覚失認)。
この症状は、言語音に関する聾という意味で、古くから語聾 (word deafness)という用語で知られてきました。 近年では、語音聾 (word sound deadness)と呼ばれています。
auditory neuropathy、auditory nerve diseaseといった聴神経レベルの疾患でも、純音聴力の閾値上昇が軽微であるにもかかわらず、語音の間き取りが障害される場合があると言われています。

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音声入力(単語の聴覚的理解)

音声入力(単語の聴覚的理解)

音声入力 (聴覚)は単語理解までの一段階目です。
この段階では、検査者が発話した音声が、空気の振動として被験者の鼓膜から耳小骨へと伝達され、内耳 (蝸牛)で基本的な周波数分析が行われます。

音声入力 (聴覚)の段階での障害

音声入力 (聴覚)の段階での障害は、聴党障害 (伝音性難聴・感音性難聴など)です。
内言語 (language)の情報処理過程の障害ではありません。
音声入力に問題のある患者 さんに検査を行う際には、補聴器をつけていただ くなど配慮が必要となります。

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認知神経心理学的モデルの用語の定義

認知神経心理学的モデルの用語の定義

照合

「照合」は、音声や文字など耳や目から入ってきた情報を、自分の脳内の記憶 (鋳型)と 照らし合わせる処理を表します。

選択 想起 配列

「選択」「想起」「配列」は 、いずれも語彙や音韻や文字など、脳の中にある言語記号を表出する (出力する)ための処理を表します。

変換

「変換」は、情報を、性質の違ったものへ「翻訳」する機能を表しています。

活性化

「活性化」は 、脳の中に貯蔵されている特定の項目(アイテム)が 、処理されるために「意識 (ワーキング・メモリー)」 の場に呼び出されることを意味しています。

国際生活機能分類における構成要素の定義

国際生活機能分類における構成要素の定義

心身機能(body functions)

身体系の生理的機能(心理的機能を含む)のこと。

身体構造(body structures)

器官・肢体とその構成部分などの、身体の解剖学的部分のこと。

機能障害(構造障害を含む)(impairments)

著しい変異や喪失などといった、心身機能または身体構造上の問題のこと。

活動(activity)

課題や行為の個人による遂行のこと。

参加(participation)

生活 。人生場面(life situation)への関わりのこと個人が活動を行うときに生じる難しさのこと(activity linnitations)。

活動制限

個人が何らかの生活・人生場面に関わるときに経験する難しさのこと。

参加制約(partlcipalon restnc10ns)

人々が生活し、人生を送つている物的な環境や社会的環境のこと。

環境因子(environmentalfactors)

人々の社会的な態度による環境を構成する因子のこと。

非律動性不随意運動(異常運動)の種類

非律動性不随意運動(異常運動)の種類

バリズム

四肢近位関節を中心に振り回されるような粗大で 激しい運動をバリズムといいます。

舞踏病(アテトーゼ)

一定の肢位を保持できずに、四肢や体幹の不規則かつ非律動的にゆっくりと動かす運動を舞踏病(アテトーゼ)といいます。

ジストニー

緩徐で持続の長い力強い、主に長軸を中心として 捻るような運動をジストニーといいます。

チック

顔しかめ、瞬き、舌だし、肩すくめ、首振り、溜息、唸り声など突発する瞬間的な身振りや習癖と 関連した運動をチックといいます。

口舌ジスキネジー

口の左右へのもぐもぐや尖らし運動、舌の前後左 右への不規則な動きや回唇のなめ回しなどを口舌ジスキネジーといいます。

ミオクローヌス

一つまたは多くの筋の短時間の不随意的な収縮運動をミオクローヌスといいます。

絶対筋力と最大筋力と筋力増加について

絶対筋力

  • 絶対筋力は、l㎠あたり4~10kgとなります。
  • 絶対筋力は、年齢・性別・トレーニングの有無により異なります。
  • 絶対筋力は、筋横断面積に比例します。

最大筋力を決める要因

  • 収縮様態は遠心性収縮>等尺性収縮>求心性収縮の順で最大筋力の強さが異なります。
  • 最大筋力は、筋線維の数と長さ、筋の横断面積のより異なります。
  • 関節の回転運動が、関節角度が120°付近が最大筋力が発揮されます。
  • 通常、筋収縮は70~80%で制限されています。

筋力増加について

トレーニング初期の筋力増加は、収縮していなかつた筋線維が働き出すことによるものになります。 単位断面積あたりの発揮筋力、すなわち絶対筋力は増加しますが、筋横断面積はそれほど増加しません。 さらにトレーニングを続けると、骨格筋が肥大して筋力が増加します。

排尿異常や排便異常の用語について

排尿の異常

尿量の異常

無尿

一日の尿量が100ml以下で腎臓から膀胱に排泄できない状態をいいます。

乏尿

一日の尿量が300〜500ml以下で一日に産生される代謝産物を尿中に排泄できず、体内に蓄積が生じる状態をいいます。

多尿

一日の尿量が2000〜3000ml以上の状態をいいます。

排尿回数の異常

頻尿

一日の排尿回数が10回以上あるもので、排尿回数が以上に増えた状態をいいます。

稀尿

一日の排尿回数が1〜2回と極度に少ないものをいいます。

排尿困難

膀胱内に溜まっている尿が出にくい状態をいいます。 尿線が細くなつたり、排出力が弱くて排尿するまでに時間がかかったり、排尿しはじめてから終わるまでに長い時間がかかったりすることをいいます。

尿閉

排尿困難の最終段階で膀洸内に溜まった尿が完全に排泄できなくなった状態をいいます。

尿失禁

膀胱内に尿を保持できず、自分の意思とは無関係に尿が漏れ出してしまう状態をいいます。

排便の異常

便秘

大腸内での便の通過時間が長く、水分が吸収されて便がかたくなり、排便困難を伴う状態をいいます。

下痢

便が大腸を早く通過するため、水分が吸収されず、液状またはそれに近い状態で便を繰り返し排出する状態 をいいます。

便失禁

S状結腸や直腸内に便を保持できず、自分の意思とは無関係に使が漏れ出してしまう状態をいいます。