藤島式嚥下体操セット

藤島式嚥下体操セット


嚥下の基礎訓練として用いられています。

主な対象者

特に軽症嚥下障害者に有効です。

具体的な方法


  1. 嚥下体操 意義:頸部の緊張をとり嚥下をスムーズにする。
  2. 嚥下おでこ体操(または頭部挙上訓練) 意義:嚥下筋力強化
  3. ペットボトルブローイング 意義:嚥下改善呼吸改善,鼻咽腔閉鎖機能・口唇閉鎖機能改善。
  4. アクティブサイクル呼吸法 意義:咳嗽力強化、咽頭感覚改善
  5. 発声訓練:カラオケでも、朗読でも良いです。なるべく大きな声を出すようにします。 意義:声門防御機構の強化

バッグバルブマスク(BVM)の使用方法

バッグバルブマスク(BVM)の使用方法



バッグバルブマスクとは

バッグバルブマスクは、口腔よりマスクにて他動的に換気を行うための医療機器です。
一般的にドイツのAnbu社の製品が知られているため医療関係者には「Anbubag(アンビューバッグ)」とも呼ばれている。
一般的には陽圧をかけて肺に気体を送り込み、換気を補助する役割があります。


ショック・心肺停止などにより、原因に対する適切な処置および酸素投与を行ってもなお酸素の取り込みや二酸化炭素の排出が不十分な場合に適応となります。


使用方法

使用方法としては、マスクと顔面との密着をはかると同時に、気道をしっかりと確保し、基本は片手で下顎挙上法を行いつつマスクを持ちます。
マスクの把持は親指と人差し指は半円(Cの形)を描いてマスクを押さえ、残る中指・薬指・小指は伸ばし下顎角にかけるようにし(Eの形)きっちりと下顎を持ち上げます。


バッグを押し送気を行う際は十分に換気が行われていることを確認することが大切です。
換気が正しく行われると、胸郭が挙上します。


送気は肺内に約500ml入れることを目標とされ、バッグは強く早く押すとバッグの加圧によりガスが食道から胃に流入し、最悪腸までガスが流入するので、ゆっくり1秒以上かけて入れすぎず送気し、5秒に1度を目安に行います。



手の病的表在反射と脱感作

手の病的表在反射と脱感作


把握反射(palmargraspingreflex)

患者の手掌に物が触れると握りしめる現象。生後4-6ヶ月で消失しますが、中枢神経系の障害児では遷延します。
障害児では過敏と間違えることは少ないですが、成人で出現するのは前頭葉障害の重要な兆候であり、脳卒中発症直後では強い把握で過敏(嫌がっている)と間違われることが多いといわれています。


手掌頤反射(palmomentalreflex)

手掌とくに母指球を強く圧迫すると、同側の下顎の頤筋が収縮するものを言います。
脳幹より上部の錘体路障害で生じます。
水頭症、多発性硬化症、頭部外傷やパーキンソン病、アルツハイマー病に見られることが多く、手の刺激からが過敏の除去に繋がらない臨床像が多くあるようです。

http://www.jsdr.or.jp/wp-content/uploads/file/doc/18-1-p55-89-explanation.pdf
より参照。

パーキンソン病と筋強剛

パーキンソン病と筋強剛


パーキンソン病では筋強剛が起こります。


筋強剛(筋固縮)は筋緊張の充進した状態で、他動的に関節を動かした際に抵抗として感じられます。


筋緊張亢進は筋強剛と痙縮の2つのタイプがあります。


筋強剛では動かす速度に関係なく運動の初めから終わりまで一様に抵抗が感じられるところが痙縮と異なる点です。
歯車様にカクカクと感じられる現象を歯車様筋強剛(主に上肢に生じる)、金属を曲げるような一定した抵抗を鉛管様筋強剛(主に下肢に生じる)と呼びます。
パーキンソン病ではいずれも生じ得ます。


筋強剛は暗算や反対側の簡単な運動の命令(グー・パーを繰り返す)などの負荷がかかると増強するので、軽微でわかりにくい場合には試してみるとよいでしょう。

パーキンソン病と振戦

パーキンソン病と振戦

初発症状としても約7割の患者に存在すると言われていますが、全経過を通してまったく認めない患者も約25%います。


パーキンソン病の振戦は4~6Hzでじっと座っているときに頻繁に出現するため安静時振戦と呼ばれていますが、睡眠中は消失し、歩行中の手によく観察されます。


緊張しているときのほうが出やすく、軽微な場合には暗算などをさせるとわかりやすくなります。


動作中には振戦は軽減します。


これに対して、本態性振戦や老人性振戦ではむしろ動作時に強く出現するので鑑別するのに良いです。


パーキンソン病では一定の姿勢を保持させると、最初、振戦は目立たないが10秒以上経過してから出現することがあります(re-emergent tremor)。


これらの振戦は四肢の遠位部に強く、顎や口唇にも比較的出やすいです。


典型例では手の振戦は丸薬を丸めるような動き(pil1-rolling)を呈します。

非常に軽微な場合、体表から観察できなくても、患者は「体の中で震えているような気がする」などと自覚することもあるようです。

バビンスキー反射 チャドック反射

バビンスキー反射

正常時には現れない病的反射である。
錐体路障害を示唆するものとして信頼度が高いため、脳と脊髄を結ぶ神経伝導路(錐体路)の障害が疑われる患者に対して行う。
正常者では、バビンスキー反射の手技により足底反射が起こり、母趾は足底内側に屈曲する。
バビンスキー反射の陽性では、これとは逆に母趾が背屈する。
これは母趾現象または伸展性足底反応と呼ばれるものである。
典型的なバビンスキー反射の場合は、母趾は強直性に、しかも緩徐に伸展する。


チャドック反射

バビンスキー反射の変法のひとつである。
外側のくるぶし(外果)の下を後方から前方にこすると、母指が背屈する。


http://cdn39.atwikiimg.com/ain0531/?cmd=upload&act=open&page=%E7%A5%9E%E7%B5%8C%E5%AD%A6%E7%9A%84%E6%A4%9C%E6%9F%BB&file=9Z020000030807.jpgより抜粋

筋トーヌス 異常 亢進 低下

筋トーヌス 異常 亢進 低下

トーヌスとは
筋トーヌス(緊張):骨格筋が何も活動しない時にも、絶えず不随意的にわずかな緊張をしており、このような筋の維持的な弱い筋収縮を言います。この筋トーヌスは休止状態における緊張のほか、種々の運動や反射活動によって、その緊張状態が変化します。したがって、筋トーヌスを診るには多面的に行う必要があります。

筋トーヌスの異常
筋トーヌスの異常は筋緊張の亢進状態(hypertonicity)と筋緊張の低下状態(hypotonicity)に分けられます。

筋トーヌスの亢進
筋トーヌス亢進状態には痙直(spasticity)と硬直(強剛)(rigidity)があります。

Ⅰ.痙直
a.痙直とは
痙直は急激に関節の受動運動を行う時に起こる筋の抵抗です。すなわち、筋の緊張が高まった状態です。検者が患者の諸関節を手動的に勢いよく屈曲させると、初めは抵抗が大きく、あるところまで動かすと急に抵抗が減少する状態です(折り畳みナイフ現象)。受動運動は速く動かすほど抵抗が大きくなります。

b.障害
痙直は錘体路障害によって出現し、痙直状態は全ての筋にみられるのではなく、特有な分布を示します。すなわち、上肢では屈筋群、下肢では伸筋群に出現しやすいようです。

Ⅱ.硬直(強剛または固縮)
a.硬直とは
硬直はいかなる方向への関節の受動運動に対しても、初めから終わりまで同一の筋抵抗が感じられる状態を言います。たとえば、肘を屈曲させるとき初めから終わりまで同一の抵抗があり、また、伸展させるときにも同様な抵抗が感じられます。ちょうど鉛管を曲げる感じに似ているので、鉛管現象(lead pipe phenomenon)といいます。
パーキンソン病では抵抗が歯車を回転させるようにガクン、ガクンと感じるので歯車様硬直といいます。

b.障害
硬直は錐体外路障害によって出現し、動作が緩慢になり、無動性を示します。
腱反射は硬直のため出にくくなります。硬直は全身の筋に見られますが、一様に表れるのではありません。
一般に手首に早く表れる多く、次いで肘関節、肩関節などの四肢の筋位部に出現します。

筋トーヌスの低下
a.トーヌス低下とは
筋トーヌスの低下は関節の受動運動に対して、筋抵抗が減弱ないし消失した状態を言います。筋は弛緩して、筋腹を触診すると柔らかく、筋特有の抵抗が減弱した状態です。

b.障害
筋トーヌス低下は小脳疾患、片麻痺の初期や末梢神経障害などにみられます。

*参考 理学療法評価学(金原出版株式会社)

理学療法的評価の意義と目的

理学療法的評価の意義と目的


評価の意義

評価とは、患者の持つ症状や障害を把握して、それらの情報を分析し、治療方針を立案して、その治療結果を確認し、患者の将来を予測する過程です。これは、医師が行う疾病の診断と対応するものであり、病歴や臨床検査所見の収集を行い、それを分析して治療方針を決めるのとほぼ同じことと言えます。
 理学療法における評価は特定の時間を設けて実施するだけでなく、治療中の全過程において、患者の動作や反応を観察して評価します。したがって、治療即評価であると言えます。
 評価はだれが行っても同一の結果が得られるような方法であり、信頼性、妥当性、確実性のある標準化された評価であることが要求されます。

評価の目的

 評価は従来、治療を求める患者に対して医師が行った「診断法」とは異なり、患者の状況を幅広く把握することにあり、患者の持つ身体的機能面から全生活場面まで、どのような障害があるのかをみて、その回復の方策を探すことを目的とするものです。
 Ridley,M.A.は評価の目的として次の4つを挙げています。
 ①患者の全体像を把握する。
 ②治療計画の参考にする。
 ③目標設定に役立てる。
 ④将来の為の基本線の設定を行う。
 以上のうち、①は狭義の評価過程であり、一般的には患者の持つ障害を把握し、問題点を明らかにするものです。②から④までは広義の評価過程として位置づけられるもので、患者の持つ問題点から回復の目安を予測(目標-goleの設定)して、その目標に向けて問題解決の方策(治療計画)を立案する過程になります。

*参考理学療法評価  金原出版()

患者とともに病歴をたどる方法は?

患者とともに病歴をたどる方法は?


方法の第1段階としてはリハビリテーション医学で提供できるサービスを紹介し説明することです。患者の主治医から、患者の医学的・機能的問題点を検討してリハビリテーションプランを立てるようコンサルトを受けたことを説明します。
その後、患者の生活様式と家庭内での支援を総合的に検討してゆくことで関係が形成されます。
病歴をたどっていく際の1つの方法は、「最後に完全に健康であったのはいつですか?」という質問から始めて病歴を継時的に記録するものです。
病歴中のベースライン機能の評価から始める方法もまた、患者の必要性にあわせて、改善・対応策を考える材料を与えてくれます。
患者が体験した障害の種々の側面は、「何をするのが最も大変ですか?」と尋ねることで引き出すことができます。
別の方法は、障害あるいは疾患前の患者の機能に注目し、問題点リストにより誘導することでその後の変化を検討することです。
病的の記録とは問題点を患者に対して慎重に説明し、主要な病態生理と関連付けるものであるため、これが患者教育となる場合もあります。病状の検討を行う場合は、必ず、症状とともに機能に関する意見を引き出すことが大切です。

*参考 リハビリテーションシークレット(メディカル・サイエンス・インターナショナル)