脳卒中後の神経機能回復機序

脳卒中後の神経機能回復機序

脳卒中により中枢神経に傷害を生じると、神経細胞や神経ネットワークに機能障害を生じます。

脳卒中急性期には神経細胞死を防止するための治療が重要であり、急性期治療の成否はその後の神経機能回復の重要な因子となります。

脳梗塞急性期において脳血流が低下すると、細胞死をもたらす高度虚血領域と、その周囲に細胞死には至らないが機能障害をもたらすペナンブラ領域が生じます。

ペナンブラ領域の神経細胞は、適切な時間内に再灌流させれば機能回復の可能性があり、急性期治療のターゲットとなります。

ペナンブラ領域の早期の再配流は脳卒中発症後にすみやかな機能回復を生じると考えられ、浮腫の軽減や神経保護的治療も細胞内レベルの神経機能回復を促進します。

また脳卒中によって傷害を受けた神経は再生しないといわれてきましたが、成人の中枢神経系にも神経新生がみられ、虚血損傷が幹細胞や前駆細胞の神経新生のトリガーとなり、穎粒細胞層あるいは損傷を受けた海馬CA1領域や線条体に移動し、神経結合の再構築を生じて機能回復をもたらす可能性も示唆されています。

また動物実験レベルですはありますが、幹細胞移植により炎症を抑制し、新脈管形成、再髄鞘化、軸索の可塑性を起こすことによりニューロンを新生することが示されており、内因性神経幹細胞が脳卒中後の新たな治療ターゲットになる可能性が示唆されています。