脳梗塞・TIAのおもな症状

脳梗塞・TIAのおもな症状

・片側の手足が動かない(片麻痺)
・片側の顔面の動きが悪い(顔面麻痺)
・言葉がうまくしゃべれない(構音障害、失語)
・半身がしびれる(感覚障害)
・片側がうまく見えない(半盲、一過性黒内障)

脳梗塞患者の症状は様々だが、片麻痺や顔面麻痺、言語障害が最も頻度の高い症状である。
言語障害には、言葉がはっきりと聞き取れない構音障害と、発語と理解の障害が出現する失語がある。
また、後頭葉の梗塞では片側の視野障害が出現する。
TIAではこのような症状が数分~数十分持続し、完全に回復するが、脳梗塞の前触れ発作として見逃しはならない。
ハイリスクのTIAはすみやかに治療を開始しなければ、15~20%に再発をきたす恐れがある。
とくに、①年齢60歳以上、②高血圧、③糖尿病があり、④持続時間が長い発作は危険度が高く、早急な対応が必要である。
また、心房細動がある患者は脳梗塞やTIAを起こしやすい。

脳梗塞 一過性脳虚血発作(TIA)

脳梗塞 一過性脳虚血発作(TIA)

脳梗塞や一過性脳虚血発作(TIA)は、脳動脈が急に閉塞し、その血管から血液供給を受ける脳組織が阻血状態となり、局所神経症状が出現する疾患である。脳が壊死する前に回復する状態がTIAで、壊死して回復しなくなった状態が脳梗塞である。

脳梗塞・TIAの発症機序は、①血栓性、②塞栓性、③血行力学性の3つのタイプに大きく分けられる。

①血栓性脳梗塞
おもに動脈硬化によって動脈狭窄が発生・進行して、血管内腔が血栓閉塞することで生じる。
ラクナ梗塞やアテローム血栓性脳梗塞がこれにあたる。

②塞栓性脳梗塞
心臓の中や近位の動脈に付着した血栓が剝がれて飛散し、末梢の脳血管を閉塞して生じる。心原性脳塞栓症やアテローム血栓性脳梗塞の一部などがこれにあたる。

③血行力学性脳梗塞
近位の動脈に高度狭窄や閉塞をきたした状態に、脳灌流圧が低下するような脱水や貧血などが加わったとき、遠位の血流不全を生じる。
内頸動脈が高度狭窄・閉塞しているアテローム血栓性脳梗塞などがこれにあたる。

急性期リハのチェックポイント

急性期リハのチェックポイント

①バイタルサインの安定
②症状・病態の進行停止
③呼名反応
を満たせば座位・起立練習などの急性期リハを開始する。

リハ中は血圧の変動に注意し、体位変換のたびにモニタリングを行う。
多くの場合、運動によって血圧は上昇するが、血圧が低下する場合もある。

収縮期血圧が30mmHg以上上昇または低下した場合、呼吸困難、吐気、めまいなど自覚症状が出現した場合には、リハを中断する。

中枢レベルでの感覚障害

中枢レベルでの感覚障害

1)脳幹の障害
脳幹では脊髄を上行してきた感覚の線維と顔の感覚(三叉神経)が複雑に走行するために、障害される部位によりさまざまなパターンの症状が起こる。代表的なものに、延髄背外側の障害によるワレンベルグ症候群がある。


2)大脳の障害
大脳基底核の視床はすべての体性感覚の中継点なので、ここが障害されると反対側すべての体性感覚の低下がみられる。また反対に、強い痛みやしびれを生じることもあり、これを視床痛と言う。

急性期リハの意義

急性期リハの意義

急性期リハの主目的は廃用症候群や合併症を予防し、機能改善を図ることです。
局所の廃用としては、各関節の拘縮や筋萎縮に伴う筋力低下、褥瘡、静脈血栓症などが挙げられます。
廃用は局所だけではなく全身にも影響を及ぼし、心肺機能や消化器機能、精神機能の低下などを引き起こします。
これらが ADL(日常生活動作)の低下につながるため、可能な限り早期から積極的にリハを開始することが、ADL の回復を早めるとともに、意識・覚醒レベルの正常化を助け、廃用症候群の予防に有効であると言われています。

突発性難聴: 診断基準(案)

突発性難聴: 診断基準(案) (厚生労働省特定疾患急性高度難聴調査研究班,2012年)

主症状
1.突然発症
2.高度感音難聴
3.原因不明


参考事項
1.難聴(参考: 隣り合う3周波数で各30dB 以上の難聴 が72時間以内に生じた)
⑴文字通り即時的な難聴,または朝,目が覚めて気づ くような難聴が多いが,数日をかけて悪化する例も ある.
⑵難聴の改善・悪化の繰り返しはない ⑶一側性の場合が多いが,両側性に同時罹患する例も ある

2.耳鳴
難聴の発生と前後して耳鳴を生ずることがある.

3.めまい,および吐気・嘔吐 難聴の発生と前後してめまい,および吐気・嘔吐を伴 うことがあるが,めまい発作を繰り返すことはない.

4.第8脳神経以外に顕著な神経症状を伴うことはない 診断の基準: 主症状を全事項をみたすもの

早期離床を回避して、離床のタイミングを個別に検討するべき病型・病態・病巣

早期離床を回避して、離床のタイミングを個別に検討するべき病型・病態・病巣

1)脳出血 入院後の血腫の増大例、水頭症の出現、降圧薬でのコントロールが困難な血圧上昇例、脳幹部出血例

2)脳梗塞 内頸動脈閉塞あるいは狭窄例、脳底動脈血栓症、解離性脳動脈瘤、出血性梗塞

3)くも膜下出血

4)意識レベル・バイタルサインの増悪例

5)低酸素血症・DICなどを伴う重症感染症例

6)下肢深部静脈血栓症例

(原寛美.脳卒中急性期における訓練の内容と開始時期:全身管理の要点.MB Med Reha.1,2001,10より引用・改変)

呼吸介助の方法

呼吸介助の方法

基本的にあらゆる体位に対して可能である。重要なことはどのような体位であっても患者の胸郭運動に合わせて介助を加えることである。 体位ドレナージと併用することでより効果的になる。

介助者は患者の側方に立ち、患者の胸郭にtotal contactし、触診によって、十分に患者の胸郭の運動方向やタイミングを把握したうえで、呼気時に胸郭を生理的運動方向(生理的な拡張方向とは反対方向)へ、他動的にゆっくりと介助者の重心移動によって圧迫を加えていく。
このとき、手に力は入れないようにする。
緊急時の胸部圧迫とは異なるので、圧迫は強すぎず均等かつ一定となるように心がける。
患者の呼吸のタイミングや胸郭運動に合わせて行うよう注意する。
圧迫の最終域は安静呼気のレベルを超えて胸郭の動きが自然に止まるところまでとする。
患者が吸気に移行すると同時に圧迫を完全に解き解放する。これを繰り返し行う。手技が適切に行われているという判断は、患者が楽に呼吸を行え、痛みや不快感の訴えがないことで確認する。
呼吸介助を中止あるいは終了する基準は、同一患者であっても一定ではなく、患者の状態によって決まる。聴診や触診によって再評価し、目的が達成され、期待した効果あるいは変化が得られた時点で終了となる。好ましくない反応が出現した場合は即座に中止し、速やかに主治医に報告する。

呼吸介助 触診

呼吸介助 触診

触診の目的は、視診によってある程度の目安をつけた異常所見や不明瞭だった部分に、実際に介助者の手で触れて確認することである。
触診では、呼吸運動に伴って胸郭がどれくらい広がるのか、その際の左右差の有無、また呼吸パターンや胸郭の柔軟性、呼吸筋の筋緊張などについて、実際に触診して介助者自身の手で感じて記憶するようにする。
触診の具体的な方法は、まず両手を患者の胸郭に手の重みは与えず軽く置き、手掌面全体の圧が均等になるようにぴったりと当てる。 (用手全面接触:total con-tact)
介助者は患者の胸郭にtotal contactし、胸郭運動に同調しながら胸郭の動きのタイミングや拡張の程度、左右差の有無などを安静時と深呼吸時で確認する。
力を入れて押さえつけたり圧迫を加えると患者の胸郭運動を妨げたり、逆に通常の胸郭運動ではない動きになってしまい、本来の胸郭運動を正しく評価することができないため注意する。
筋緊張が高い片麻痺患者や関節の拘縮や筋の短縮などがある患者は、肺実質ではなく、筋や関節の問題によって胸郭運動に左右差が生じているため、頚部、肩甲帯、背部、胸部、腹部の呼吸補助筋群を指先で軽く圧迫して、皮膚の状態、筋緊張、圧痛や腫瘤の有無、呼吸運動に伴う収縮パターンなどを確認して対応する。また、一側ずつ胸郭の動きを確認する。

気道可逆性検査 COPD 気管支喘息

気道可逆性検査 COPD 気管支喘息

COPDは長期間のタバコ喫煙によって生じる進行性の慢性呼吸器疾患であり、世界中で有病率ならびに死亡率が増加しています。
COPDという疾患名に対する認知度は低く、大多数の患者が未診断、未治療のままの状態に置かれています。
COPDの特徴は正常に復すことのない気流制限です。
診断基準に「気道可逆性試験後の1秒率が70%未満であること」が含まれるため、COPDが疑われる症例では気道可逆性試験を行う良いですが、気道可逆性試験後の1秒率が70%未満であっても必ずしもCOPDと断定できないため注意する必要があります。
慢性喘息や高齢者喘息では固定化した気道狭窄によって、安定期や気管支拡張薬吸入後でも1秒率が70%に至らない症例があるためです。
喘息とCOPDはしばしば合併しうるため両者を完全に鑑別することは難しいです。

気管支喘息の特徴の一つに可逆性の気道狭窄があります。可逆性とは、喘息発作時には気道平滑筋収縮によって気道狭窄が引き起こされるが、適切な治療効果の影響もしくは非発作時は気道狭窄を認めないことをいいます。
気道可逆性検査では、β2アドレナリン受容体刺激薬(β2刺激薬)もしくは抗コリン薬を吸入させ、その前後でスパイロメトリーを行い、1秒量の改善量、改善率を比較します。
β2刺激薬をスペーサーに2噴霧して吸入することが推奨されています。
吸入液をネブライザー吸入する方法も広く行われている。β2ケ年薬は吸入してから15~30分後、抗コリン薬であれば30~60分後にスパイロメトリーを再検して評価します。
1秒量の改善率が12%以一上かつ量の変化が200mL以上増加したとき気道可逆性陽性と判断されます。
しかしながら、気道可逆性試験が陰性だからといって気管支喘息が否定される訳ではありません。
安定期の気管支喘息では可逆性試験が陰性であることが多いのです。
気管支拡張薬などの喘息治療薬は可逆性試験の結果に影響します。
このため、試験前に一定の弾薬期間を設けることが推奨されています。

呼吸介助 胸郭の動きの観察

呼吸介助 胸郭の動きの観察

胸郭の運動方向は、正常な場合、仰臥位では上部胸郭は吸気で前上方約45°斜め方向に広がり、呼気で元に戻る動きになる。
下部胸郭は吸気で横上方に広がるように動き、呼気で斜め下方に戻りながら尾側方向に戻る動きをする。
側臥位では、上側の胸郭が呼気時に骨盤方向へ引き込まれるような動きをする。
前傾側臥位での動きは少し複雑で、呼気時に腹側前斜め下方へ動く。
腹臥位での胸郭運動は、上方から下方へと重力とともに呼気時に真下方向に動きます。
正常な場合、左右差はないが、脳梗塞や胸郭変形がある場合など、疾患によって左右差があることが多いため、チェックしておく必要がある。

体位ドレナージ 呼吸介助の目的、効果および禁忌事項

体位ドレナージ 呼吸介助の目的、効果および禁忌事項

呼吸介助の目的はおもに換気の改善である。そのため、換気の改善が期待できない場合や換気の改善を必要としない場合は、適応外となる。
呼吸介助によって換気が改善し、気道分泌物の移動、呼吸仕事量の軽減、呼吸困難の軽減などといった効果が期待される。
絶対的な禁忌事項は、胸部の広範な熱傷による植皮術後のみだが、循環動態の不安定な患者や骨粗鬆症の合併がある患者などに対しては実施できない場合がある。

スパイロメトリー 呼吸機能予測式の注意点

スパイロメトリー 呼吸機能予測式の注意点

現在では2001年肺生理専門委員会による基準値を用いて判定することが推奨されています。しかし、この予測値と従来からのBaldwinやBerglundの予測式との問には乖離があります。肺活量、1秒量とも従来の予測式ではより低値となります。肺活量評価においてはBaldwinの予測式では正常範囲となるものが、日本の2001年弱生理専門委員会予測式では80%以下となり拘束性障害と判定されることもしばしばあるようです。1秒量の予測値(予測1秒量)に対する実測値の比率は、COPDの病期分類(重症度判定)に用いられていられます。この値もBerglundの予測式を用いると過小評価につながってしまいます。使用しているスパイロメーターがどちらの予測式を採用しているか慎重に注意を払う必要があります。尚、1秒率は1秒量と努力性肺活量との比率であるため、閉塞性障害の判定には影響を与えません。

体位ドレナージ 呼吸介助

体位ドレナージ 呼吸介助

排痰体位をとるだけでも効果はあ るが、呼吸介助を加えることで、より効果が得られやすくなる。
呼吸介助とは、「徒手的に胸郭運動を他動的に介助すること。患者の胸郭に手掌面を当てて、呼気に合わせて胸郭を生理的な運動方向に合わせて圧迫し、次の吸気時には圧迫を解放することを繰り返すもの」と定義されている。
呼吸介助を始める前に目的や効果などを明確にすることが大切である。何のために行い、どのような効果が得られるのか、どのような患者に有効なのか、中止基準は何か、などを十分に把握しておく必要がある。
知識として理解したからといって、いきなり患者へ呼吸介助を実施することは控え、スタッフ同士で十分に練習を重ねてから患者へ実施するようにする。

体位ドレナージ 加温 加湿

体位ドレナージ 加温 加湿

体位ドレナージに併用して、排痰を効果的に行うためには気道分泌物の性状、量、色も確認し、必要に応じて加温・加湿を行う。
室内の湿度が十分に確保できていない場合や口腔内が乾燥している場合は、気道分泌物が十分に移動しないことがある。
また、服薬している去痰薬や気管支拡張薬の効果が表れる時間帯を確認し、その時間に体位ドレナージを行うとさらに効果的である。

スパイロメトリー 肺機能予測式と肺年齢

スパイロメトリー 肺機能予測式と肺年齢

スパイロメトリーで得られる肺活量、努力性肺活量、1秒量などの指標は健常人でも身長、
年齢、性別などによって影響を受けます。呼吸機能検査結果を評価するためには基準値を用います。
予測式として欧米人を基準としたBaldwinの式やBerglundの式が一般的に広く用いられてきました。これらの予測式は多くのスパイロメーター各機種に採用されています。
人種的な体型の差も基準値に影響するため、1993年に日本胸部疾患学会(現在の日本呼吸器学会)肺生理専門委員会より日本独自の基準値が作成されました。
これを改良して2001年同委員会より新たな基準値が発表されました。この新たな基準値は、健常者において得られた測定値から、性、年齢、身長を独立変数として重回帰分析を行うことで呼吸機能検査予測式を作成したものです。
1秒量を指標として標準回帰式に代入し、条件に応じて算出した年齢を「肺年齢」として
います。すなわち肺年齢とは「測定された1秒量が何歳の1秒量に相当するか」を表しています。18~95歳までを対象とした式であるため、この範囲を超える算出結果については「18歳未満」または「95歳以上」と判定されます。
肺年齢.netのサイト(http://www.hainenrei.net/)で詳細な情報が得られます。

体位ドレナージ 実施上の注意点

体位ドレナージ 実施上の注意点

体位ドレナージを実施する際は合併症に対しても注意が必要となる。おもな合併症には、低酸素血症、頭蓋内圧の上昇、急性の低血圧、肺出血、疼痛、身体の損傷、嘔吐、誤嚥、気管支攣縮、不整脈がある。
モニタリングを必ず実施し対応する。 患者の訴えにも十分注意を払うことも大切である。
合併症が出現した場合にはただちに治療を中断あるいは中止し、患者を元の体位に戻して主治医に連絡する。
体位ドレナージの終了基準は、気道分泌物の移動および排出が、聴診や咳嗽あるいは吸引などによって実際に確認できた場合や、患者の自覚症状、低酸素血症、呼吸状態に何らかの改善が示された場合となる。

末梢神経レベルの障害

末梢神経レベルの障害

脊髄に入る前の段階での神経障害である。

○単ニューロパチー
脊椎の椎間孔の狭窄や靭帯の圧迫、または外傷などにより障害された神経の支配領域に一致した全感覚障害である。

○多発ニューロパチー
糖尿病などの全身性疾患、とくに代謝性疾患によって末梢神経が障害されるために起こる。四肢の末梢にいくほど強い全感覚障害を認め、手袋靴下型(glove and stocking型)と言われる。

体位ドレナージ 手順

体位ドレナージ 手順

体位ドレナージは安全に行う必要がある。実施前に必ずバイタルサインをチェックし、実施中は痰の移動に伴う気道閉塞(窒息)に注意し、実施後は効果を必ず確認する。
体位ドレナージの施行時間は、患者の状態や忍耐性によるので、決まっていない。
まずは、排痰体位を3〜15分間程度保持し様子をみる。そして再度、聴診し、気道分泌物が中枢気道へ移動したかを確認する。
気道分泌物が移動していなければそのままの排痰体位を継続するが、同一体位はおおよそ30分以内にとどめるようにする。
気道分泌物の移動が確認できれば、咳嗽あるいは気管内吸引によって分泌物を排出する。

体位ドレナージの実施前の準備

体位ドレナージの実施前の準備

体位ドレナージを行うには、「修正した排痰体位」を一定の時間保持できることが前提となる。
あらかじめ大小異なる枕やクッションを、患者の体格や排痰体位に合わせていくつか用意しておく。
用意したもので足りない場合は、バスタオルを数枚重ねてロール状にして代用することも可能である。
仰臥位や後傾側臥位で両膝関節の間もしくは両膝関節の下に用いる場合は、安定性や姿勢保持のための固定性が必要となるためビーズなどの固めの材質を選択する。
前傾側臥位や腹臥位で胸部あるいは腹部の下に用いる場合は安楽さを保つことが大切になるため、不快感を与えないウレタンなどの柔らかい材質を使用する。
前傾側臥位や側臥位をとる際は、下側になる上肢の位置を必ず確認する。とくに感覚障害や麻痺がある場合、肩関節の亜脱臼や血行障害によるチアノーゼが起こっていても患者自身は気がつかず、訴えないことがあるので注意する。
腹臥位の際、肩関節の痛みや拘縮などがあり、上肢を挙上して顔の下に手を置けない場合は無理に行う必要はない。上肢を体側につけるように下ろし対応する。顔も向きやすい方向を向いて構わない。

スパイロメトリー測定上の注意点

スパイロメトリー測定上の注意点

肺結核、麻疹、水痘など空気感染を起こす疾患では、検査を行わないようにします。特に肺結核や気管支結核の可能性がある場合は、肺機能検査を行う前に胸部レントゲン検査で確認する必要があります。
活動性の肺気道出血や呼吸器感染症(インフルエンザなど)がある場合も、控えるようにします。

肺気量分画、努力性肺活量測定いずれにおいても被験者の最大努力が必要とされます。再現性の得られない場合は、測定を繰り返して行いますが、検査に伴う疲労の影響も考慮する必要があります。
被験者に検査を理解し、協力してもらうよう努めることが重要となります。
検査術者が被験者に対して声かけなど適切な働きかけを行う必要があります。

全麻気量(TLC)、機能的残気量(FRC)、残気量(RV)など、残気量(RV)を含む肺気量分画は通常のスパイロメトリーでは測定することができません。

残気量とは最大呼気時においても肺内に残っている気量を指します。安静呼気位の肺容量に相当する機能的残気量はガス希釈法もしくは体プレチスモグラフ法で測定する必要があります。
一般的には閉鎖回路法によるヘリウムガス希釈法が汎用されています。

スパイロメトリー測定結果の評価

スパイロメトリー測定結果の評価

肺活量が予測式の値と比べ80%以下である時、拘束性換気障害と判定されます。
肺活量が低下する疾患としては、特発性肺線維症をはじめとする問質性肺炎、ALSなどの神経筋疾患、肺結核後遺症、先天性や胸部術後などによる胸郭異常、高度の肥満などがあげられます。

1秒率70%以下の場合が、閉塞性換気障害です。COPDや気管支喘息でみられる障害です。

拘束性障害と閉塞性障害を共に呈する場合を、混合性換気障害と呼びます。慢性気管支拡張
症や重症COPDなどで認められます。

簡易型ピークフローメーターを用いたピークフロー値モニタリングは、気管支喘息管理のために広く普及しています。

感覚の伝わり方

感覚の伝わり方

得られた感覚は末梢神経から脊髄の神経根(後根)に入り、脊髄の中を上行して、脳に伝えられる。
「触覚(粗大な触覚、識別性触覚)」、「温痛覚」、「深部感覚」はそれぞれ脊髄の中で異なった経路で上行していく。
それぞれの感覚は末梢神経から神経根(後根)を経て脊髄に入る。入ってすぐに交叉して反対側の脊髄を上行する「外側脊髄視床路」「前脊髄視床路」を通るものと、同側のうしろ側の「後索」を上行して延髄で交叉するものがある。いずれも大脳基底核の視床というところを経由して、大脳皮質の一次体性感覚野に伝わる。

1.触覚
1)粗大な触覚
後根から脊髄内に入り、脊髄の中を交叉して反対側の脊髄の前方(前脊髄視床路)を上行していく。
2)識別性触覚
同じ触覚でも識別性触覚は後根から脊髄内に入り、同側の脊髄の後方(後索)を上行していく。

2.温痛覚
後根から脊髄に入り、脊髄の中を交叉して反対側の外側(外側脊髄視床路)を上行していく。このため、もし脊髄の中心に障害があるような場合(例:脊髄空洞症)に、同側の触覚はあるのに、温痛覚が障害されるということがある(解離性感覚障害)。

3.深部感覚
位置覚、振動覚は、後根から脊髄内に入り同側の脊髄の後方(後索)を上行していく。

体位ドレナージ 実施前の確認事項

体位ドレナージ 実施前の確認事項

排痰体位は、気道分泌物の貯留位置を確認し決定する。確認には、胸部画像によって評価する方法もあるが、目の前の患者の今起こっている状況をリアルタイムに評価するには聴診が有効である。聴診によって副雑音の有無を確認し、全肺野を聴診する。とくに、長期臥床や、人工呼吸器の装着などにより体位が制限される場合、背面に無気肺や胸水が貯留しやすいので、背面の下葉後肺底区(肩甲骨の下部周囲)の聴診も忘れずに行う。
呼気時にボコボコやゴロゴロといった水泡音や、グーとかギューといういびき音が聴取される場合、ほとんどが分泌物の貯留である。
また、無気肺などで空気の流入が減少するため、発症後間もない場合は呼吸音が減弱する。しかし、時間の経過とともに無気肺の部位でも気管支呼吸音が伝達され、聴取されることがあるので、注意する。

体位ドレナージの効果と適応と禁忌

体位ドレナージの効果と適応と禁忌

体位ドレナージの効果は、気道分泌物を末梢の肺領域から移動および排出の促進を図ることによって、無気肺や換気の改善および酸素化能の改善などが期待できる。

体位ドレナージは末梢の肺領域に分泌物が貯留している場合に適応とな る。

頭頚部の外傷で損傷部の非固定状態や血行動態の不安定な活動性出血がある場合は、絶対的な禁忌となる。
体位変換に耐えられない高齢者や精神的に不安が強い状態の場合などは、そのときの状況に応じて体位ドレナージを行うかどうかの判断する。

体位ドレナージ

体位ドレナージ

体位ドレナージとは、気道分泌物が貯留した末梢の肺領域が上側、中枢気道が下側となるような体位をとり、一定の時間その体位を保持し、重力を利用して貯留分泌物を末梢から中枢の肺領域へと誘導および排出することである。
排痰体位には、仰臥位、前傾側臥位、後傾側臥位、側臥位、腹臥位の5つの体位がある。リスク等を考慮する上で「修正した排痰体位」がよく用いられています。

薬剤性嚥下障害

薬剤性嚥下障害

意識レベルや注意力を低下させる作用
抗不安薬・催眠薬・抗うつ薬・抗精神薬・抗てんかん薬・抗ヒスタミン薬(古典的)・筋弛緩薬

唾液分泌低下
抗コリン薬・三環系抗うつ薬

運動機能低下、錐体外路症状
定型抗精神薬・消化性潰瘍治療薬 筋弛緩薬

粘膜障害
化学療法・非ステロイド系抗炎症薬・抗菌薬

スパイロメトリー (spirometry)

スパイロメトリー (spirometry)

肺機能測定器(スパイロメーター)を用いて換気能力を測定する方法をスパイロメトリーと呼びます。実際の測定記録図をスパイログラムといいます。
一般に肺機能検査といえばこのスパイロメトリーを指します。
スパイロメトリーでは肺活量を含む肺気量分画の測定が可能です。

肺活量測定は、通常座位で行い、マウスピースをくわえ、鼻クリップを装着して口元や鼻から息漏れがないことを確認します。次に安静吸気位と安静呼気位の間でゆっくり呼吸させます。引き続いて最大に呼出した状態(最大呼気位)からゆっくりと最大限に吸気します。この最大吸気位と最大呼気位の差が肺活量です。引き続いてゆっくりと最大限に呼出させます。

肺気量分画測定に引き続いて、努力性肺活量測定を行います。
最大吸気位から最大努力呼出によって最大呼気位まで呼出させることにより、努力性肺活量、1秒量、ピークフローなどの指標が得られます。1秒量/努力性肺活量から1秒率が求められます。

最大努力呼出時における呼気量(横軸)、気流速度(縦軸)との関係をみたものがフローボリューム曲線です。フローボリューム曲線のパターンからある程度疾患の存在を予測することができます。
COPDの典型的なフローボリューム曲線では、健常者のそれとは違い下行脚が下に凸となり、呼気性気流閉塞を反映します。

体性感覚

体性感覚

体性感覚は「触覚」「温痛覚」「深部感覚」の3つに分けられる。 それぞれ脳に伝わる経路が違うため、病気の種類や障害部位によっても、感覚障害の生じ方が異なってくる。

1.触覚
「触られた」「押された」という感覚である。この触覚はさらに「粗大な触覚」と「識別性触覚」に分けられ、それぞれ脳に伝わる経路が異なってくる。
1)粗大な触覚
何かが触っているのはわかるが、はっきりした部位や触っているものの性状などがわからない大まかな感覚である。満員電車に乗っているときなどに感じる、何かわからないけれど、自分の体がぐいぐい押されているような感覚である。
2)識別性触覚
触られた部位や物体の性状がわかるような精密な触覚である。ハサミを持つと、目をつぶっていても「これはハサミだ」とわかるといった感覚である。

2.温痛覚
「熱い」「冷たい」「痛い」という温度や痛みの感覚である。温度覚の障害があると、喫煙中のタバコの火種が患部に落ちても気がつかなかったり、熱湯に触れても気がつかなかったりすることがあるので、熱傷への注意が必要となる。また、痛覚の消失があると、打撲や切傷に気がつかないことがある。

3.深部感覚
骨や筋肉、腱、関節などから伝えられる感覚である。この深部感覚には「位置覚」と「振動覚」がある。
1)位置覚
自分の身体の各部位がどの位置にあるのか、どんな姿勢をしているのかを感じる感覚である。位置覚が障害されると、目を閉じたときに自分の手足の位置や姿勢を正確に感じることができなくなり、バランスを崩してしまうことがある。
2)振動覚
振動させた音叉を、骨が皮膚上に触れる部分(足のくるぶしなど)に当てると、振動を感じることができる。振動覚の障害があると、普段より音叉の振動を感じ取りにくくなったり、左右差が出たりすることがある。