脳の可塑性

脳の可塑性

脳卒中後の機能回復で臨床的に重要なのはネットワークレベルでの可塑性です。

この可塑性は中枢神経の解剖学的および機能的再構築により生じ、中枢神経の機能を制御して障害や生理学的要求に応じて変化します。

脳可塑性には、①もともと存在していたが抑制されていた経路の顕在化(unmasking)、②残存する軸索から側芽形成をして新しいシナプスができる(sprouting)の2つがあげられ、将来的には、③移植(transplantation)により神経の損傷を改善することが可能かもしれません。

脳可塑性は神経回路の再構築により体部位に対応する感覚運動領域の再発現に関係している脳の再マップ化、あるいはニューロン可塑性として出現します。

短期間で発現する変化は機能的にはたらいていない経路の顕在化による機能回復であり、長期間を要する変化はシナプスの形、数、サイズ、タイプの変化を伴う神経再生や側芽によるプロセスです。

マップ可塑性に関して、活動、行動、技術獲得に応じて大脳皮質に体部位発現を引き起こすことが報告されており、ニューロン可塑性は、シナプス抑制が解除され、神経ネットワークのすみやかな変化を生じる際に認められます。

ヒトでの脳卒中後のネットワークの再構築は、病変の周囲はもちろん、病変と同側の大脳半球、あるいは病変と反対側の大脳半球でも起こります。 またリハ訓練により上肢の運動機能の改善とともに大脳皮質での神経ネットワークの再構築を生じます。