初期のアルツハイマー型認知症と摂食障害

初期のアルツハイマー型認知症と摂食障害

アルツハイマー型認知症の初期は、一般には中核症状が主で、周辺症状はみられたとしてもまだ軽度です。

アルツハイマー型認知症の初期にまれにみられるのは、偏食や食欲といった先行期の問題です。

一部の症例で嗜好が甘味にかたよる、空腹を感じない、食べすぎるといった症状が出ることがあります。

もう少し進行すると、記憶障害や見当識障害、実行機能障害がみられるため、食べたことを忘れる、食器の使い方が分からない、などの症状を生じます。

食事をした直後に症例が「食事はまだ」と聞くのは有名なエピソードですが、それは近時記憶の障害によるものです。

血管性認知症では、脳血管障害の部位によっては発症当初から誤嚥を生じることがありますが、この時点のアルツハイマー型認知症では、誤嚥を生じることはありません。

すなわち、嚥下障害は生じておらず、食行動の障害のみを生じます。