NeedとHopeとGoal

NeedとHopeとGoal

セラピストが患者さんの治療計画を立てる上でいつも考えさせられるのが、NeedとHopeとGoalです。

分かりやすく言うと、Needはその患者さんが今後生活していくために必要な能力・環境など、Hopeは患者さんや家族の希望、そしてGoalは今後の患者さんの生活していく姿全てを表します。

担当になったセラピストは患者さんのHope通りのストーリーを描きたいのですが、実際には難しい場合が多いです。

本人は退院後、自宅で生活したいというHopeですが、家族は介護を出来る余裕はないから、施設に入ってもらいたいという場合。

また仕事に復帰したいという本人のHopeであっても、医学上機能・能力が仕事復帰できる状態ではない場合など。

担当者としては、伝えなければいけない事だけに、いつも心が締め付けられます。

しかし、現状の機能・能力・環境が悪い状態であっても、Hopeのすべてを否定するわけではありません。少しでもその方のHopeに近づけられるよう、機能を改善し、能力を伸ばし、環境を整えていくことが大切となります。

そして、共にGoalを目指し、リハビリテーションを行っていきます。

そして、そのGoalに到達するために、必要なもの全てがNeedとなります。

こうして考えると治療者にはとても大きな責任が課されます。

患者さん・家族のHopeをくみ取り、今後の生活でこの方にとって何が必要なのかを考え、そして準備をしていく。

一人の人間の人生を決めてしまうかもしれないこの重要な職務を、セラピストは真摯に取り組んでいかなければなりません。

ストレッチングの種類と方法

ストレッチングの種類と方法


ストレッチングはスポーツをする方はもちろん、一般の生活の中でも肩こり、腰痛の改善、リラックスをする為に広く取り入れられています。ストレッチングを行う上で大切なのはその種類と正しい方法を知ることです。今回は取り組みやすい2種類について説明します。

①スタティック・ストレッチング

一般的にストレッチングというと、この方法を思い浮かべる方が多いと思います。ゆっくりと時間をかけて行い、筋肉の柔軟性、関節の可動域拡大、リラックス効果を得ることができます。

方法

ゆっくり反動付けずに、時間をかけて筋肉を伸ばします。筋肉に張りを感じたところで止め、呼吸を止めずに最低14秒はキープしましょう。

②バリスティック・ストレッチング

スポーツ前などパフォーマンスの向上を目的に行うストレッチング。筋肉の瞬発力を向上させます。

方法

「1,2,3,4…」とリズミカルに反動をつけて行います。無理に関節の可動域を広げないように、適度な範囲で動かしましょう。

ストレッチングの留意点

ストレッチングの種類に関わらず、効果を上げるためにはいくつかの留意点があります。

①無理をしない

必要以上に反動と付けたり、不利な範囲まで伸ばしてしまうと、筋・腱などを損傷する場合がありますので、「少し突っ張るなあ」という範囲で止めましょう。

②呼吸を止めない

呼吸を止めると筋に力が入りやすくなり、伸びにくくなります。また筋の活動には酸素が必要です。呼吸を止めることなく行いましょう。

③体が温まっているときに行う

体の組織は温度が高い時ほど柔軟性が向上します。お風呂上りに行う、軽く体を動かしてから本格的に行うなど、体温を上げてから取り組むよう工夫してみましょう。

以上ストレッチングについて簡単に説明しましたが、一番のポイントは無理せず、継続して行う事だと思いますので根気よく行いましょう。

レビー小体型認知症の予後

レビー小体型認知症の予後


レビー小体型認知症(DLB)は、認知機能障害とパーキンソニズムの増悪、比較的早期から周辺症状(BPSD)が出現するため、経過はアルツハイマー型認知症(AD)に比べて早く、一般に予後がより不良となります。

また、アルツハイマー型認知症と比較し、経過中に肺炎を併発する事が多く、嚥下摂食障害も高頻度に合併します。

加えて、アルツハイマー型認知症と比べて、レビー小体型認知症でより通院可能な期間が短いです。

レビー小体型認知症患者は、転倒・骨折、誤嚥・肺炎を起こしやすく、包括的なケアが必要となります。

小脳症状

小脳症状


小脳症状とは

小脳症状とは、言語障害(音量の不安定さ、音程の不安定さ、構音の不正確さ、リズム不正、爆発的発声explosive、緩徐、スラーslurred、断綴性scanningなど)、立位障害(バランス障害)、歩行障害(体幹動揺、歩幅が不安定かつスタンスが広い、ストライドの不安定さ、歩行リズムの不規則化など)などをさします。

古小脳が障害された場合

古小脳が障害された場合には前庭神経に関連した症状がみられる事が多く、姿勢障害、バランス障害、歩行障害、眼球運動障害、浮遊感がみられます。
急性障害である場合にはめまい、嘔吐、眼振などがみられます。
基本的に筋緊張は低下します。

旧小脳が障害された場合

旧小脳が障害された場合には深部覚の統合がうまくいかなくなるため、歩行障害、構音障害が生じます。

新小脳が障害された場合

新小脳が障害された場合には四肢機能の円滑さが障害されるため、測定障害、企図振戦、運動分解、運動の速度低下、速度の不安定さ、構音障害(小脳性言語と呼ばれる)、嚥下障害などが生じます。

レビー小体型認知症の認知機能障害の特徴

レビー小体型認知症の認知機能障害の特徴


レビー小体型認知症(DLB)の必須症状である進行性の認知機能障害の特徴として、初期に記憶障害が目立たない事があります。

また、注意や遂行機能、視覚認知障害が目立つ事も特徴で、他の認知機能と比べて不釣合いな遂行能力低下等となって現れます。

アルツハイマー型認知症と比較して、MMSEの各項目による解析では、レビー小体型認知症では注意力と図形模写で有意な低下を認め、アルツハイマー型認知症では遅延再生の障害を高度に認めたとの報告があります。

レビー小体型認知症臨床診断基準

レビー小体型認知症臨床診断基準 (第3回国際ワークショップ)


中心的特徴

進行性の認知障害

中核的特徴


  中核的特徴2つ→probable DLB;中核的特徴一つ→possible DLB

 a.注意や覚醒レベルの変動を伴う認知機能の動揺
 b、現実的で詳細な内容の、繰り返し出現する幻視
 c.自然発生の(誘因のない)パーキンソニズムの出現

示唆的症状


  中核的特徴1つ以上+示唆的特徴1つ以上→probable DLB;
  中核的特徴なし+示唆的特徴1つ以上→possible DLB
 a.REM睡眠行動異常(RBD)(悪夢を伴う大声や体動などを示す)
 b.抗精神病薬に対する感受性の亢進
 c.SPECT/PETでの基底核のドパミントランスポーター取り込み低下

4.支持的特徴
繰り返す転倒・失神、一過性の意識障害、自律神経障害、幻覚、妄想、うつ症状、CT/MRIで側頭葉が比較的保たれている、脳血流SPECT/糖代謝PETで後頭葉の取り込み低下、MIBG心筋シンチグラフィで取り込み低下、脳波で徐波及び側頭葉の鋭波

Neurology、65:1863-1872、2005.より引用

サルコペニア(sarcopenia)の定義

サルコペニア(sarcopenia)の定義


サルコペニア(sarcopenia)という用語はギリシア語で「肉 (英語ではflesh)」を表すsarx (sarco)と「喪失(英語では loss)」を表すpeniaを組み合わせ た「筋肉の喪失」を意味する造語です。

このサルコペニア(sarcopenia)という用語は1988年にニュー メキシコで開かれた「栄養状態と身体組成に関するシンポジウム」 でIrwin Rosenbergによりはじめ て用いられました。

サルコペニアは、加齢にともなって緩徐に進行する 筋肉量の減少、およびそれにとも なう筋肉機能(筋力や身体機能) の低下と定義されています。

Zancolliの上肢機能分類

Zancolliの上肢機能分類


グループ1 肘屈曲可能群

機能髄節レベル:C5-6
残存運動機能:上腕二頭筋、上腕筋
A.腕橈骨筋機能なし:C5A
B.腕橈骨筋機能あり:C5B


グループ2 手関節伸展可能群

機能髄節レベル:C6-7
残存運動機能:長・短橈側手根伸筋
A.手関節背屈力弱い:C6A
B.手関節背屈力強い
Ⅰ円回内筋・橈側手根屈筋・上腕三頭筋の機能なし:C6BⅠ
Ⅱ円回内筋機能あり:C6BⅡ
Ⅲ円回内筋・橈側手根屈筋・上腕三頭筋の機能あり:C6BⅢ

グループ3 手指伸展可能群

機能髄節レベル:C7-8
残存運動機能:総指伸筋、小指伸筋、尺側手根伸筋
A.尺側指完全伸展可能:C7A
B.全指伸展可能だが母指の伸展弱い:C7B

グループ4 手指屈曲可能群

機能髄節レベル:C8-Th1
残存運動機能:固有示指伸筋、長母指伸筋、深指屈筋、尺側手根屈筋
A.尺側指完全屈曲可能:C8A
B.全指完全屈曲可能
Ⅰ浅指屈筋機能なし:C8BⅠ
Ⅱ浅指屈筋機能あり:C8BⅡ

脊髄横断面でみる特徴的な症候群

脊髄横断面でみる特徴的な症候群


中心性脊髄症候群


脊髄の中心が傷害され、下肢より上肢に強い麻痺が起こる。
高齢者の非骨傷性の外傷性頚髄損傷で多くみられるタイプ。

ブラウン・セカール症候群


脊髄の左右どちらか半分が損傷した場合に起こる。
損傷された髄節で同側の全知覚脱失があり、損傷部分より末梢で同側の運動障害と深部感覚障害、反対側の温痛覚障害が認められる。

前脊髄動脈症候群


脊髄の腹側だけが傷害されるため、深部感覚は保たれる。

後脊髄動脈症候群


脊髄の背側だけが傷害されるため、深部感覚が障害される。

ASIA機能障害尺度 (ASIA impairmentscale:AIS)

ASIA機能障害尺度 (ASIA impairmentscale:AIS)の採点


A(complete):


S4-5領域の運動・知覚機能の完全喪失

B(sensoryincomplete):


損傷レベルより下位の運動は完全麻痺知覚はS4-5領域を含みいくらか残存

C(motorincomplete):


損傷レベルより下位の運動機能が残存しており、麻痺域のkeymuscleの半数以上が筋力3未満

D(motorincomplete):


損傷レベルより下位の運動機能が残存しており、麻痺域のkeymuscleの半数以上が筋力3以上

E(normal):


運動・知覚機能ともに正常


評価表は下記を参照ください。
ASIA評価表

原発性骨粗鬆症の診断基準 (2012年度改訂版 日本骨代謝学会・日本骨粗鬆症学会)

原発性骨粗鬆症の診断基準 (2012年度改訂版 日本骨代謝学会・日本骨粗鬆症学会)


低骨量をきたす骨粗髭症以外の疾患または続発性骨粗髭症を認めず、骨評価の結果が下記の条件を満たす場合、原発性骨粗髭症と診断する。 

Ⅰ脆弱性骨折(注1)あり 
椎体骨折(注2)または大腿骨近位部骨折あり 
そのほかの脆弱性骨折(注3)があり、骨密度(注4)がYAMの80%未満 

Ⅱ脆弱性骨折なし 
骨密度(注4)がYAMの70%または-2。5SD以下 



YAM若年成人平均値(腰椎では20~44歳、大腿骨近位部では20~29歳) 

注1
軽微な外力によって発生した非外傷性骨折、軽微な外力とは、立った姿勢からの転倒か、それ以下の外力をさす。

注2
形態椎体骨折のうち、2/3は無症候性であることに留意するとともに、鑑別診断の観点からも脊椎X線像を確認することが望ましい。

注3
そのほかの脆弱性骨折:軽微な外力によって発生した非外傷性骨折で、骨折部位は肋骨、骨盤(恥骨、坐骨、仙骨を含む)上腕骨近位部、焼骨遠位端、下腿骨。

注4
骨密度は原則として腰椎または大腿骨近位部骨密度とする。
また、複数部位で測定した場合にはより低い%またはSD値を採用することとする。
腰椎においてはL1~L4またはL2~L4を基準値とする。
ただし、高齢者において、脊椎変形などのために腰椎骨密度の測定が困難な場合には大腿骨近位部骨密度とする。 
大腿骨近位部骨密度には頸部またはtotalhip(totalproximalfemur)を用いる。
これらの測定が困難な場合は擁骨、第二中手骨の骨密度とするが、この場合は%のみ使用する。

付記
骨量減少(骨減少)[lowbonemass(osteopenia)]:骨密度が-2.5SDより大きく-1.0SD未満の場合を骨量減少とする。

(宗圓聰ほか、2013より改変引用)

脳幹脊髄投射系による筋緊張の調節メカニズム

脳幹脊髄投射系による筋緊張の調節メカニズム


姿勢筋緊張を制御する神経機構は脳幹・脊髄に存在します。

筋緊張の促通系は、縫線核脊髄路や青斑核脊髄路などのモノアミン作動性下行路や網様体脊髄路等で、中脳歩行誘発野(MLR)からの入力も受けます。

抑制系は、脚質被蓋核(PPN)からのコリン作動性投射により賦活される網様体脊髄路です。
この経路は脊髄の抑制性介在細胞を介して運動細胞やCPGを構成する介在細胞群の活動を抑制します。

抑制系と促通系との間には相互抑制作用が存在します。
筋緊張レベルと共に、歩行リズムも抑制系と促通系のバランスによって調節されることになります。

脳幹内のコリン作動系は筋緊張の減少に関与します。
セロトニンやノルアドレナリンなどのモノアミンは筋緊張の亢進に関与します。

椎体骨折評価基準(2012年度改訂版)

椎体骨折評価基準(2012年度改訂版)


椎体骨折の判定は以下のいずれかの方法で行う。

椎体骨折により生じる椎体変形を胸椎・腰椎側面エックス線像で判定する方法

Ⅰ.定量的評価法(QuantitativeMeasurement:QM法)

Ⅱ.半定量的評価法(SemiquantitativeMethod:SQ法)

【付記】
1)エックス線像の読影では椎体の傾斜や椎体の立体的構造を考慮することが重要である。

2)骨折治療の観点からは上記の椎体変形を認めなくても以下のいずれかにあてまれば椎体骨折と判定できる。

①エックス線写真上(正面像も含む)、明らかに骨皮質の連続性が断たれている場合

②MR矢状面像のT1強調画像で、椎体に限局してその一部が帯状あるいはほぼ全部が低信号の場合(STIR像では同領域にほぼ一致して高信号を認める場合)

詳しくは下記を参考にしてください。

中脳歩行誘発野(MLR)とCPG

中脳歩行誘発野(MLR)とCPG


歩行に関与する基本的神経機構は脳幹と脊髄に存在しています。

中脳には中脳歩行誘発野(midbrain locomotor region:MLR)が存在します。

実験動物では、この領域の神経細胞が興奮すると歩行が誘発されます。

ヒトでも微小脳梗塞などでこの領域が損傷されると、運動麻痺がないにもかかわらず起立と歩行ができなくなります。

MLRからの出力は、網様体脊髄路を介して脊髄の歩行リズム生成機構(central pattern generator:CPG)に作用して歩行リズムを誘発させます。

CPGは、脊髄の介在細胞群からなるネットワークにより構成されています。

また、MLRの出力は、青斑核脊髄路や縫線核脊髄路などのモノアミン作動性下行路にも作用します。

3つの側面を持つ歩行

3つの側面を持つ歩行


歩行運動には3つの側面があると言われています。

随意的な歩行動作


一つ目は、正確な制御を必要とする随意的な歩行動作です。

歩行の開始や障害物を回避する足の動きがこれに相当します。

この随意的な歩行のプロセスには大脳皮質と大脳基底核(基底核)、そして小脳から構成される認知ループと運動ループの活動が必要です。

情動行動


二つ目は、捕食や逃避、逃走などの情動行動です(情動的プロセス)。

大脳辺縁系(辺縁系)や視床下部から脳幹への投射系がこれに関与しています。

情動行動では、これを誘発する信号の種類にかかわらず歩行や筋緊張の亢進など定型的な運動パターンが誘発されます。

自動的プロセス


三つ目は、自動的プロセスです。 随意運動も情動行動も、歩行におけるリズミカルな四肢(手足)の運動や、その際の姿勢制御には、脳幹・脊髄における感覚一運動統合が必要です。

このプロセスは無意識かつ自動的に遂行されます(自動的プロセス)。

生得的なパターン運動(嚥下・砲撃・サッケードなど)もこれに含まれています。

姿勢や歩行に重要な神経メカニズムの概要

姿勢や歩行に重要な神経メカニズムの概要

姿勢保持や運動時の体の協調には、小脳や大脳基底核がネットワークを形成した錐体外路性運動系が重要です。

その一部の前庭脊髄路や網様体脊髄路は、前庭神経核に入った平衡覚情報を基に四肢・体幹の筋を調節して姿勢を保持します。

歩行に必要な基本的な運動出力は脳幹や脊髄などの下位の階層にある中枢パターン生成器(CPG)が生成し、上位中枢の負担を軽減しています。